121ことりのこだわりってめんどくさい
「ことり、何やってんの?」
「あっお母さん♪おかえり〜♪もぐ、お母さん帰ってきたよ!嬉しいねぇ〜♪」
あっうん、お母さんおかえりなさ〜い。
しっぽを振って挨拶する。
うさぴょんのことが気がかりなだけに雑な挨拶になるのは勘弁してください。
それより『納得できない』ってどうゆうこと!?
「はいはい、ただいま。で?どうしたん?今までもぐちゃんがいる時は洋裁なんかしなかったやない。」
「もぐがうさぴょんボロボロにしたから直してんねん。」
「あっ、ホンマやわ。もぐちゃんってけっこう残酷なんやな。野生の血やろうか?」
えっ?違いますよ!?ここまで解体したのはことりだよッ!!
「ストレスがあったんかもしれへんね。」
弁護士を呼んでくださいッ!!!
「それで何が『納得できない』の?」
お母さんがそう問いかけた途端にことりが『待ってました!』言わんばかりの顔をして、お母さんが若干『しまった』と後悔したような顔をした。
「それがね!これを見て!?」
そう言ってうさぴょんの布と糸をお母さんに見せる。
だから、これが何?
「うん?」
「これ糸と布の色が違うやろ!」
あっそうなんだ。色彩関係はさっぱりだからなぁ。
「う、うん。」
お母さん?
「まったく!大量生産やからって横着しよって!生成り色の布に白い糸使うなんてぬいぐるみへの愛情がないわ!!」
は?
「でも、見えへんのやろ?それに目立つほど色が違うわけちゃうし・・・」
「それが横着やの!生成り色の布には生成り色の糸を使わなあかんねん!でもここでうちが生成り色の糸を使うと他の部分と違う感じになるし、でも心情的には白で妥協したくないし、かといって糸を全部生成り色にするために全部解体して作り直すのはめんどくさいねん!どうしたらいいと思う?お母さん!」
おいコラ!
「糸は最終的に外から見えへんのやろ?」
「うん!」
「・・・どっちでもええんちゃう。」
「ええ!?対応雑じゃない!?」
いや、誰でもそう答えると思う。
『だいたいことりが気になるところなんて言われても分からんもん♪』
みのりが言った言葉にオレは激しく同意した。
結局ことりは手持ちに納得がいく糸がないため、後日、糸を買いに行くことにして本日の作業は終了した。
うん、ことりのこだわりってめんどくさい。
作中に大量生産の仕様に否定的な意見がありますが、こだわりと効率は別物とご理解頂いた上でこだわり派はそんなところも気にする人がいるだな〜と軽く流して頂けますと幸いです。