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第10話

「んぁ・・・・・・、此処は?。・・・・・・そうか!!復活したのか。」



目を覚ますと自分が落ちたところ、つまり、精神世界からの帰還を意味する。



地面に倒れている状態の体を「どっこらせ」とオヤジっぽいことを呟きながら起こす。立った瞬間立ち眩みし、ヨタヨタっとする体に気合を入れてピシッと立つ。



「ん〜〜。でっかいグラウンドだなー。」



秋五の目に映ったものは、広い空間。地面はきめ細やかな砂が薄く敷き詰められてあり、その空間の真ん中には主張せんとばかりに立っている四つの柱、その四つの柱で結ばれた線から内側は周りの砂と変わり、見た目がテニスコートの緑のような感じになっている。



「なんだろう、あの柱と緑の空間は・・・・・・」



「アレか?アレは『決闘場』又は『ジャッジメント・フィールド』、言葉の通り『判決の場』。なぜ決闘場=判決の場と言うのか、それは昔の野蛮人どもが「力が正義だー!」とかぬかして罪を負った者同士を戦わせて、勝った者は今までの罪は消え代わりに負けた者は勝利者の罪を重ね問答無用で処刑・・・。つまりそれを行う場所がココなんだ、こんなもんかな?」



「!!!??」



秋五の問いに帰って来る筈がないと思ったが、突如現れた人によって謎が解けた。



秋五は声がした方に体を向けるとそこには、ここの学園の学生服を着てその上に赤色のマント羽織っている。見た目小学生並の身長の少女が両手を腰に当てている姿があった。



秋五は悟った・・・


「この人は、年上」だと。



「えっと・・・・・・・・先輩は誰ですか?」



「・・・・・・・」



「・・・・・・・ん?」



「・・・・・(ダバーーーーー」 ←感涙



「えっ!?なんで泣いてるんですか!!」



秋五はいきなり涙を流させたことに慌ててワタワタしたが、頭の中にピカーンと光る何かがあった・・・



父の教え・・・「女の子が泣いていたら、ふらg(ry、ゲフン、ゲフン。女の子が泣いていたら何も言わないでハンカチを差しのべその後親密になって話を聞いてあげるべし。」



その教え通りに自分のポッケからハンカチを出し、ちょいと小柄な少女に差し出す。



差し出されたハンカチを見て呆然としていた少女は、秋五の好意に乗ってハンカチを受け取りそれで顔をごしごしと拭いた。



「どうして泣いたんです?・・・あっそれはあげますよ、いらなかったら捨てといてください。」



少女はコクリとうなずいてハンカチを制服のポケットに突っ込んで口を開いた。



「お前が初めてだ!あたしを一目で先輩と気づいたのは。みんなあたしを見ると「どうしたの?迷子かな?此処には入ってきちゃ駄目だよ」って。・・・この服見ろよ!!もろ関係者じゃねーか!!・・・・たく・・・・ぶつぶつ」



「あー・・・・・」



秋五が居る事を忘れ独り言を呟き始めた少女。

少女の周りの空気が暗くなったのは気のせいだろう・・・。



「あのーセンパーイ?・・・・・・ふにふに」



なかなか反応してくれない少女に秋五は、同じ目線になるようにしゃがみ少女の頬をつっ突き始めた。




・・・・・・・・・・・




「・・・・・・うん?。・・・・・おっ、おま////」



数分それが続いているなか、やっと気が付いた少女は顔を上げると目の前には秋五の顔がまじかに。そのことに羞恥を感じて顔を赤くする。あまりにも恥ずかしかった少女は照れ隠しに右ストレートを秋五の顔面に放つ。


いきなりのことで反応しきれず秋五の顔面に拳がめり込む。



ゴリッ・・・。



「ぬばらぁぁぁあああああああああ」



当たった処は鼻、勢い良く鼻血を噴射させ後方5メートル弱の距離を浮遊。四つの内の一つの柱に秋五の体が激突する。

秋五には大ダメージだが、柱に関してはまったくの無傷。



はっ!、とようやく自分がした事を思い出して慌てだす少女は駆け足で秋五の元に向う。



「おーーーーーい。大丈夫か?・・・・・・っ!!」



砂煙が上がっているところから数歩離れたところから様子を窺う少女だったが、砂煙からもの凄い量の魔力が発生していることに気付いて体が止まる。



「・・・・・・『活性の雫』」



煙の中の、秋五の声がした途端に発生された魔力は一滴の雫となり秋五の体に当たる。雫は秋五の体に吸収されているかのように馴染んで行き、通常の人間の回復力を何段階も跳ね上げる。少女のパンチの傷と柱に当たった傷は徐々に回復していき、数秒で完治した。


その光景を見ていた少女は目を見開いて驚いた。それもそのはず。秋五が使った魔法は上位クラスの魔法。今日入学したばかりの人が使える筈がないのだから。



完治したことを確認した秋五はスクッと立ち、今だ驚きを見せる少女に話を掛ける。



「えー・・・痛かったです。」



「・・・・!?あっ、ご、ごめん・・・」



「いいですよ。それより一つお聞きしたいことが。」



「あたしもある」



「・・・・どんな質問か大体予想が付きますんで、まず俺の質問から。・・・名前は何ですか?」



「そうだったな!まだ名前すら知らなかった。あたしの名前はナルタミア・ヴィー・バライタス。気軽にナルタと読んでくれ」




「俺はシュウゴ・ヒビヤです。」



「わかった、シュウゴ、だな。こんどはコッチの質問だ。・・・なぜ秋五は上位クラスの魔法が使えるんだ?お前今日から生徒だろ。しかも入学式の時のお前と髪の色が違うぞ!染めたのか?!入学早々ぐれたのか?」



ナルタミアは、分からん、と言った感じで首を傾げて秋五に問う。対する秋五は右手の事を言うべきか悩んでいた。




「(ディーネ、どうする?五聖獣の事を言うべき?)」



《力を隠すと後々めんどくさいことになるので教えちゃってもいいんじゃないですか?》



「(そんなんで良いのか・・・、まっいいか)」



「えっと・・・力に関しては、かくかくしかじか、です。てかぐれてないです!!この髪はさっきの説明したやつの影響です。」



「なるほどー・・・。」



ナルタミアは謎が解けたことでスッキリとした顔になり今度は、何やら考え出したあと秋五の事をキラキラした目で見始めた。



「てことは、めちゃんこ強いんだな?」



「へっ?んーーーたぶん?」



「そうかそうかなら・・・・・・・戦おう!!!」



「おう・・・・って何ーーーーーー!!!」




ひょんなことから秋五はナルタミアと闘う事になった。





戦闘準備中・・・・






「本当に戦うんですかー?」



「ああ、女に二言は無い!!」



「いや、それは男だから。」




秋五とは向かい合いお互い数メートルの間を開けて立っている。


ナルタミアは両腕を前に出し両手で何かを掴んでいるような形をとる。



「いでよ!我が『操る封具』(タクト)負を切り裂く断罪の剣!!」



両手の内に光る丸い玉が出てきてそれがどんどん長くなり形を作っていく。



「エキュートス!!!」



そう言い放つと手には自信の体よりも大きな大剣が握られていた。



「おおーーー、あれがタクト。知識であっても実際見ると感動ものだなー。」



「おい!お前も早く出せ。」



「わかりました。」



ナルタミアに急かされた秋五はやれやれと言った感じで右手を天に掲げる。



「集え水の力よ!我水の使いなり。タクト召喚!!」



ナルタミアのと同様右手には光る丸い玉が出てきて形を作っていく。



「コルセスカ!!」



秋五の右手には長い槍が握られている。


それを見たナルタミアはにんまり笑い口を開いた。



「よし!準備完了!!いざ・・・」



「尋常に・・・・」




「「勝負!!!!」」




二人の声が重なった瞬間二人は地面を蹴り、お互いの距離を縮める。



「はっ!」



「せいっ!」



秋五が突進の勢いを付け乱れ突きを一つ一つの突きのテンポを相手に読まれないようにフェイントを混ぜての攻撃。


それを甘んじて受けまいと、ナルタミアは前で構えた大剣「エキュートス」を小刻みに右、左、と動かし突きの攻撃を流していく。

このままでは懐に入り込まれて攻撃できずに終わってしまうので、距離をとるために突きを弾く力を増して秋五の攻撃が若干弱まった事を確認して、弾いた方向に傾いた大剣をそのままの勢いで腕を折りたたみ振りぬきの体制をとり、秋五の隙を突き横に一閃。


その一撃を秋五は素早くバックステップし次の攻撃のために身を低くし凌ぐと、今度は足元への斬撃、これもまたバックステップでかわそうとしたが、それをさせないと、ナルタミアは秋五の距離を一気に縮め攻撃範囲に入ったら、下から上への切り上げをジャンプしてより威力を付ける。


秋五は、くっ、と小さく唸るとコルセスカを構えナルタミアの攻撃を受ける。



ガキン!、と金属と金属のぶつかった音がなり接触部分は火花が散っている。ナルタミアは秋五の防御を吹っ飛ばそうと腕に力と魔力を加え思いっきり振りぬく。


勢いが増したことにより耐えきれなくなった秋五は空高くに舞い上がった。



「いってぇ〜」



ぶつかり合った時に腕を痛めた秋五は水の魔力で癒す。完治と同時に体の上昇も治まり今度は落下に入る。下を見ると追撃をしようと大剣を構えたナルタミアが間近に迫ってきた。



「止め!はっ!はっ!!ていっ!!!」



ナルタミアは横に一閃、切り上げ、振り下ろし。剣の速度は人が振れる速度を遥か越している。それをカン、カンと防ぐが威力もかなりのもの二度も連続で食らった後に振り下ろしが来れば手がもつはずがなく。



「しまっ・・・・!!」



三度目の攻撃で手からエルセスカが落ち、秋五も傷はできてないものの、ナルタミアの攻撃で体制が整えないまま落下スピードが増し体が動かずにそのまま地面に激突する。



「・・・やりすぎちまったかな?」



今だ上空にいるナルタミアは下を見ながら降下し、シュタっと地面に降り立つ。



落ちた時の砂煙がまだ収まらない、どうなっているか分からないがまだ戦闘態勢をとるナルタミア。


煙が晴れるとそこには人が立っている影。秋五は無傷で立っていた。



「くー、それでも無傷か〜。・・・・やばいな」



まさかあれで無傷で済んでいたとは思わなかったナルタミアは冷や汗を流していた。



「ナルタ先輩、俺じゃなかったら死んでましたよ?さっきのは。」



「大丈夫だ。シュウゴにしかやってないから。逆にこっちは、無傷のお前を見てメンタルがずたずたなんだが・・・」



「水魔法は癒しの力。・・・防御面も優れているんですよ。さて一撃で終わりますよ?」



「でかく出たな・・・」



ナルタミアは舐められたことにイラッとしたがこいつには敵わないと分かってしまっているので何とも言えない感じだった。



「行きます・・・」



そう秋五が言うと姿が見えなくなった。すると後ろから殺気を感じたナルタミアは体を後ろに向け大剣を振りぬくがそれは空を切る。



ギュっ。



「なーーーーーーー!!」


いきなり何かに抱きつかれ、驚いた拍子に大剣を落とし、声をあげる。すると抱きついているものから声がする。



「相手の武装解除確認&捕獲成功。敵の戦闘意志はなくなり俺の勝ち。」



抱きついているのはもちろん秋五。そっと腕をどかしコルセスカを消した。


ナルタミアは顔を赤くして口をパクパクしていた。



「ナルタ先輩、タクトしまってください。」



「あ、ああ」



ナルタミアは地面に落ちたエキュートスを拾い消し俯いてしまった。



「なるt「そうだ!!」おわ!!」



ナルタミアを呼ぼうとしたが、いきなり顔を上げこちらを振り返った事に驚いて一歩下がる秋五。



「なんです?」



「良いこと思いついたんだ!!秋五!!!これであいつもダンマリだな!!」



「??」



「秋五!!」



「はい」





「私の婚約者になってくれ!!いや、むしろ「なれ」。」




「・・・・はぁーーーーーー!!」






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