133ことりと行く病院は(前編)
「森山もぐさん診察室へお入りください。」
キタァーーーーーーーーーー!!!!!
も、もう逃げられない(泣)
ガクブル ガクブル ガクブル
身体が勝手に震えてだし、抱っこすることりに爪を立ててしまう。
「もぐ、大丈夫やで♪すぐに終わるから♪」
他人事だと思って〜(泣)
「こんにちは、もぐちゃんその後どうですか?・・・あれ?」
先生がことりを見て驚く。またか・・・。
「あっ代理です。」
察したことりが簡潔に答えた。
「えっと、じゃあ前回のワクチン接種の後の様子とかはわからないかな?」
「しばらくサークルに入れて様子見してましたが、グッタリした様子もなく嘔吐や下痢、食欲低下などもありませんでした。」
「そ、そうですか。体調崩されてないようならなによりです。では、体重から計らせて頂きますね。」
「はい、よろしくお願いします。」
ことりはそう言ってオレを診察台の上に乗せて少し離れて、右の手のひらをオレに向けた。
「もぐ、『待て』、動くな。」
少し低い声でオレに命令する。
たったそれだけで、オレはことりを見たままフリーズした。
どうしよう、病院の雰囲気より、注射より、ことりが怖い!!
・・・・・・・・・・ピピピッ!
「920グラムですね〜。」
その言葉を聞いてから、ことりはオレに手をそえた。
前回との差が・・・
今、診察室には先生とことりしかおらず、松嶋さんすらいない。
中学生が居たから特別だったのかな?
「うん、今回も順調に大きくなってますよ♪」
「よかったです♪ちょっとお待ち頂けますか?」
「ええ、いいですよ。」
ことりの言葉に一体なんだろう?と言いたげな顔をしながらも先生は快く頷く。
ことりは「ありがとうございます。」と言って、カバンからボールペンとメモ帳を取り出して、『12月21日、もぐ、体重920グラム』と記入する。
「メモですか?」
「はい、あ、もしかしてダメでしたか?」
「いえいえ♪問題ありませんよ♪」
先生は笑顔で答えた。
動物に対して真面目な姿勢は先生にとっても好ましく感じたようだ。
まぁ、ドッキリ仕掛けるくらいの先生だしな。
それから先生はオレの肺の音や心臓の音を聞いたり、耳、目、歯ならび、泉門、ヘルニア、肛門、皮膚、足の状態を確認する。
ことりは耳、目、歯ならび、泉門、ヘルニア、肛門、皮膚、足の何を確認するのか?何を基準に診るのか?今後どう変化するものなのか、又はしないのか、どうなったら注意が必要かと質問して、メモをとり、診察する時の安定した持ち方なども教わり、ことり自身もやってみる。
もはやただの授業だった。
お読み頂きありがとうございますヾ(@⌒ー⌒@)ノ