77トライやるウィーク・・・トリマーさんの常識は女子中学生にとっての非常識
「もぐちゃん、お疲れ様でした!お水ここに置いておきますね!」
そう言って春野さんはオレが入った犬舎に水を置き、頭を撫でてから鍵を閉めて、さっきまで使っていたトリミング台やその周りの床を掃除し始めた。
その様子を見ながら北川さんは、書類(?)か何か書き物をしている。
春野さん達中学生組には、1人1人担当のトリマーさんがいるみたいで、手が空いたからと友達同士でおしゃべりに花を咲かせたり、勝手な行動はしない。
トリマーさんも気のいいお姉さん達なので、話しやすいし息苦しい感じはなさそうだ。
だが今は、トリマーさんにとってはおそらくよくある話で、女子中学生にとっては理解出来ない状況から、女子中学生組が3人共固まって顔を青くしている。
事の始まりは、女子中学生組を担当してないトリマーさんが、スタンダード プードル 通称スタンプ のカットをしている時に、スタンプが動いてしまって、左手の人差し指をハサミで傷つけてしまったことから始まった。
少し顔をしかめながらも、心配する女子中学生が声をかけると笑顔で「大丈夫」と返事をしているが、床にポタポタと滴り落ちる血を見て、女子中学生が「大丈夫そうで良かったです!」なんて返事を出来るはずがない!むしろ彼女達の顔は「全然大丈夫じゃないじゃん!」と言っていた。
すると書き物してた北川さんがやってきて、難しい顔をしてると思ったら
「うーん。白いコは血が目立つねー。カットどうなってんの?」
心配の方向が違う!!!
「あー、血が付いた所はカットする部分なんで問題ないです。」
と怪我したトリマーさんが答えた。
お願いだから手当てしてください!見てるこっちが痛い!
北川さんは怪我したトリマーさんに手当てを促し、少し目線で探した人物を見つけると掃除を頼んだ。
「じゃあ、問題ないね。このコ見てるから血止めてきて、それから・・・あっ春野さん!申し訳ないけど、そこのモップでこの血、掃除してくれる?」
「ありがとうございます。すぐ戻ります。」
「はい!分かりました!」
怪我したトリマーさんはざっと水で傷口を洗うと簡単に消毒して血を拭い、部屋に置いてあるミニ冷蔵庫から瞬間接着剤を取り出して傷口に塗りたくった!
ええええええええええええええええええええええええーーーーー!!!??
3人の女子中学生もそれを見て
「「「ひぃッ!!」」」
と声を上げて顔を青くしながら、しきりに左手の人差し指を右手でさすっている。
先程、怪我したトリマーさんに大丈夫かと声をかけた中学生が恐る恐るといった感じで話かける。
「あの、大丈夫なんですか?」
「えっ?あぁ心配ありがとう。大丈夫よ♪血も止まったでしょ?」
そう言って左手をひらひら振る。
いや!瞬間接着剤で傷口を塞いだからだろうが!!
「いや、そうじゃなくて・・・それもそうなんですが、傷口に瞬間接着剤を塗っていいんですか?」
するともう1人の女子中学生が、ポケットからミニポーチを取り出して話し出す。
「私、お母さんからバンドエイドもらったんです!お皿洗いしても大丈夫な水に強いタイプなんで良かったら使ってください!!」
すると怪我したトリマーさんは少し申し訳なさそうに口を開いた。
「ごめんね。気持ちは有り難いんだけど、どんだけ水に強いって評判のバンドエイドも1回シャンプーしちゃうと取れちゃうし、下手したらワンちゃんの毛に絡まるしで使えないのよ。それで水に強くてすぐ固まる瞬間接着剤を使ってるのよ。」
「・・・そうですか」
瞬間接着剤は身体にとって良くないのでは?と指摘したくても利便性を示され、頼りの水に強いバンドエイドは役立たずと全否定されて言葉が出ない女子中学生組だった。
お読み頂きありがとうございます♪
実際に知り合いのトリマーさんが瞬間接着剤を使ってましたが、トリマーさんにとっての常識かは不明ですσ^_^;




