180リーヤは危険
「あー、お姉ちゃんもぐにリーヤを近づけんといて。」
ことりナイス!
「えっなんで?もぐがリーヤを傷つけないように慣れさせなあかんやん。」
みのりまでオレよりリーヤの心配するなんて酷すぎるよ(泣)
「なんていうか、リーヤが何回かもぐの目の前やお腹の上にフリーフォールしてんけど、もぐ全然リーヤのこと傷つけたりせんかってん。」
「へぇ〜そうなんや。もぐはやっぱり賢いなぁ♪」
「みのり、フリーフォールって何?」
「落下するってこと。」
「えっ!落下!?危ないやんか!」
「危ないというか、羽ばたく練習をしてるだけで・・・」
落下っていうとものすごく高い所から落ちるイメージだけど、例えば床上10センチでも落下は落下なんだよなぁ。
セキセイインコを飼ってた経験のあるみのりに大地の驚きは理解出来ず、戸惑ってる。
「お姉ちゃんもお義兄ちゃんも本題はそこちゃうから!」
慌ててことりが間に入る。
「もぐは友好的なんよ。問題はリーヤやねん。」
「リーヤが?」
みのりが不思議そうに首を傾げて、手のひらの上にいるリーヤを見つめた。
みのりに見つめられて嬉しいのか、ただ人の真似をしたいだけなのか、リーヤはみのりと同じように首を傾げてピィーピィーピィーと鳴き始めた。
まるで先ほどの口笛を催促しているかのようだ・・・くっ、可愛い!!!
瞳を突かれそうになったオレでもそう思うんだ。
ましてやリーヤにメロメロのみのりが相手となると、
「きゃぁぁぁあああああ!!!めっちゃ可愛いぃぃぃぃ♪なんなん?真似してんの♪」
みのりが親指をリーヤのくちばしの近くで上下させるように動かすと、リーヤは遊んでもらえると思ったのか、少しだけ親指の爪の部分を突いた後、首の後ろをかいてくれとでも言うように、頭を親指に擦りつけて甘えてきた。
「はぁうぅぅぅ♪ヤバイ、リーヤ可愛い過ぎるぅぅぅ♪♪♪」
「お義兄ちゃん、それでね。」
「あ、うん。それで?」
みのりがあまりにもリーヤにメロメロなため、ことりはみのりへの説明を諦めて大地に説明をすることにした。
「リーヤが1回だけやけど、もぐの頭上に落ちた時にもぐの目を突こうとしたんよ。」
「ええ!?」
「だからもぐより、リーヤの方が危険やねん。とっさに引き離したから怪我とかはないねんけど、うちもリーヤともぐが仲良くなってくれたらって思ってたから・・・うち1人しかおらんかったし、ちょっと考えたらそうなることも考えるべきやったのに、ホンマにごめんなさい。」
「そうなんや、とりあえず怪我がなくて良かった・・・・・それにしてもみのりに甘えてる様子を見てる限りでは、そんな凶暴な感じに見えへんのにな。」
「・・・そういえばリーヤを捕まえて、爪切りした直後やったから気が立ってたんかも?」
「じゃあ、ゆっくり様子見しながらやったら仲良くなるかもしれへんな。」
「うん♪そうやね♪」
ことりは罪悪感から解放されて笑顔で大地の提案に賛同した。
ことりが笑顔になったのは嬉しいけど、すっかり苦手になったリーヤと仲良くなるようにこれから仕向けられるのかと思うと憂鬱になった。