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闇
私は昨日、首を吊って死んだ。
…はずだった。
目が覚めるとそこは真っ暗闇で、音もない。
あぁ、ここが地獄ってやつか。
自殺したら天国には行けないって聞いたことあるしな。
これから自分は閻魔様に舌でも抜かれるんだろうか。
と呑気に考えていた。
しかし、いくら待っても閻魔様どころか誰の気配もしない。
「もしもーし。」
自分の声はよく響いて、闇に消えた。
仕方ない、少し歩いてみるか。と腰をあげる。
一向に暗闇に目が慣れず、おそるおそる手を前に出しながら歩く。
自殺までしたのに何かに躓くのを恐れるなんて滑稽だ。
どの程度この闇が広がっているのか分からない。
終わりなどないのかもしれない。
そんなことを考えながらフラフラと適当に歩いた。
30分程歩いただろうか。
一瞬目の端に光が見えた気がして立ち止まった。
光が見えた方向に目を向けると、確かにその辺りが明るかった。
小走りで光を求めてそこへ向かう。
…それは床にあいた小さな窓だった。
20cm角くらいだろうか。
ガラスの窓で、鍵はない。開けられない仕様のようだ。
窓の先には見覚えのある部屋。
はっとして一瞬強ばる。
自分の部屋だ。