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11 焼き鳥屋 フォースマスター

焼き鳥屋に入った。    

彼女はどこでも同じような席にすわっていた。

「はい。まずはおつかれ様でした」

彼女は自分のビアグラスを僕に渡して、自分

は串入れの竹筒たけづつを持って、乾杯かんぱいをしてくれた。

「大将。こっちに生を2杯お願いね」

彼女は、ちゃんと店の大将の顔を見ながら、

ほほえんで言った。

この店も、地元の野球チームの優勝マジック

が点灯する試合に勝利まじかで、大盛り上が

りをしていた。


彼女は白いレースのノースリーブに、ブルー

の小さな花柄のミニスカートに、エメラルド

グリーンのサンダル姿で、海に今から行けそ

うな服装だった。

「どう、私にれなおした?」

彼女の焼き鳥屋での、乾杯かんぱい後の開口一番

のいつもセリフだ。

僕がだまったままでいると

「どうして、れなおしたよ。君の美しさに

って言えないかな。教育が良くなかったのかな。

 まあ、それはさておき、愛してるわ。アキ君」

本当に、自分の言いたいことを言えてうらやましい。

僕は、彼女のそんなところにれている。

「あ、今、私にれてるって思ったでしょう?」

なぜ分かるんだ。君はエスパーなのか。

本当にすぐに言える彼女がうらやましくて、たまらない。


「でね。この間、読んだ本の話なんだけどね」

彼女の「焼き鳥屋話」が始まった。

別に焼き鳥の話ではないのだけど、焼き鳥屋でしか

話さないネタというか、彼女のオタク的ネタ話を

してくれる時間になった。

僕にとっては、幼い子供への読み聞かせの時間の

ようにも思えてしまうが、本当にこの時間が僕に

とっては幸せな時間だ。

焼き鳥屋がないところでは、僕は生きていけない

かもしれないと思った。









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