123出かける準備をしよう
次の日ことりがオレのカバンを開きながら持ち物チェックをしている。
こういうところは姉妹そっくりなんだな♪
「お財布持った、リードとハーネス入ってる、おやつのドッグフードもある、もぐ用タオル入れてある、消毒ボトルスプレーある、トイレシート敷いてある、ビニール袋に、流せるティシュもある、地図ある、他に何かあったけ?」
「大丈夫じゃない?」
「くろにゃんは?」
ことりの呟きに律儀に返事するお母さんとお父さん。
くろにゃんいなくても大丈夫だよ?
「あっくろにゃん忘れてた。それからうさぴょんの布とメモを持っていかんと糸買えへんわ!」
ことりはくろにゃんをオレのカバンに入れてから、急いでことりの部屋に戻ってうさぴょんの布(破片)を持ってきてジップロックに入れて自分のカバンにしまった。
「『糸買えへんわ』って、今日買いに行くつもり?もぐ連れてたらお店に入れへんでしょ。」
「ペットショップの近くに手芸屋さんがあるから、もぐ預けてる間にサッと行って買ってくるわ♪」
「それなら大丈夫やな。」
「道順は大丈夫?」
お父さんが心配そうに尋ねる。
今回ペットショップに行くにあたって、電車の乗り換えが発生する。乗り換えの先の電車は普段あまり使わないらしく、ことりは昨日から何度も確認してた。
お父さんも心配してくれるなんて娘思いで優しいなぁ。
「久しぶりに乗るから心配やけど、降車駅は普通も特急も止まるみたいやから大丈夫やと思う。なんやったらお父さんも一緒にペットショップ行く?」
「練習あるからムリ。」
「・・・・・」
む、娘思い?
「まあいいや、じゃあもぐ『ハウス』して♪」
ことりがカバンを広げてオレを待つ。
「もう『ハウス』覚えてるんや!?もぐ、天才やな!!」
「知らんけど、なんとなく言ってみてるだけ。」
えっ!そうなの?
歩き出そうと上げた右前足を空中で静止させた。
どうしよう?もう習った気でいたよ。
まだ、覚えてないと思われてるのかな?
前はお尻押されながら入ったけど・・・とりあえず、カバンの側に行ってみようかな。
オレはカバンの近くまで行くと、甘えるようにことりにじゃれついた♪
キュゥ〜ン♪
「もぐ、『ハウス』やで♪」
そう言ってことりはオレのお尻を押してカバンへ誘導する。
うん、これでよかったみたいだ。
自然に覚えるタイミングって本当に難しいな。
カバンに入ると出発だ。
「じゃあ、いってきま〜す。」
「いってらっしゃ〜い。」
「気をつけてね。」
オレはお父さんとお母さんにキュゥンと鳴いて挨拶して伏せをする。
カバンに入っている時は突っ張って立つか、伏せてないと安定しない。
覚悟はしてたけど、今日これからのことを考えると憂鬱だ。
シャンプーとか注射とか・・・
はぁ、寝て起きたら夜になってないかなぁ。
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