181あしらい上手
「じゃあ、新しいおもちゃの説明なんやけど・・・」
みのりがまだリーヤと遊んでいる為、引き続き大地に説明がされていく。
大丈夫かなぁ。
オレはちょっと不安になってきた。
まだまだ短い付き合いだけど、ことりの洋裁に対するこだわりが非常にめんどくさいのは分かっている。
なんせ、お母さんですら適当にあしらうのだ。
はたして大地に対処する術があるんだろうか?
「ーーー店員さんのオススメも一緒にって思って、ロープとボーン(ミルク味)を買ったんやけど、ボーン(ミルク味)の方がお気に入りみたいやわ♪」
「へぇ、そうなんや〜。」
「うさぴょんもちゃんと直ったよ♪くろにゃんとお揃いでバンダナも巻いてん♪」
「あっ、可愛いな。似合ってるわ。」
だ、大地?それだけ?
うさぴょん、バラバラになってたんだよ?
直したことに対する感想は??
「・・・ありがとう。」
ほらっ!めちゃくちゃ分かりやすくしょんぼりしたじゃん!!
さすがに目の前でしょんぼりされたら、大地も何か言わなきゃいけないと思うようで、チラッと目線を上げて何を言うべきか考えてる。
考えるほどのことだろうか?
『すごくキレイに直ってるね。』とか、普通に『ありがとう。』でいいんじゃないか??
ん?もしかしてうさぴょんの破損具合を大地は知らなかったりするのか?
みのりからことりに直してもらうことを聞かされてないとか??
大地は考えても何を言っていいのか分からなかったみたいで、チラッとお母さんに助けを求めた。
スッと目線をそらしてお母さんは助けを拒んだ。
おそらくお母さんは大地が事情を知らないことを分かってないんだろう。
ただ単にことりの相手をするのがめんどくさい、そんな感じだった。
でも、それも大地は知る由がないわけで・・・なんで助けを拒まれたか分からず、最後の希望にみのりの名前を呼んだ。
「えっ何?・・・あ!うさぴょん!!すごい!めっちゃキレイに直ってるやん♪さすがことりやね〜ありがと〜♪」
「直してくれたんや。ことちゃんありがとう。」
大地も事情が分かって安心したようにお礼を言う。
「全然ええよ♪お姉ちゃんキレイに直ったでしょ?実はねーーー。」
「うん♪ホンマにキレイ!ありがとうねッ!!!」
みのり、何か会話を終わらせようとしてないか??
「もう、こだわりくらい聞いてくれてもいいやん。」
「だって言われても分からんもん。」
「当ててくれてもええんよ?」
そんな無茶な。
料理人が素人に隠し味を当ててみろって言ってるようなもんじゃないか。
「言われても分からんのに当てれるわけないやん。」
さすが長年ことりの姉をやってるだけあって、ことりのあしらいが上手いなと、感心したのはきっとオレだけじゃないだろう。
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