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枕の下に 希望の上に(11)

僕ら極限環境微生物

団扇で扇ぐ人の中

ソウソウと歩く

抜き去りながら

僕より動いていると

思ったものの

口にはしなかった

極力動かない

それが本来

気温に対して出来ることだが

外に出れば

別のスイッチが入ったかのように

手を動かしている



辿り着いた目的地で

汗を拭う

その一息の為に

我慢などしていない

お客さん相手に

言葉を交わす

その一言の為に

働いてなどいない

自分の場所を保つ為に

取り敢えず

動いている

死にかけてもいない

僕ら

極限環境微生物



車の中から出てくる空気

熱い手は纏わり付く

窓を全開に開けて

車を走らせた

入れ替わりながら

海沿いの潮風

音楽を鳴らすスマートフォン

次の行き先

考えながら口遊む

お気に入りは

人間も通り過ぎる

これで良い時間だ



涼しさを運んだ風は

駐車場には無い

その残念な形を

気にすることなど無い

呼び鈴を押しても

出て来ない受け取り手

その残念な形を

嫌だと思うことなど無い

自分の居場所を守る為に

取り敢えず

決まりに従う

死にかけてもいない

僕ら

極限環境微生物



何が大切かなんて

人それぞれで違うのだ

だとしたら

価値観など

無いに等しい

価値を観て

その価値はどうなのか

人それぞれで

何処か違うのだから

つまりは

他人が

価値があると思った物を

自分は

価値があると思わないのに

認めようということなのだ

価値観の共有とは

そういう事なのだ

合うわけが無い

僕等は全く違う生き物で

それに疲れて

既に諦めている

阿保みたいに弱いのに

馬鹿みたいに過敏だから



一日が終わった夕焼けは

涼しさを運んできた

赤く染まる黒い雲

神々しい空の音

気にしないことは無い

見上げれば雨粒

車のキーが取り出せず濡れる

残念に思うことは無い

自分の大切な物があるから

取り敢えず

力と共に居る

死にかけてもいない

僕ら

極限環境微生物



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