影の開放
恵瑠が向かうのは東にある洞窟。入り口では西山幸四郎の部下であろう者たちがバタバタと倒れていた。そこから洞窟の中へと足を進める者が一人。
中に入れば、真っ暗闇が続く道、その先には赤い光が微かに見えた。
光に近づき、その先へ足を踏み入れると、そこには傷だらけの男と女、その後ろには神々の秘石と同じ赤色をしたとてつもなくデカイ石がズッシリとあった。
「おお、一足遅かったなぁ、赤羽翼。朱雀の殺し屋も、殺しの腕がなまるもんなんだなぁ。」
と男、西山幸四郎は剣を片手に持った翼を見た。
「赤羽明はもう封印を解いている。」
後ろで明は翼に見向きもせず封影石に手をかざし、懸命に念を送っていた。そして、彼女はかざしていた手を跡が付くほど強く握りしめた。
すると、封影石は砕け、中から黒い気がたくさんあふれ出した。地上に降りた気はそのまま形を作り、生き物のように動き出した。
「ほんとに遅かったのか、でも、恵瑠が来てくれれば・・・」
「恵瑠ってのは朱雀の国に向かった白いちびのことか?朱雀に国には霊術師の野郎が向かってる。今頃死んでいるだろうよ。」
西山は悪い笑みを浮かべ、翼にそう告げた。しかし翼は顔色一つ変えずにこう言った。
「死んでいる?そんなことないだろう?確かに、魔力を上手く扱えないのは知っているが、そこまで弱くないと思うぞ?少なくとも、お前には圧勝するだろうよ。」
「なめた口きいてんじゃ・・・・」
「つぅぅぅぅぅばぁぁぁぁぁさぁぁぁぁぁぁ!!」
と、後ろから無駄にうるさい声が聞こえた。洞窟内だから更にうるさい。耳が裂けそうなくらいにうるさい。
翼も、西山も、明も耳を塞ぐくらいにうるさい。
「場所を考えろ。洞窟の中だぞ。さすがにうるさすぎる。」
と、さっき語り手が突っ込んだことを再び突っ込んだ。ちなみに、さっきの恵瑠の声とはとっても対象的ボリュームだった。
「翼!手に入れたよ!神々の秘石!」
と、翼に見ろと言わんばかりに神々の秘石を翼の顔に近づける。
「わかったから、影をもっかい封印してくれ。」
「どうやって使うの?」
「知らね。」
「知らんのかい!あ、待って、これに書いてあるかも・・・・。」
と、恵瑠は翼に本を預ける。古代伝記集だ。
「さすがだ、恵瑠。」
と、翼は本を受け取ろうとした瞬間だった。
「させるか!!」
と、声を荒げた西山が何かを構えた。ボウガンだった。
「知ってるか!?神々の秘石って、結構脆いらしいぜ!!」
西山はボウガンを放ち、見事、恵瑠の手にあった神々の秘石に命中させた。
神々の秘石はバラバラに砕け、床に散らばった。
ついでに、恵瑠の手にもブスリといったため、恵瑠の手は、矢の刺さり口から、血が垂れていた。
「いたぁぁ!!?」
恵瑠は矢の刺さった手を抑え、かがみこんだ。
そして、恐る恐る顔を上げ、床に散らばった神々の秘石を見つめた。うん、バラバラだ。
「ど、どうしよ・・・・・・神々の秘石が・・・・バラバラになっちゃった!!?」




