189お爺ちゃんとお婆ちゃんの家
それからしばらく山道を登り、停車した。
「着いたー。」
「大地くんお疲れ様〜♪」
山の中腹くらいのところに家はあるらしく、ここから少し坂道を登ってお爺ちゃんとお婆ちゃんの家に着いた。
坂道を登った先には2軒の平屋が向かい合って立っており、間が中庭のようになっていた。
とりあえず、どっちの家が正解なんだ??
みのりに抱っこされたまま、左側に立つ家の玄関へと向かう。
ガラガラガラッ。
「お爺ちゃ〜ん!お婆ちゃ〜ん!ただいま〜!みのりやで〜!」
キーン!耳がぁぁぁ!!
みのり〜大声出すなら先に言ってよぅ(泣)
「お邪魔しまーす。」
大地はマイペースだな!
っていうよりも、ただ単に眠いだけかもしれない。
リビングというより居間に入るとお爺ちゃんがソファーに座ってテレビを観てた。
「おかえり〜よう帰ったなぁ。」
真面目で優しそうなお爺ちゃんは、目尻にしわを作りながら歓迎してくれた。
第一印象で思ったことは、このお爺ちゃんが大好きだということだった。
その声に反応したのか台所からお婆ちゃんが出てきて出迎えてくれた。
「みのり、なんや帰っとったんかい。よう帰ったなぁ。混んでなかったかい?」
「うん、夜通し車で走って来たから空いてたよ〜。」
「おとっしゃぁ 。それやったら大地くんも眠いやろう。」
「うん、だから荷物整理したら大地くんには仮眠とってもらう予定。」
「ところでみのり、その白いのはどないしたんや?」
お爺ちゃんがオレを見つめたまま、みのりに問うた。
「新しいうちの家族♪もぐっていうねん♪」
よし!自己紹介だな!
キャン♪
いつもより心持ち元気よく返事をした。
「ほーかほーか、もぐよこっちきんしゃい。(訳:そうかそうか、もぐこっちにおいで)」
「もぐ、お爺ちゃんに抱っこしてもらおうか♪」
そう言って、お爺ちゃんの膝の上にちょこんとオレを乗せた。
「じゃあ、荷物とか車から運んでくるね〜。」
お爺ちゃんはお父さんみたいに力強く撫でるわけでも、ことりみたいにマッサージしながら撫でるわけでもなかった。
ただ柔らかく触ってるのか触ってないのかわからないぐらいにふんわりと撫でられ、お爺ちゃんに撫でられている時は時間が止まってしまったのかと感じるぐらい心穏やかな時間を過ごした。
『おとっしゃぁ』の意味はおそろしいと言われてますが、作中では大変なとかそんな感じのニュアンスです。