光がだめならば影を
地面に伏せる恵瑠。その恵瑠に小刀を向ける霊術師。状況は最悪だ。
「ああ、ご安心を。お前を待っている赤羽翼もいつかあなたと同じところに来てくれますよ。あ、聞こえてないんだった。やれやれ、奥に微かに闇が見えましたが、やはり気のせいでしたねぇ。」
霊術師が小刀を振り下ろそうとしたその時だった。
『気のせいではないと思うよ。』
霊術師が小刀を下す前に、恵瑠は霊術師を蹴り飛ばした。
霊術師は5メートルほど吹き飛んだ。
「な、何事ですか!?」
霊術師は恵瑠を見ると、倒れていたはずの恵瑠が起き上がっていた。
「あ、あなた・・・・。なぜ、起きた?私の術で、1時間は起きないはず!?」
恵瑠は霊術師を見れば、黒い霧に包まれた。そして、霧から出てきたのは、黒くなった恵瑠だった。
「うん、ぐーたら寝てるよあいつは。」
アールだ。
「あなた、こんなものを隠し持っていたなんて・・・。しかし、私は霊術師!光であるあなたには私には勝つのは不可能です!さぁ、行きなさい!」
霊術師の命令で霊たちはアールに飛んでいった。
「分かってるはずだよ?私は光じゃない。影だ。」
アールが合図をすると、霊の頭上に黒い雷が落ちた。黒い雷に当たった霊たちは黒い煙となって消えていった。
「な!?霊の弱点である影を・・・・。」
「光がだめならば、影を・・・・。光と影の二つを持った私たちは、例え相手が影であろうと霊術師であろうと、負けることはない。さて、最後だね。」
アールは右手に魔力を集中させ、そこから黒い光をまとった槍を作り出した。
「‘‘シャドウ・アッサル‘‘」
アールは槍を投げると、槍は5本に分かれ、霊術師に命中した。
「ぐっ、こ、ここまでか・・・・、おお、影たちよ・・・・この世界に・・・・・終焉を与えたまえ・・・!!」
霊術師は黒い煙となって消えていった。
「全く、世話の焼けるヒーローさんだよ。」
そう言ってアールは恵瑠が拾おうとしていた古代伝記集を拾い、パラパラとめくった。
あるページを見つけてから「なるほど、これか。」と言って神々の秘石を探し行った。
そうして見つけたのは綺麗に空いた四角い穴。その下には木片が散らばっていたが、アールはその下を見つめていた。
下に降りると、お偉いさんが着るような服を身にまとった白骨死体がひとつあったが、アールはそれを見向きもせず、大きな木片をどかした。そこには鍵のかかった箱が一つ。
箱の鍵を壊し、中を見てみると、禍々しい赤い宝石の首飾りが入っていた。
紐は麻で出来ていて、紐と宝石は金具で繋がれていた。
『え?ナニコレ』と言う声がアールの脳内に響いた。
「やっと起きたの?」と、アールは体の主である恵瑠に言った。
『うん。てか、ナニコレ?』
「これが、あんたが探していた神々の秘石だよ。」
そう言って本を開いて書いている絵と照らし合わせた。本にもアールが見つけた首飾りと全く同じ絵が描いてあった。ご丁寧に、紐の色も金具のデザインも全く同じだった。
『なんか、イメージと違うね。』
「そうかな?」
『うん。てか、よくわかったね。』
「私が近づきたくない気配をたどったんだ。ああ、気分が悪い。」
『近づきたくない気配?』
「私は影だよ?」
『ああ、ご迷惑おかけしました。』
「ほんとだよ。じゃ、後はよろしく。」
『オッケー。』
アールが白い気に包まれると、そこから恵瑠が出てきた。
恵瑠は箱の中の神々の秘石を手に取ると、東の方を見つめた。
「もう少しだかんね、翼!」




