184紙袋とその中身
人はこれを何と言うのだろう?
みのりと大地が部屋に戻ってからしばらくは、残された紙袋の事が気になりつつも、サークルの外側にぶら下げられて、自力で中を見ることなど出来ないと割り切り、意識の外に追い出して寝ようとした。
静かな暗闇の中でみのりと大地の寝息を耳が拾うと、ゆっくりと立ち上がった。
そう、オレはこの瞬間、魔がさしたんだと思う。
紙袋に近づき、クンクンと匂いを嗅いだ。
食べ物ではないな・・・
ちょっと中を覗くだけ、ほんのちょこっとだけ・・・
二本足で立ち上がり、左前足を高く伸ばして、紙袋をパシ・・・パシ・・・となんとか爪をひっかけて中を見ようとした。
うぅぅ、もうちょっと、あと少しで袋の縁に爪が届く・・・
ガッ!
やった!届いた!!
喜んだのもつかの間、オレは袋に前足が届いたことに油断して、バランスを大きく崩した。
オレが尻もちをつき、ひっくり返った時には、引っかかっていた爪のせいで紙袋は大きく破れて中身が落ちた。
リボンがかけられてキレイにラッピングされた箱は、オレの前足の届かない場所に転がってしまった。
今さらながらに、余計な事などしなければと強く思ったが、オレはどうすることも出来なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ガチャ
「「もぐおはよう♪メリークリスマス♪」」
2人は転がされたプレゼントに驚き動きを、止めた。
「「・・・・・」:
紙袋を壊した犯人としては、反省すべきであり、ただ大人しくしてるつもりだった。
2人からのクリスマスプレゼントだったんだな。
中身は分からないけど、とりあえず壊れてなければ良いな。
もしも壊れてたら・・・やめよう!考えるだけで怖すぎるわッ!!!
みのりがラッピングされた箱を拾い上げて、笑顔で話しかけてきた。
「もぐ、サンタさんからクリスマスプレゼントもらったんやね♪良かったね〜♪」
「・・・あっ!ホンマやな!もぐがお利口さんにしてた証拠やな!サンタさん何くれたんやろうな♪」
大地も一緒になってサンタさんと言った時点で、オレはやっと昨夜の意味不明な2人の行動が理解出来た。
そして、紙袋とはいえそのプレゼントを破いてしまったオレは、大地に『お利口さんの証拠』と言われても罪悪感から素直に喜べなかった。