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プロローグ
神様お願いします。
どうか俺の願いを叶えてください。
金持ちになりたいとか、美味いもの食いたいとか、そういう贅沢は言いません。
生まれつきの不幸を俺は嫌ってほど自覚しています。
遠足や修学旅行の日には必ず風邪を引きました。給食のカレーは確実に盆ごと引っ繰り返しました。外で遊ぼうものならカラスや猛犬に高確率でエンカウントして追い回されました。
そんな日々を中学校卒業まで過ごせば嫌でも自覚するってもんです。
高校生になった今年も半分以上過ぎたけど、いいことなんてほとんどありませんでした。せいぜい、滑り止めの高校に受かったくらいです。本命? 高得点取れたと思ったのになぁ。なにがいけなかったのかなぁ? 面接の途中で突発的な腹痛に襲われてトイレに駆け込んだせいじゃないよね?
うん、まあ、その辺はもういいや。
なんというか、アレですよ。
だからせめて、この夏こそは、小さな幸運をってことで。
具体的には――
――彼女が欲しいです。