89育てることに完璧なんてもんはない
「あっ!ことり、もぐ出したらあかんよ!安静にせなあかんねんから!」
キッチンから戻ってきたみのりが、オレを抱えて座っていることりを注意する。
「は?安静にって、もぐ体調悪いん!?」
ことりが顔を青くさせてみのりに問うと、彼女にとって予想外の返事が返ってきた。
「そうじゃなくて、これから悪くなるかもしれないやろ?」
「・・・ごめん、意味分からん。どうゆうこと?」
ことりは少し考えて首を左右に振ってから、みのりに詳しく聞こうと再度質問する。
「この前な、もぐのワクチンの注射打ちに病院に行ってきてん。それで終わったら、先生が『あまり遊ばせ過ぎないように』って言われてて、夜になってからどれぐらい間、安静にせなあかんのかな?って思って、ネットで調べたら、1日だったり、10日だったりいろんな意見があり過ぎて・・・だいたい様子見って何なん?ってなって、大地くんと相談して1週間おとなしくさせようって決めてん。だからことり、もぐサークルに戻して。」
それを聞いたことりがため息をつく。
そんな!?やっと出れたのに!!
「お姉ちゃん、病院連れて行ったのいつ?」
「この前の日曜日」
「下痢や嘔吐したりしてる?」
「してない」
「あきらかに元気がなかったり、呼んでも反応しなかったりしてる?」
「してない」
それを聞いて再びため息をついたことりは、オレをみのりの方に向けながら顔のあたりまで持ち上げると、アテレコするように少し高い声で喋り出した。
『みのりちゃん!ぼく元気だよ!いっしょに遊んでくれないと寂しいよぅ。悲しいよぅ。十円ハゲできちゃうよぅ。』
気持ちはありがたいけど、最後のひと言はだけは余計なお世話だよッ!!
・・・い、犬もハゲるのかな?ドキドキ
「でも・・・」
みのりが少し迷い出す、分からないことは不安が多く、命がそこにあるだけに、適当なわけにはいかない。
「お姉ちゃんホンマに初めて子育てするお母さんみたいやね〜。人間の子育ても、犬を育てるのも最初から完璧なんてもんはないよ。そんなことより、愛情いっぱいもらわなあかんもぐがよ?サークルに隔離ってどういうこと?」
「うぅ、だって心配やってんもん。」
「何でもかんでも守るだけが愛情ちゃうし、様子見っていうのは、いつもと違うとこを見つけることでもあるやろ?サークルに入れっぱなしやったら、そんなん分からんで。」
「うぅ、もぐ今日からまた、いっぱいいっぱい全力で遊ぼうな〜!!」
そう言ってオレを抱きしめるみのりを
「ほどほどにやで。限度ってあるからな!」
と言ってことりが頬を引きつらせてた。
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