159忘れられてた気がする
ことりは「もう、しゃあないなぁ。」と言いながら、洗面所へ行きオレの足をキレイに拭いてくれた。
「もぐ、ワンちゃんは階段の登り降りしたらあかんねんで、ヘルニアっていう腰痛になりやすくなるねんから。」
あー、それ聞いたことある。
でも、それってダックスやコーギーみたいな足の短い胴長の犬種のことだと思うんだけど・・・
ことりはやっぱり気にしすぎじゃなかろうか?
いや待てよ?オレの知ってる常識は合ってるのかな?リーヤよりもひ弱だとしたら、ことりの言ってることは控えめ過ぎる例えかもしれない。
「ちょっともぐ!聞いとーと!?」
聞いてませんでした!(汗)
少し低い声に反射的にシャキッとなるが、ことりはどうやってオレが話を聞いてるか聞いてないか判断したんだ!?
心の中読めたりするの!?
なにそれ怖い!!
意思疎通が出来たら嬉しいって思ってたけど、そういうのは勘弁して欲しい!
「も〜ぐ〜。」
はっ!すみません!聞いてませんでした!(泣)
オレはお説教タイムが長引くのを覚悟した。
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オレを心配してるのは分かってるが、お説教タイムは辛いし怖い。
ことりはオレが言葉を理解できるのが、分かっているような態度で、『◯◯だからあかん。』といった感じで言い聞かせるように怒る。
たまに全て見抜かれてるんじゃないかって思ってしまう。
ことりはこんなオレが不気味じゃないんだろうか?
「もぐ、お水やで〜♪」
ことりがランチョンマットに新しい水を用意してくれた。
ありがたく全部飲むと「全部飲めてえらいね〜♪」と言われた。
うん、見抜かれてるとかありえないな。
褒められるレベルが低すぎる。
「もぐはお水全部飲めるお利口さんやから、新しいおもちゃあげるね♪」
褒められるレベルが低すぎて恥ずかしいわ!
ん?新しいおもちゃってこの前の?
そういえばまだもらってなかったな。
買ってもらったのは、一昨日のはずなのに、長い間忘れられてた気がするのはオレだけだろうか?