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真夏ダイアリー  作者: 大橋むつお
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1『真夏のSOUNDS GOOD』

とりあえず学園ラブコメで始まりますが、作者の頭の中は妄想で一杯であります。

アイドルの世界も描きたいし、タイムトラベルもやってみたいし、歴史のIFにも挑戦してみたい!

そんなわがままライトノベルの始まり始り!

真夏ダイアリー


1『真夏のSOUNDS GOOD 又は 遅いのよ、言ってくれるのが!』    




 真夏!

 

 という声がしたが今は冬だ。 

 

 真夏というのは、わたしの名前。


 この物語は、この「真夏!」という聞いただけで暑苦しい名前からはじまるんだけど、それはひとまず置いといて、わたしはボールを取りにいく。


 省吾が打った球が大当たり、球はテニスコートの方角に飛んでいく。


 省吾のバッティングにテクニックはない。力任せに打ち込んでくるだけ。たいがい空振りになるんだけど、当たれば大きい。


 ホームラン王は一番三振が多い……が、省吾のモットー。


 で、今、わたしが投げた甘い球が大当たり……で。


「アイター!」になった。


 わたしは、テニスコート前の水たまりに張った氷に足が滑ってスッテンコロリン。


 アハハハハ


 省吾と玉男が笑う。


「イテテ……これって笑ってるジョーキョー!?」


「真夏、おパンツ丸出しだったわよ」


 これは、同じ放課後野球仲間の玉男。


「いいもん。見せパンだから。でも、どうして氷り張ってるとこに打つのよ!」


「だから、注意したろ。『真夏!』って」



「遅いのよ、言ってくれんのが!」


 わたし三人の奇妙な友だち関係はこの言葉から始まった。



「遅いのよ、言ってくれんのが!」


 そのとき、相手は廊下にひっくり返って、鼻血を流していた……。

 


 八か月前の入学式。



 式が終わって、わたしたちは副担任の福田百合先生に先導されて教室に向かった。都立高校なんで、設備はボロッチかったけど、新入生を迎えるため、心をこめて掃除してあるところに好感が持てた。


 教室について、しばらく手持ちぶさただった。


 他の教室は、担任が、いろんな配りモノを持って、続々と教室に向かい、誘導係の副担任と交代している。しかし、このA組の担任はなかなかやってこない。


 A組は校舎の一番階段よりにあって、先生達の移動がよく分かる。


 新採の百合先生は不安そうに廊下に出て、階段の下の方を覗き込んでは、教室にもどり、緊張から頬を赤くしてまばたきばかりしている。


 五分たって階段を駆け上がってくる足音がした。


 百合先生に安堵の表情が浮かんだ。しかし、やってきたのは学年主任の浜田先生だった。廊下でなにやら言葉が交わされ、浜田先生は拝むようにして行ってしまった。


「担任の山本先生のお母さんが急病で倒れられたので、わたしが、代わりにやります!」


 百合ちゃん先生のまばたきは、いっそう激しくなった。


「ま、まず、みんなの名前を呼びます。大きな声で、返事してください」


 で、百合ちゃん先生が名前を読み上げ、そこで問題が起こった。


「……中村玉男君」


「……はい」


 プ(灬º 艸º灬) 


 笑いのツボに針が刺さった。


 中村玉男は音だけ聞くと中村玉緒で、あの面白いベテラン女優さんが連想される。それに、玉男の返事は、いかにもオネエの感じで、わたしも思わず吹き出しかけた。


 これで、良く言えばホグれて、悪くいえば緩んでしまった。


「……ええ……春夏秋冬省吾しゅんかしゅうとう しょうご……」


 アハハハハ! ウハハハ! ギャハハハ!


 百合ちゃん先生が「君」を付ける前に、教室は再び笑いに包まれた。で、省吾が着席しながらだけど憮然として言った。


「春夏秋冬と書いて、ひととせと読みます。ひととせしょうごデス!」


「あ、ご、ごめんなさい。あ……ちゃんと読み仮名ふってあるし……」


 百合ちゃん先生は真っ赤になって、目が潤んで、パニック寸前。でも、気を取り直して、それからは、読み仮名を見て、正確に呼んでいった。


 そう……正確に。


「冬野真夏さん」


 ワハハハハ! グハハハハ! ガハハハハハ!


 大爆笑になった。


 わたしは玉男のときに吹き出しかけたのも忘れて、胸に怒りが湧いてきた。


「アハハ、このクラスって、おもしれえ名前のやつ多すぎ」


 その名も大杉ってヤサグレが笑い出した。


「冬の真夏って、矛盾でおもしれえ!」


「大杉君!」


 さすがに百合ちゃん先生がたしなめ、大杉はニヤニヤしながら黙り込んだ。


 それから、百合ちゃん先生は、レジメとにらめっこしながら、配布物を配り、明くる日のスケジュールを確認すると、わたしたちに起立礼をさせて、さっさと行ってしまった。


 そして問題が起こった。


 大杉とその取り巻きと思われる男子が二人寄ってニヤニヤ笑っては、わたしたち三人を見た。玉男も、省吾も無視して教室を出ようと荷物をまとめていた。わたしは、二度目に大杉のニヤケた目と合ったときに、ほとんどブチギレテしまった。


「ちょっと、あんた……人の名前で笑うんじゃないわよ!」


「おお、怖ええ」


 大杉はおどけ、わたしは、なけなしの理性を失った。


「好きこのんで、こんな名前になったんじゃないわよ!」


 バッチーン!


 で、大杉は廊下にひっくり返って、鼻血を流していた……。


「ああ、真夏!」


 省吾が叫んだ。


「遅いのよ、言ってくれるのが!」


 わたしは、入学早々停学を覚悟した。


「出来杉だか大杉だか、知らねえけど、今のはお前が悪い。チクったりするんじゃねえぞ……」


 省吾は大杉の胸ぐらを掴み、取り巻き二人にもガンを飛ばした。


「わ、分かったよ……」


 大杉たちは、見かけによらずスゴミが効いて腕のたちそうな省吾に恐れをなして行ってしまった。


「真夏は成り立てで尖んがっちまうだろうけど、すぐに慣れるよ。なあ中村君もさ」


「う、うん」


 これが、三人の付き合いの始めだった。


 ちなみに、省吾は中学がいっしょで、互いに面識はあった。でも、肩に手を置いただけとはいえ、体が接触したのは初めてだった……。



 二球目の投球動作に入ったところで声がかかった。



「君たち、テスト一週間前だぞ、いいかげんに帰れよ!」


 校長の轟。名前の通りよくとどろく声に、あたしは固まった。


「すみませーん、最後の一球でーす!」


 ハンパな投球姿勢から投げ出された球には球速は無かったけど、微妙な変化球になり、省吾は見事なフライを打ち上げた。わたしは、打ち上げた球の行方に『これは面白い』という予感がして、スマホを構えシャッターを切った。


 パシャ


 帰り支度をしながら、三人でスマホの画面を確認。


 三人で大笑いした。


「校長先生かわいそー!」


 玉男が、お腹を抱えて笑いをコラエる。


 シャッターチャンスが良く、巨大なボールが校長先生の頭の真上に落ちそうに写っている。


 ちょっとオモシロイ真夏のSOUNDS GOODなかなかいいねになった!

 

は、始まってしまいました!

妄想の手綱は握っているのが精いっぱいで、話はどこに飛んでいくか分かりません!?

どうか、最終回までお付き合いのほどを、伏してお願い申し上げる次第です!

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