176手鏡
ことりは鳥かごに入れたリーヤをじっと見て、時折不安に思うのか、そっと人差し指を差し出して、リーヤが人差し指から逃げないか確認してた。
「まだ、大丈夫かな?やっぱり嫌われるかな〜?でも爪切りせな危ないし・・・」
心配したところで、リーヤは忘れてるみたいなんだけどな。
ことりの心配が無意味だと伝える方法も分からないし、ただ見守るばかりになっていた。
「そうやわ!」
何か思いついたのか、先程爪切りセットを出してきた引き出しを開けて、ガサゴソと探し物をする。
しばらくして取り出したのは持ち手のついた小さな手鏡だった。
これがなんだというのか??
ことりはキッチンの引き出しからタコ糸を取り出し10センチほど切り取ると、手鏡の持ち手の先にある小さな穴にタコ糸を通した。
手鏡を鳥かごの内側に設置して、タコ糸を鳥かごの外側で結び、ちょうど上から吊るされる形で設置が完了した。
初めは『なんだこれ!?』と手鏡を警戒していたリーヤも、徐々に慣れ近づいていく、一度鏡に映った自分の姿に驚いて飛び退いたけど、害意はないと分かったのか、鏡に映った自分に一心不乱に話しかけていた。
「セキセイインコってホンマに鏡とか好きやな〜。とりあえずリーヤのご機嫌なおったかな♪」
ことりが満足してるならいいけど・・・
セキセイインコは自分が好きなんだな。
あんなに夢中になって・・・ハッ!もしかしてセキセイインコはナルシストなのか!?そうなのか!?
ナルシストなら名前もリーヤじゃなくてナルとかにしたらよかったのに。
えっ?初めて鏡を見た時にオレも自分に見とれてたじゃないかって?
う、うるさいやい!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
雨も降ってるので特に出かけることもなく、ごはん時に特訓をされたり、ボーン(ミルク味)に夢中になり過ぎてたら、うさぴょんを人質(?)にされてボール遊びをさせられたりしてのんびり過ごしてた。
時折、ことりが何か言いたそうにするが、特に何も言われなかった。
な、何か注意事項だろうか?ドキドキ
「ただいま。」
「おかえり〜。」
夕方になってお母さんが帰ってきたので、ことりと一緒にお出迎えする。
お母さんおかえりなさーい!
「もぐちゃん足元、来んといて!踏む!」
酷い言われようである(泣)
ちょこっと傷つきながらリビングへ戻ると、お母さんが荷物を下ろしながらことりに尋ねた。
「それより、みのりって何時頃にもぐちゃんを迎えに来るの?」
「ちょッ!お母さん!!しー!!!」
ことりは口元に人差し指を持ってきて、『黙って』とお母さんに合図する。
「なんやの?」
お母さんが困惑する。
本当にどうしたんだろう?
「もぐが、お姉ちゃんとお義兄ちゃんの名前を聞いたら寂しくなるかもしれへんから、名前出したらあかんって言ってたやんか!(超小声)」
超小声でもばっちりオレには聞こえてるけどな。
そっかあ、気を使ってくれてたんだなぁ。
「えっ?なんて??」
超小声過ぎてお母さんに聞こえてない!!
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