表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
165/878

165聞き間違い


「ごちそうさまでした〜♪美味しかった〜♪」


「はいは〜い。」


2人がラーメンを食べ終わってしまった。


お零れの成績はボウズでした。しゅん


ボウズを知らないだって?

ゼロってことだよ(泣)

ほらっ、釣りとかで全く釣れなかった時に『今日はボウズだったー』とかいうでしょ?



「じゃあ、部屋に戻るから。」


「あれ?リーヤ連れて行かへんの?」


「うーん、今日は沢山遊んだから。」


そう言ってお父さんは部屋に戻っていった。



最終的に1日2食を目指していても、まだまだお昼ごはんが必要なオレは、お昼ごはんというよりドッグフードを使ったトレーニングを始めた。


まずはいつも通りの『おすわり』と『待て』だ。


最初の内は声に出して命令してたことりは、次第に手の動作だけで命令を始める。


オレの身体を手で支える必要がなくなってからは、声と一緒に手の動作を加えて命令してたので戸惑いはない。


まず人差し指を立てる。

これが『おすわり』の合図。


次に手のひらをこちらに見せる。

これが『待て』の合図。


簡単だろ?




ワンパターンの練習にちょっと飽きてきた時に、ことりはドッグフードを1つ指でつまんで、オレの目線より少し高く持ち上げた。


「もぐ、『おすわり』」


人差し指を立ててないけど、どうやら『おすわり』をご所望のようだ。


飽きてきたせいか、何回やらせんだよと思っているのは内緒だ・・・伝えようがないけどね!


オレはやれやれと思いつつ『おすわり』をした。


するとことりは『待てよ〜』と言いながら、ドッグフードを鼻の近くに持ってきた。


人間食に興味があろうと、ドッグフードをいらないとは思ってない。


人参を目の前にぶら下げられた馬のように、鼻の前にドッグフードを持ってこられると、ドッグフードしか目に入らなくなる。


ことりは決して鼻には触れさせない距離だけど、興味が離れない位置をキープしながらドッグフードを下へ下へと誘導する。


「『待てよ待てよ待てよ待てよ待てよ待てよ待てよ待てよ待てよ待てよ〜。』」


『待てよ』連呼しすぎ!


おすわりの姿勢が崩れてだんだん伏せの姿勢になる。


オレの胸までしっかりと床に付いたところで、ことりが『伏せ!』とはっきり言う。


抑揚をつけたつもりだろうが、『待てよ』の連呼からいきなり言われても、突然なんだ?と一瞬考えてしまって、ことりが新しくちゃんと『伏せ』を教えようとしてることに気づくのが遅れてしまった。






・・・えっ?普通にしつけの流れからも『伏せ』に気づくのが遅れるとかないだろうって?


ソウデスヨネー。




実は今ことりにじと目で睨まれてます。


ドッグフードに夢中になり過ぎてたオレは『伏せ!』を『よし!』と勘違いしてしまい、ドッグフードを持ったままのことりの指にかぶりついてしまった。


『伏せ!』の後に褒め、撫でてくれようとしてたことりの右手は行き場を失い、命令をちゃんと守れなかったとオレがかぶりついた指はぎゅっと力が入り、意地でもドッグフードは渡さん!と言われているようだった。




ことりを上目遣いでじっと見つめたまま、ゆ〜〜〜くりと口を開けて指を放した。



キ、キュゥ〜ン。



とりあえず残りのドッグフードは簡単には食べれない。

それだけは分かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ