13 変化するとは フォース・マスター 第2シーズン-2
洗濯機に今日着ていた物を入れていると
ヒラヒラと小さな紙切れが落ちた。
拾ってみると、あの名刺だった。
今頃出てきてもと思いながら、ゴミ箱に捨てた。
ただ、あの女性が言っていた「本当に僕が満足できるには
どうすればいいのかを教えてあげる」という言葉だけは何
度も僕の頭をリフレインしていた。
僕は今、満足していないのだろうか?
確かに新しい彼女との出会いは、とても刺激的で楽しい。
だが、仕事や自分の生活そのものは何も変わってはいない。
彼女と出会ってから、もっと自分が変われそうな気がして
いたのに、いままでの僕と変わらない。
別に何かをして変わるとかではないのだろうけど、
何かスイッチを入れられてないと言うか
何かギアチェンジができていないというか
満足できていないと言う方が正しいのかもしれない。
歯を磨きながら、そんなことを考えた。
あの名刺を、捨てる時に目に入ったフレーズがあった。
『魅力とは日々変化することである』
僕は、彼女に魅力を感じているが、僕自身には魅力を感じてはいな
かった。
僕は、自分にも魅力を感じられるように、どうすればいいか
を本気で考えたいと思った。
ゴミ箱から、捨てた名刺を拾い上げた。
連絡先にメールをした。
次の日の朝、メールの音に気づいて目が覚めた。
あの名刺の主からのメールだった。
まだ6時前だ。
しかし、そこには単純に1つだけ書いてあった。
『朝食を変えると、生活スタイルが変わる』
それだけだったが、その位なら意識さえすればできそうだし、
続けていけそうな気もした。
まず、しゃれた皿を使って、盛り付けキレイにして
見た目を豪華にしよう。
やれそうだと思った時にやれば、案外、頑張りは要らない。
何か服装もちょっとだけ変えてみたくなってきた。
小物でも新しいものを買うのは、物を増やすのではなく
先に何かを捨ててからにしようと思った。
それと食材も1人分だからと思ってコンビニで買うことが
普通だったけど、野菜や果物を前もってカットしておくのに
もコンビニよりも遠いが、スーパーに買物に行ってみよう。
彼女の魅力に誘れて、僕は新しい世界に出て行く勇気
をもらった。
彼女のためというのではなく、
もっとモテたいというのも、まったくないわけではないが
もっと、自分も魅力を、高めていけるようにしたいと
とても強く今は思うようになった。
今日から僕の「修行」が始まった。