124ペットショップまでの道(前編)
最寄り駅までことりの足で徒歩20分、地味に長い上り坂が続く道だった。
「もぐが地味に重い。」
失敬な!どう考えても別の荷物も含めてだろ!オレだけのせいにするなよ!
駅の販売機でことりの切符と手荷物切符を買って、駅員のチェックを受ける。
「ありがとうございました。では、こちらからお通りください。」
改札口を通ると左右に階段があり、ことりは右側にある階段を降りていく。
階段を降りると、少しホームを歩いていく。おそらく降車駅で階段やエスカレーターの近くに降りるためだろう。
この駅には10分間隔で電車が来るらしい。
タイミングが良かったのか、それほど待つことなく電車に乗れた。
ことりは出入口の前でカバンを抱えたまま立ってくれたので外がバッチリ見えた。
しばらく乗ったところで、大きな橋を渡りガタンゴトンと車体が走る音がさらに大きく聞こえた。
「もぐ、あの橋見える?前に渡ったことがあるんやで♪」
目の前に広い歩道と車道がある橋が見える。たしかに見たことある橋だな。っていうことは、あの時見てた電車に今乗ってんだな♪
初めてまともに外を見た気がする。
終点まで乗ると、ことりは電車を降りた。
「あれ?」
ことりは首を左右に振って何かを探す。
右を見ると階段とエレベーターがある。
微妙に遠い。
左を見ると階段とエスカレーターがある。
微妙に遠い。
前を見ると売店がある。
めちゃくちゃ近い。
ことり降りて売店に寄りたかったの?
ことりは「おかしいなぁ。3年2組やったはずやのに。」と首を傾げて左へ進んで行く。
3年2組って何!?意味わかんない!
ちょうど電車が見えたので数えてみると、オレ達が降りたドアは前から3両目の2番目のドアだった。
3年2組ってこれのことか!
でも、覚えにくいだろう。
しかも降りても売店前だし。
出口から微妙に遠いし。
エスカレーターで下に降りて改札口を出ると、左へ進んで行く。
駅を出るとみんな同じ方向へ進んで行く。どうやらここは乗り換えのための連絡路のようだ。
日曜日だからか子供も多く、めざとくオレを見つけては「あーッ!ワンちゃん!!」と甲高い声を上げる。
予想外に周囲の注目を浴びたことりは早歩きで連絡路をあとにした。
乗り換えの駅までくると、再び販売機でことりの切符と手荷物切符を買う。
駅員さんのチェックをクリアすると、ことりは案内板を確認してからホームへと降りて行く。
この辺りがあまり行かないって言ってたところなのかな?
ホームへ降りるとすでに電車が止まっていた。
寒さ対策のためか、ドアの横にあるボタンを自分で押して乗り降りする仕様のようだ。
ことりはドアの前で困った顔をしてた。
え、まさか・・・。
ことりはホームにある案内板を見て電車を見て、再び案内板、電車と繰り返し見て、そして最後にメモしてた乗り換え案内を見た。
「この電車のはずなんだけど・・・なんでドア開いてないの?清掃?でも中にお客さん居てはるし・・・」
やっぱりことり手動知らないの!?
そこだよ!そのボタン押したら開くから!!
キュゥン!キュゥ〜〜〜ン!!
「もぐ、『シー』やで。もう少しだけお利口さんにしててな。」
もう!じれったいよ!!
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明日にはペットショップに着くはず・・・多分。