夢から覚めた後
「っ!?」
ガバッと布団から起き上がった翼、どうやら、さっき見た光景は翼が見ていた夢のようだった。
翼はダラダラと冷汗を流していた。
しばらくした後、ふと外を見た。
「そろそろ夕飯の材料買いに行かなきゃな。」
そうつぶやき、布団から起き上がり、玄関へ向かう。
「あっ翼、出かけるの?」
リビングにいたのは恵瑠だった。
「ああ、夕飯の買い物。」
「何にするの?。」
「アーヴァンクもも肉のから揚げ。」
「おっ、いいねぇ。私も行く!」
というように、親子のようなやり取りをして、恵瑠も共にリトル街へ行くのである。
え?アーヴァンクってなんだって?これだけは言おう。
この世界には君たちにとってはあり得ないものがある。もちろん、食文化も例外だ。
恵瑠と翼は、静粛の森を抜け、リトル街を目指す。
「ちょっと、肌寒いかな。」
「いや、結構寒くないか?」
「そう?翼は寒がりさんなのかな?」
「ああ、そうかもな。冬になると私たちの先祖は冬眠するのが半分くらいいたと聞いたことがある。」
「へぇ~、昔は人型じゃなかったんだっけ?」
「そうみたいだ。」
「どんな姿だった?」
「残念ながら、それは私も知らない。ただ、ある神の姿に似ていたらしいが、その神の姿は私たちの住んでいた所には伝わっていない。」
「翼の種族は一か所に皆留まっている訳ではなかったんだ。」
「ああ。・・・・・、この時代に来てから、色んなものが変わっていた。多分、私と同じ種の妖はもういないと思う。高いところから見渡した景色とは全く違う景色が見えていた。残っていたは・・・・・、!!」
翼は話の途中に何かを感じ取り、腰に収めていた剣を抜いた。
スッと横を向き、振りかぶってきた剣を受け止めた。
「おっ、お前は、まさか?なぜ?なぜ、生きている?」
翼に斬りかかってきたのは男だった。その向こうには人がぞろぞろと群がっている。
「あっえ?っあっっ、う、?」
恵瑠はいきなりの出来事で混乱していた。足がプルプルと震えている。
「やっぱり。生きてたんだなぁ、赤羽翼ぁ?」
男はニヤニヤと翼を見つめる。
翼は剣で男を押しのける。
「えうぅぅぅ、ゾッゾンビ!?」
恵瑠は男の顔をしっかり見ていた。その顔は、縫い傷や切り傷が付いており、顔色も暗く、よく見れば、火傷跡もあった。
向こうの集団も皆同じ顔をしていた。
「なぜお前がこんな時代にいるんだ?なぜ生きてるんだ!」
翼の額には冷汗が流れ、戸惑いを隠せていないようだった。
翼はこの男を知っているようだ、どこで?どんな関係なの?
こんなところって、どういうこと?
なぜ生きてるって、どういうこと?
何も知らない恵瑠は、これから翼の秘密に触れることになるのであった。
またまた新しいシリーズ書き始めました。
よろしくお願いします。