170早起きは三文の徳(?)
ザーッと窓を叩く雨音で目が覚めた。
雨かぁ、今日の散歩はなしかな。
早々に二度寝を決め込み、オレはことりの布団の中へ潜り込んだ。
ことりん家では、ことりがエアコンの暖房が苦手らしく、ヒーターやホットカーペットを使っているので、布団を追い出されると意外と寒いんだ。
「ん〜。」
うつらうつらしていると、ことりが起きたみたいだった。
本格的に起きたら遊んでくれるかもしれないと思って、耳を傾けて様子を探っていると、
「・・・雨か、・・・寝よう。」
と呟いき、オレと同じく二度寝を決め込んで、あと10分ほどで鳴るはずだったアラームを解除してから眠りに落ちた。
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人が動き出す気配を感じて、目を開け周りを見渡す。
まぁ、布団の中だから真っ暗なんだけど・・・
ことりは布団の中に一緒にいるから、お父さんとお母さんだろう。
布団から顔を出してリビングの方を見ると、襖がちょうどオレが通れそうな分だけ開いていた。
いつも開いてる襖をある程度閉めているのは、ことりがゆっくりと眠れる為だろう。
そして、オレが通れそうな分だけ開いているのは、トイレに行きたい時に困らないようにや、寂しくて鳴いてしまわないようにと気を使ってくれているのだと思うと、昨日少し(?)ネガティブな気持ちになっただけにとても気恥ずかしく、そして嬉しくなった。
襖からこっそりと顔を出すと、座椅子に座ってテレビを見ながら朝ごはんを食べてたお父さんとお母さんがすぐにオレに気づいた。
「もぐちゃんおはよう。」
「もぐっちおはよう。こっちおいで♪」
もぐと呼ばれることの方が多いが、最近は、お母さんには『もぐちゃん』お父さんには『もぐっち』と呼ばれるようになった。
「もぐっち、バナナあげるからこっちおいで〜。」
いつまでも動かないオレを、バナナのかけらを持って誘う。
最近はレタスやキャベツを食べたり、昨日も缶詰め増量してもらってるんですよ?
まったくバナナごときで、釣られるに決まってるじゃないですかッ♪♪♪
お父さんの膝の上にダッシュして飛び乗ると、お父さんが手に持ってたバナナをくれた。
甘〜い♪
しっぽを振って、瞳を輝かせた。
「お?バナナ好きみたいやな。どれどれ」
そう言ってさっきより大きくちぎったバナナをくれた。
美味い♪甘い♪おいし〜♪
もぐもぐと味わって食べていると、
「もう、ことりとみのりに怒られますよ。」
とお母さんが注意した。
伏兵がこんなところに!!
「少しなら大丈夫やって、昔飼ってたコロちゃんも何でも食べてたやろ?」
「それもそうやね。もぐちゃんヨーグルト食べる?」
とスプーンを差し出された。
お母さん!意外と話が分かる人だったんだね!!(失礼)
もちろん、喜んでヨーグルトをもらいました♪
ことりが二度寝してくれてラッキーな朝だった。