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たまにはこんな冒険物語  作者: 神玉
サヤカのその日暮らし冒険記
15/19

妖精の倫理

 サヤカは普段、仕事に明け暮れている。街の中で人手を求めている声があれば手伝いに赴く。そんなことの繰り返しで日銭を稼いでいる。

「冒険者」などと一般的に呼ばれているが、結局のところ日雇いで仕事を請け負っている定職無しなのだ。

 そんなわけで日によってあちらこちらに出向いて忙しくしていたりもするのである。

 今はひと仕事を終えて次の仕事場へと向かう道中である。やや離れたところにあり、間に合わないようなことのないよう真っ直ぐに目的地へと足を進める必要がある。

 そんな急ぎ足の中、目の前のことに少し注意を奪われる。サヤカの知らない男性のお年寄りが、これまたサヤカの知らない女性のお年寄りに話しかけている。ふたりのかもしだす雰囲気から夫婦ではない。あまりにも隣を歩くには持っている雰囲気が違いすぎる。

 女性が発した言葉は聞き取れなかったが何やら声を荒げて腕を大きく振るって足早に去っていってしまった。残された男性は余り気にしたようではなく辺りを見回しだした。そこでサヤカはしまったと思う。目が合い、男性が近づいて来たからだ。

「もし、道をお尋ねしたいのですが」

 なるほど、先ほどの女性はこの質問に答えずに急いで言ってしまったのだと理解する。とはいえ自分もあまり余裕のある心境ではない。などとサヤカは考えつつもなかなかに困っている人間を無視できない性格である。頼られた時に力になれないことを悔やみ、相手はそのことを忘れてしまった後も思い悩んでしまうような人間だ。

 サヤカは足を止め、隣に立つと男性の持っている地図を覗いた。男性は指をさして目的地を示した。やや入り組んでいて複雑な場所だった。この街になれていなければ辿り着くのは難しいかもしれない。

 そしてそこはサヤカの向かう場所とは反対の位置にある。通り道であれば一緒に行けたのだが流石にこれでは付き添いは難しい。

 そう判断をして、目的地までの道順を教える。この道を左に曲がり、突き当たりを右へ、そうするとこのような店が右手に見える等なるべくわかりやすいように目印を交えて説明する。

「ありがとうお嬢さん」

 男性は感謝を述べ会釈をすると教わった道を歩き出した。ひと安心をしたサヤカも仕事先へと歩き出すが、念のためにと男性が見えなくなるまでは見守ろうと横目で見た瞬間に焦り少し大声を出しながら駆け寄る。

「おじいさんそっちじゃありませんよ!」

 その後、目的地まで付き添ったサヤカは、見事に遅刻し謝り倒すことで許しを得たのだった。


 その翌日もサヤカは仕事に奔走していた。前日の遅刻については依頼主が寛容であったことや、サヤカとの面識があり普段の真面目さが幸いしたこともありあまりとやかく言われることはなかった。

 しかし仕事に遅れたことによる罪悪感がサヤカにはつきまとっていた。そんな日は仕事にもなかなか集中することが出来ないものだ。

「ちょっとあんた! やる気が無いなら帰りな!」

「あ、す、すみません」

「まったく、どうせ若い娘だってだけで周りからチヤホヤされてきたんだろ」

 今日の依頼主はサヤカとの接点がないお年寄りの女性だ。確かに接点はないが、サヤカはなんとなく見たことがある顔ではあると認識している。しかし話した記憶はない。間違いなく最近見た顔なのだが。

 この女性は目がつり上がっていて常に眉間に皺を寄せている。口を開けば大声で、その言葉全てに棘を含んでいた。

 基本的にまともに生活をしていれば、悪意に晒されることのない街ではあるが、嫌な人間は存在するわけで、そういった人間も不自由なく暮らせるのも自由の証とでも言うべきだろうか。

 サヤカ自身も申し訳ない気持ちと、そこまで言われるほどだろうかと胸の内で言い表せない黒い渦が回り続けている。もちろん表に出すようなことは控える。依頼主とは波風を立てない方が何かと都合が良い。上手くいけば繰り返し仕事が貰えるかもしれないし、報酬も弾むというものだ。

「ほら、これがあんたの今日の仕事代さ」

 給料を受け取ったサヤカはその軽さから不振に思い、金額を確認する。

「なんだいあんた、嫌なヤツだね! 目の前でするなんて信用してないのかい!」

「明らかに依頼書に書かれていた額よりも少ないです」

「それがあんたの働きぶりを正当に評価した結果だよ!」

 サヤカは納得がいかなかった。確かに自らが最高の仕事を出来たとは感じていない。しかし、それでも請け負った仕事を正しく遂行した。間違いなく。それに対して報酬の減額は認める事が出来なかった。

 もともとサヤカは若く、また女という性別も相まってか軽く見られることもそれなりに経験している。冒険者として初めの頃は泣き寝入りをするようなこともあったが、多少の経験を積んだことで少し強気になれるようになった。

「文句があるってんなら返しな!」

「それはイヤです!」

 しばらくの間ひとつの袋を取り合うふたり。互いの手の中に行き来する報酬。その様相はふざけているようだがもちろん真剣そのものだ。サヤカにとっては生活費であるし、老人にとってはなんとなく若い娘が気にくわない。

 おおよそ若く、甘やかされているうちに大人になれないと、若い人間に醜く嫉妬するようになってしまうものだ。いつまでも若い外見を取り繕うとする厚化粧が物語っている。

 そんなふたりの争いはサヤカが若さ故の素早さで勝利を納めた。正確にはその足りない報酬で妥協したサヤカの敗北ではあるのだが、奪い合いには少なくとも勝ったのだ。

 小さな争いがあり、帰り道を歩けるようになったのは空が明るさを手放そうとしている頃だった。人通りも少なくなり建物からの灯りが目立つようになっている。

 まったくついていない。帰路につきながらの心持ちはこれに尽きた。そもそも前日の失敗があり、少し落ち込んでいるところに嫌味な依頼主。さらには想定を遙かに下回る収入に加えて謎の取り合いにより無駄な疲労感が植え付けられた。

 心の中に陰が差し込むような気持ちで歩いていると目の前にボロを着た老人の姿が映った。前日の老人とはまた別の男性だ。近づくにつれてその姿が鮮明になっていく。ぼさぼさの白髪に伸びきった縮れた髭。シワにしみだらけの顔でよく見ると虫が集っている。

 しまった。サヤカは眉をしかめた。目が合ったのだ。連日にして問題を抱えていそうな老人と視線を交わすのは決して喜ばしいことではないだろう。

 お互いの瞳に姿を映してから老人が間違いなく自分めがけて歩いている事を察するサヤカ。もそりと近づいてくるその姿を金縛りにでもあったように待つ。

 やがて老人はサヤカの目の前にたどりつくとゆっくりと両の手の平上向きに並べてつぶやいた。

「どうか、おめぐみを」

 乞食だ。

 浅ましい。汚らわしい。煩わしい。鬱陶しい。情けない。気味が悪い。

 サヤカの脳裏に浮かび上がった言葉はそのどれでもなかった。

 初めて見た。

 これが率直な感想であった。この街はとても豊かである。たしかにサヤカの有り金は悲しみを背負っているが、それでも贅沢をしないのであれば毎日を軽い笑顔で迎える事はそう難しいことではない。

 だというのに目の前の老人はすっかりくたびれた装いで、もう長いこと路地裏で生活しているかのような姿をしている。

 老人を目の前にしてサヤカの脳内では葛藤が繰り広げられる。今持っているものは先ほどの僅かな報酬だけ。少しでも助けになるならば。いいやその場しのぎにすぎない。なら無視をするべき。いや、でも。

 時としてはほんの少しの間であろう。それでもサヤカの頭の中では忙しない葛藤が絶え間なく行われた。そしてその中からサヤカが選んだ結論は。

「どうぞ」

 手に持っている報酬の袋を全て渡した。

 サヤカはもともと深く物事を考えられる人間ではない。そのうえ今日は仕事で怒られ、報酬の件で依頼主とモめたため疲労していた。さらに空きっ腹が気持ち悪くて、早く帰って宿屋のおばさんの料理を食べてゆっくり休みたいという欲求が強かった。

 老人はサヤカから差し出された恵みを受け取るとペコリとお辞儀をして、そのまま黙ってしまった。サヤカはお礼の言葉ひとつないのかと心にもやが掛かったが、もはや関わりたくないので「じゃあ行きますね」と言って立ち去った。

「……」


 また翌日。サヤカは山を歩いていた。青々茂った山だ。当然今日も仕事をしている。山菜や木の実などの食材集めをしているのだ。前日の事があるため、ひとりでいるというのは真上で輝いている青空の様に、気持ちが晴れてありがたいと感じていた。

 自然の恵みとでも言うべきだろうか、吹き抜ける風が気持ちよく、その中に含まれる木々の香りがどこか癒やしを運んでくれるようだった。

 草を踏みならして慎重に歩く。あまり音は立てないように注意をしている。あまり危険ではないはずの山であっても警戒するにこしたことはない。

 しばらく歩いていると、サヤカの視界の端にチラリと光る小さなモノが映った。サヤカは木に隠れ、音を立てないように息を殺してゆっくりとその光るモノが見えた方向に顔を出した。

「あれは……」

 サヤカは木から身を乗り出して光るモノの方へと歩いて行った。そして両手で光るモノを包み込むように掬い上げた。

 光るモノの正体は妖精であった。怪我を負っていてまともに動ける様な状態ではなかった。

「可哀想に、ミカさんのところへ連れてってあげる」

 傷付いた妖精を抱きかかえたサヤカは仕事もほどほどに聖女ミカのいる教会へと急いだのだった。


「大丈夫です。すぐによくなりますよ」

 ミカは癒やしの魔法で妖精を包みながら優しい表情で微笑む。

「よかった……ありがとうございます」

 サヤカはミカの言葉を聞いて安堵する。ミカが治療する姿をじっと見つめながら。

「きっとサヤカさんには良いことがありますよ」

「どうしてですか?」

「小さな友人たちは受けた恩には必ず報いますから」

 ミカは妖精の患部を撫でながら微笑んだ。サヤカはここ数日、あまりイイ気分ではなかったが、ミカの微笑みとその言葉が曇った心に光を差すようだった。それだけで少し嬉しく思えた。


 そして数日後、サヤカのもとには妖精のお礼と思われる物とひとつの手紙が贈られてきた。手紙にはとても簡素な言葉が書かれていた。

「優しい君へ」

 言葉はそれだけでよかった。サヤカはそれはそれは大層喜んだ。

 チャンチャン。











 で終わりではない。サヤカにとってのイチバンの収入源である、食堂の手伝いをしているときに何やら上機嫌のサヤカにひとりの客が何事かと尋ねた。

 始めは遂に恋人が出来たのかと、ハヤシたてるようだった。サヤカは愛想笑いもほどほどに事の発端を話しだしたのだ。

「妖精を森で助けたらお礼を貰いまして」

 妖精からの贈り物は山の恵みである食材類だった。食欲が豊かなサヤカにとっては金銀財宝よりも嬉しい……ということはないのだが、それでも喜ばしいことに代わりはない。

これら食材は食堂の品として提供する事を条件にサヤカの家賃は免除される。さらに賄いとしてサヤカも味わうことが出来るので、イイコトづくしである。

「ちょっとあんた! こっちの料理が全然来ないんだけど」

 食堂に怒声が響く。その場にいる全員が声のする方に目を向ける。そこには先日にサヤカに文句をつけた厚化粧の老女がいた。机を掌でバンバンと叩き不機嫌で有ることを主張している。

 サヤカは小走りで老女のもとへ駆け寄ると眉を下げて、低姿勢で声をかける。

「すみません。他の方のご迷惑になりますから……」

 席に付いている他の客も老女の方に迷惑そうな視線を向けて首を縦に振っている。あびるように視線を受けて老女はバツが悪そうに叫んだ。

「なんだいあんたら寄ってたかって!」

 両の掌で机を叩き抗議をする。

「まったく、まったく。結局アタシに優しいのは死んだ夫だけなのさ!」

 そう吠えてすぐ立ち上がり、サヤカを跳ね除けて乱暴に外へ出た。

「あ、あら? ここに座ってたおばあちゃんは?」

 宿屋のおばさんが厨房の奥から出てきた。その手にはお盆とその上に料理の盛られた皿が乗っている。

「すみません。怒らせちゃったみたいで、さっき出ていっちゃいました」

「あらそう。それじゃあこれはサヤカちゃんのお昼ね」

「やった! いただきます」

「お金は払ってね」

「え? はい…………え?」


「なんだってんだい! 気分が悪い」

 食堂を出た老女は肩をイカらせて、小刻みの足を素早く回していた。歩きながらに先程の食堂で小娘がほざいていたことを思い出していた。

 山で怪我をした妖精を拾って助けたなんて言っていた。その後にお礼を受けたと。

 それならば自分も同じことをしてやろう。そのような思いが頭に浮かんだ。

「どうか、おめぐみを」

 老女の耳に後ろからしゃがれた声が入ってきた。振り返るとそこにはボロを着た老人の男がいた。

「あっちに行きな! 汚らわしい!」

 老女は男を虫を払うように手を振り追い返した。

「……」


 思い立ったら即行動を起こした老女は山に来ていた。しかし傷ついた妖精なんてそう簡単に出会えるわけがない。草木を掻き分けて右へ左へ探し回った。老いた体には苦しかった。

 そこへ丁度良く妖精が現れた。その身を輝かせてフワリと動き回っている。

 これではダメだ。

 老女は妖精に気づかれないようにゆっくりと静かに体を伏せた。ふと目を下に向けると手に収まるくらいの石が落ちていた。

 老女は石を拾い上げると輝いているそれに向かって投げつけた。見事に命中し、静かに光を失っていく妖精。動きが止まったことを確認し、しめしめという感情を隠しながら何食わぬ顔で近づく。

「おお、なんて可哀想な」

 老女は石に打たれて傷ついた妖精を掴みあげた。そして年齢を感じさせないほど、先程までの疲労が嘘のように、街の教会まで走った。その妖精も無事に聖女が治し、元気に山へと帰っていった。

 翌日、老女の家の前に大きな荷物が置かれていた。その荷物の中には様々な植物、果実そして手紙が入っていた。

 手紙には目もくれずに食べられそうなものをひとつずつ口に運んでいく。噛み砕いた時のなんと幸福なことか。あまりに美味で口に運ぶ手が止まらない。貪り続けた。

 満足した老女であったが、幸せはその日の夜中に終わった。激しい頭痛、腹痛と吐き気に襲われた。食べたものは味こそは良いものであったが、ごくごくわずかだが毒が含まれていたのだ。それを大量に摂取するものだからその分の苦しみが全身に駆け巡る。

 夜にひとり、体調は呪われたように悪い。愛する人もいない。愛してくれる人もいない。ふたり暮らした家にひとり。布団にくるまり、ただひたすら呪いが過ぎ去るのを待つことしか出来ない。このまま治らなければどうしよう。いよいよお迎えが来たのかもしれない。意識がずっと後ろ向きになってしまう。そのまま気を失うように眠りについた。

 夜が明けてもその体調が戻るようなことはなかった。

 日が昇って、外は明るくなったというのに、家の中は暗いままだ。起き上がることすら苦しい。空間が歪んでいるかのようだ。目を開けば全ての呪いが襲いかかってくる。目を閉じれば意識を手放してしまいそのまま目覚めないのではないか。

 外から聞こえてくる人の声が多くなってくる。きっと自分のことを悪く言っているんじゃないか。嘲笑しているのかもしれない。早くいなくなってしまえと思っているのかも。この世の中に自分の居場所なんてなくて、誰も自分のことを必要としてなんてないだろう。心が影に侵食されて全て悪く感じられる。

「さみしい。さみしいよぉ」

 しかし、嘆いてばかりではいられない。しばらく泣き言を吐いた後、薬を探すために体を這わせて動きだす。戸棚を引き出しを家の中を探し回ったが薬はどこにもなかった。がっくりとうなだれる。ふいに荷物の中に入っていた手紙を思い出す。もしかしたら薬のひとつでも入っているかもしれない。

 再度ダルい体を引きずって、荷物の置かれていた場所に向かう。前日のままになっている手紙を拾い上げて封を開ける。

 そこには「全て見ていた」とだけ書かれていた。

 老女はその言葉に絶望し、シクシクと泣き、自らの行いを悔いた。


(妖精の倫理 終わり)





















 コンコンッ。

 昼も過ぎて絶望にくれた老女がひとり布団に入り、涙を流していると扉を叩く音が聞こえてきた。しかし、開けにいく元気などありはしない。それでも扉を叩く音は止まない。頼むから眠らせておくれと思って布団に深く入ると、扉が開く音が聞こえてさらに「すみません。おばあさんいますか?」と様子を伺う声が聞こえてきた。

 その声には覚えがあった。食堂で働いている小娘、サヤカじゃないか。私を笑いにでも来たのだろうかと。

 気力を振り絞り布団から顔を出して小娘を力無く睨み付ける。

「何しにきたんだい」

「大丈夫ですか?」

「アンタなんかに心配される筋合いないよ。何しに来たか分からないけどさっさと帰りな」

 老女に対してサヤカは手荷物を見せて近寄る。

「街のいじわるおばあさんが体を悪くしたって話を聞いたので。はいこれ、お薬です」

「ふんっ同情して、イイ人気取りかい」

「そんなんじゃありませんよ。誰だって優しくされたいでしょう? おじいさんだって、おばあさんだって、妖精だって」

 サヤカは老女の上体を起こし、口の中に粉末状の薬を入れた後に水筒の水を流し込んだ。

「安静にしてればすぐに良くなりますからね」

 そう言って立ち去ろうとするサヤカを老女は呼び止めた。

「待ちな。そこの引き出し、そこじゃない、そのひとつ下。そこだ。そこを開けてみな」

「これは……」

「この前のあんたの報酬の残りだよ。持っていきな」

「ちょっと多くないですか?」

「薬代だよ」

「それでもです」

「いいからやる」

「得体の知れないお金は貰えませんよ」

「別に……なんでもいいでしょ」

 老女が目をそらして小さく呟く姿を見てサヤカは「ふふふ」と笑った。

「なにさ」

「お礼のつもりなら、早く元気になってまた来てください」

 サヤカは老女に笑いかけ、そのまま扉に向かい外へと出ていった。

「ありがとね」

 老女は誰もいなくなった家でぼそりと呟いた。


「ありがとう」

 サヤカは老女の不調を知らせてくれたフワリと輝く友人に向けて言った。


(妖精の倫理 終わり)

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