古代伝記集
朱雀の国跡、東の方から、沢山の人々の叫び声が微かに聞こえる中、恵瑠は一人、崩れた朱雀城を捜索していた。
やはり、炭となった木片が転がるなか、神々の秘石を探していた。
「そういえば、どういうとこにあるんだろう?」
と、恵瑠は呟いた。
考えてみれば、神々の秘石を、恵瑠は見たことがない。翼から特徴も聞いてなかった。
どうやって探せばいいかわからなかった。こういう物はどこに置いてるのだろうか。誰かが持っている可能性もなくはないが、とりあえずがむしゃらに探すしかないだろう。
恵瑠はひたすら探し回った。歩き回っては木片の下をのぞいてみたり、死体を見つけては調べて見たりしていた。
そうしていれば恵瑠は、何やら周りと違う場所を見つけた。地面には砂利が敷いてあり、池があり、その池の真ん中には木があった。
恵瑠はその木の下のあたりの地面から、とがっている者を見つけた。近づいてみると、木箱のような物だった。
その木箱を掘り起こし、ふたを開けて見ると、中に入っていたのは一冊の本。
「古代伝記集?」
本の表紙には、そう書いてあった。
恵瑠はその本を手に取ろうとした、その時だった。
「おやおや、そこにいるのは物分かりの悪いおバカでおまぬけなお嬢ちゃんではないですかぁ。」
後ろから声が聞こえ振り返ってみると、黒い布を身にまとった者がふわふわと浮いていた。
「お、お前は・・・れーじゅつし!!悪口増えたぞ!!」
「予想通り、あなたはここに来てましたねぇ。目的はやはり、神々の秘石。ならば、見つかる前に殺して差し上げるのがよろしいでしょう。」
霊術師は両手を上げ、「さぁ、黄泉の国の者たちよ。我のために己の魂を尽くすのです!」と叫んだ。
すると、霊術師のそばに、二つのモヤモヤが降りてきた。
「ふぇっ!?嘘!?お化け!?やだ帰れ!!」
帰れと言って帰るわけもなく、二つの霊は霊術師の合図で恵瑠に向かった。
「くっ、くらえ‘‘ブルージェット‘‘!」
恵瑠は青い光線を霊に向けて放ち、見事に霊に直撃した。しかし、霊は何事もなかったかのように、ふわふわと浮いていた。
「効かない?」
「はい、効きませんよ。彼らは過去に光の元で生きていた者たちです。闇を持たぬ者を光で浄化など、出来ないでしょう?なので、例え光属性の頂点に立っているあなたでも、私を倒すことはできません。」
「わ、私の属性も知ってる!?」
「はい、あなたには光の力が満ち溢れていたので。」
「分かるんだ!?」
「分かります。あなたよりもずっと長く生きているので。おっと、そろそろあなたは限界の様ですね。」
「な、何を・・・・はうっ!!?」
恵瑠は突然意識を失い、地面に伏せた。
「強制昏睡です。しばらくは起きないでしょう。いいや、一生起きることはなくなりますね。」
霊術師は懐を漁ると、一本の小刀を取り出す。そして、恵瑠にふわりふわりと近寄った。




