91もぐの憂鬱
「じゃあ、また来週ね♪」
そう言ってことりは帰って行った。
オレは行っても許されるギリギリまで着いて行って、ことりと一緒に行きたい気持ちを押さえて見送った。
この玄関のドアの向こうを自力で、歩けるようになるまであと少し、そうしたら見える世界は変わるのかな。
みのりと大地と住むこの部屋は、暖かくゆりかごのように守られた場所だ。
危険な物は撤去され、みのり達の目が届かない時はサークルに入れられている。
ことりの家の方が自由があるくらいだ。危険だと判断された途端に怒声が響くだけで・・・。
お散歩デビューするまでの生活が、こんなに制限されるとは、頭で分かってはいたけど、正直めんどくさい。
消毒、消毒、消毒ってそればかり!
玄関のドアを一歩出ただけで何になるっていうのか!?
お散歩デビューしてもリードで歩くオレは、自由に走りまわる事も出来ない!
ふぅ、ダメだ!
軟禁生活が響いているのか少しネガティヴになっているみたいだ。
きっとちょっと気分転換がしたかったんだ。
ただそれだけ。
「も〜ぐ♪」
オレを呼ぶ声に振り向くと、おいで♪と両手を広げたみのりがいる♪
走ってみのりに近づくとすくい上げるように抱きしめられた!
ちょっ!!高いからッ!!
「うぅ、久しぶりもぐ補充ぅ〜♪♪♪」
サークルから解放されて早数時間、オレはことりにベッタリだった。
いや、軟禁されてたことを怒ってたわけじゃないよ!?
なんだろう!?ことりに甘えるのは今しか出来ない気がして!
そう!それだけなんだ!!
謎の罪悪感に苛まれながら、オレとの時間を取り戻すように構い倒すみのりにつきあうことにした。
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