57ブサイク疑惑
螺旋階段を降りていつものように駐車場に行くのだと思っていたが、みのりは正面玄関へ向かって歩いて行った。
もう車を回してるのかな?
しかしどれだけ進んでも大地のミニバンは見えず、知らない景色に不安がわき起こり、進行方向とみのりを何度も往復して見る。
何度みのりを見ても視線が合う事はなく、振り返って背後を見ても大地が追いかけて来ることはなかった。
灯りの少ない通りを抜けると大通りに出た。
大通りを道なりに進んで、10分いや、15分くらい経っただろうか?
大きく『電車』と書かれた看板が見えてきた。
!!!
もしかしなくても、そうだよね!?絶対、電車に乗るよね!?
オレは大地が来ない不安などすっかり忘れて期待に胸を膨らませた!!
薄情?知りませんよ、そんな事。
前回の電車の記憶があんまりだったから、今度こそ車窓から見える景色を楽しむんだ!という気持ちが大きい♪
駅員さんに手荷物チェックをしてもらい、ホームへ進む♪
ワクワク♪ワクワク♪ワクワク♪
『まもなく電車が到着します。危険ですので白線の内側までお下がりください』
キタァーーーーーーーーーー!!!!!
バサッ
はっ?
今まで開いていたバッグのサイドにある窓が閉じられ、暗闇に閉じ込められた!
嘘でしょ!?嘘でしょ!?
慌てて目の前のメッシュの窓を切り裂くように爪を立て両前足を動かす!!
ガサガサガサガサガサガサ
そんなオレに気づいたみのりは小声で注意してくる。
「こらッ。お利口さんにせなあかんよ」
外が見えてたら大人しくしてたよ!!
前回といい、今回といい、
わざとじゃないよね!?みのり!!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
それから電車を乗り換えて、また次の電車に乗るためにホームで待っているようだ。
「もぐ、次の電車で最後やから頑張ってね♪」
最後?・・・・・
オレは最後のチャンスとばかりに僅かに漏れる光の隙間へ鼻を突っ込み、強引に顔を出そうとした。
鼻先が出て、目元、目尻と少しずつ顔を出す。
顔の皮膚が引っ張られるのを感じる。
きっと今ひどい顔をしているだろう・・・
けど、知るか!!景色を見たいんだ!!
「うわぁ、ブッサイクな犬」
「ホンマや、白目むいとる」
2人の女子高生のストレート過ぎる言葉に、オレの決意は簡単に砕け散り、バッグの中へ隠れるように戻った。
オレ、ブサイクじゃない!・・・・・よね?
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