168ことりのいないことりん家
遅くなりました(>人<;)
ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
ことりがすぐそこに居ないことを信じたくなくて、玄関のドアを両前足で引っかいていたがドアは開かない。
お留守番に慣れてないわけじゃない。
家ではほぼ毎日お留守番状態なんだから。
むしろ今は寝てるとはいえお父さんが居る。
いつものような一人っきりのお留守番じゃない。
だから不安や孤独を感じる必要なんかない。
それは分かってる。
それでも、みのりや大地が居ない時のオレの保護者は間違いなくことりで、ことりん家に入れるのはことりが歓迎してくれるからだ。
オレを預かるから予定は入れずに、側に居てくれるって言ってたのに、今、置いて行かれた。
最初こそお母さんに反対されていたけど、ことりが面倒をみると言ってお母さんも反対しなくなった。
お父さんも甘やかしてくれてた。
みんながオレを可愛がってくれて、優しくしてくれて、しつけが厳しい時もあるけれど、オレのためを思ってくれてる。
でも、リーヤが来てから・・・
お母さんはリーヤを一目見た瞬間に可愛いと言って歓迎するし、オレを甘やかしてくれてたお父さんもリーヤ贔屓。
ことりはリーヤを買いに行こうとした時は、始めオレを置いて行こうとした。
オレが居る時にわざわざ買いに行かなくてもいいはずなのに・・・
ピィーピィーピィーピィーピィー
リーヤの鳴き声が聞こえてふらふらした足どりでリーヤのもとへ行く。
リーヤの居る鳥かごを見上げると、リーヤは餌箱の上に乗ってオレを見落としていた。
ピィーピィーピィーピィーピィー
『この家は静かすぎる。』
いつだったか、ことりが呟いた言葉。
鳥かご、おやすみ用の鳥かごカバー、ブランコ、止まり木、沢山の鳥用のお皿、リーヤが来た日に物置きから次々出てきた。
リビングを見渡すとことりの席の横にオレの定位置のクッションが置いてあり、うさぴょんとくろにゃんもいる。
再びリーヤの鳥かごを見上げた。
ことりん家では自由だとずっと思ってて、それが嬉しかった。
でも鳥かごという自分の部屋が与えられているリーヤが心底羨ましくなった。
ここに居てもいいと言われている証拠みたいで・・・
反対にオレはことりが面倒をみると言われてるから、ここに居られる。
ことりが受け入れなかったら、ペットホテルに預けられることだろう。
オレは玄関に戻ってことりの帰りを待った。
コツ コツ コツ コツ コツ コツ コツ
誰か来た!?マンションの廊下を誰かが歩く気配がする。
コツ コツ コツ・・・・・
ことりじゃない・・・杖をついているみたいだし、なによりも通り過ぎた。
オレは伏せをして待った。
動かず、視線はドアだけをじっと見つめて。
「ーーーーーー。」
遠くで誰かの話し声が聞こえた。
少し聞こえ難いけど、ことり?
「ーーーで、もぐちゃん起きちゃったん?」
「そうやねん。寂しがってないとええけど・・・」
オレは立ち上がってドアに近づいた。
しっぽはヘリコプターのようにブンブン回ってる。
今なら飛べる気がする!
ガチャ
キャン!キャン!キャン!
「ただいま、もぐ♪お利口さんに待ってたん?」
ことりは飛びついたオレを抱きしめてくれた♪
お読み頂きありがとうございます♪
(注)お父さんは家に居てます。