169甘やかされる
「もぐ、ちょっと下りてな〜。寒いし早く中に入ろう?」
下ろされてからことりの足元を見てみると、左右に大きな買い物袋が置いてあった。
お母さんも両手に買い物袋を持って立っていた。
オレは慌ててリビングに戻りながら、きちんとことりがついてくるのか振り返った。
「うぅ、重い〜。お母さん絶対これ買い過ぎやって〜。」
「ごめん、ごめん。今日ポイント3倍DAYやったから、つい。」
「ついちゃうわ。」
「手伝いに来てくれてありがとう。」
2人の会話から察するに、ことりは買い物をしすぎたお母さんの荷物持ちとして急きょ呼び出されたみたいだ。
自分でも単純だと思うけど、理解出来る理由が分かれば、案外すんなり受け入れられるもので、さっきまでのネガティブな気持ちはおさまった。
「あー、疲れた。指がもげる。」
「はいはい、ありがとー。」
そして、ことりの苦情はお母さんに流されてた。
スーパーから帰ってきたことりはオレを甘やかしまくった。
どうやらオレの鳴き声はバッチリ聞こえてたらしく、罪悪感があったみたいだ。
そして、玄関に迎えに来た(正しくは待ってたんだけど)のがよっぽど嬉しかったらしい。
普段以上の甘やかしぶりにくすぐったい気持ちになったけど、それでもやっぱり嬉しかった。
ちなみに「今日はもぐ、沢山頑張ったから特別ね♪」と晩ごはんの缶詰めの割合が5割に増えた。
しっぽがはち切れんばかりにブンブン揺れたが、きっちり『おすわり』→『伏せ』→『待て』をさせられたのは言うまでもない。
あんなにリーヤのことが羨ましかったのに、夜寝る時になって、ことりと一緒に寝れることが嬉しくて、やっぱりことりん家では自由でいたい。
とそう思った。
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