表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

鳴成十矢

テスト。ぐぷぉ。

「なんと言うか…」

歯切れの悪い言いようである。

それも其の筈。

「確かに、ももちゃんの命を救ったのは救ったんだ。でも、心臓に手を当ててご覧?」

ももは、心臓のあるあたりに手を当てた。

控えめな膨らみに触れただけでトクン、トクンと脈を打ち続ける器官は其処になかった。

「ごめんね、ももちゃん。本当は君の命を救ってあげたかったんだ。」

ももは、心臓があった位置から手をそっと放した。

自然と涙が流れ落ちた。

「何で、何で、私は生きてるんですか…?」

問うたその瞳には強い意思があった。

「我々、狂った研究者達(マッドサイエンティスト)というチームはね今Aプロジェクトというモノを進めていてね。その第一段階にSプログラムというモノがあってね。君にはその、何と言うか、実験体になってもらったんだ。」

(Aプロジェクト?)

その言葉を聞いた時何故か、背中がゾッとなった。何故か、だけれど。まあ、いいか。

「続けてください。」

ももは鼻を啜りながら言う。

「君の身体の半分、いや半分以上は機械(マシン)だ。いわば、改造人間(サイボーグ)だ。まぁ、改造人間(サイボーグ)の定義からは遠く離れているけど。君には、その身体で生き続けて欲しい。はっきり言って君の情報(データ)は喉から手が出るほど欲しい。我々の、Aプロジェクトには絶対不可欠なんだ。」

「お兄ちゃん…」

「まあ、でも、どんな形であれももちゃんを助けたのは事実だし、もちろん協力してくれるよね?」

鳴成十夜、熟がめつい男である。

「は、はぁ。協力させて頂きます。」

ももは狼狽したが何とか応えた。

「えーっとね、この資料読んで同意してくれる?」

タッチパネルが渡される。

「えーっと、」

その資料にはいろいろ書いてあった。

「柏井ももの存在を抹消…。」

胸の奥がツキンと痛くなる。別に自分が好きとかじゃないけど15年の人生を全否定されたような気分になった。

「ごめんね、それでももともとももちゃんは消えてしまう運命だったんだよ。」

鳴成は、ソッと目を伏せた。

「代わりに名を鳴成(なるなり)十矢(じゅっし)と名付けることとする。」

最後の一文を読み終え一息、

「鳴成?!」

つけなかった。

「ああ、うん。僕が、このプロジェクトの最高責任者なんだ。」

とても、そうは思えない。

「随分お若い最高責任者なんですね。」

「いやいや、滅相もない。これでも三十路を10年前に超えている身だよ。」

「いえ、冗談はよしてください。如何考えても二十歳(はたち)の間違えですよね?お兄ちゃん。」

「3ヶ月前に、アラフォーを迎えたよ。」

「あらやだ、オカマだったんですか。」

「いやいや、まあついに四十(しじゅう)だよ。人間歳は取りたくないモノだね。」

「嘘はやめてください。お兄ちゃんからお父さんにしますよ。」

「嘘じゃないのでやめてください。お兄ちゃんって呼んでください。」

「じゃあ、生年月日言ってください。」

「1974年3月12日!」

「死んでください、お父さん。」

「何で?!」

生年月日を即答したことで認めたらしい。

「何でお父さんは40歳なんですか?」

「歳を取ったからだよ。あと、お兄ちゃんって呼んでぇ…。」

「うるさいです、爆発してください。」

「ここに、実験施設ごと爆破出来る1945年に落とされた爆弾の200万倍の威力の爆弾がありまーす。」

和やかに応える鳴成お父さん。

「パパ!早まらないで!」

「くっ、娘よ。こうするしかなかったんだ。」

「好い加減茶番やめていただけますか、Dr.」

突然現れた女性。

「そして、切腹してください。」

「何でそんなに辛辣なの…?!」

物凄い、言われようである。

「初めまして、私は赤崎神(あかさがみ)麗緒(れお)と言います。この変態の助手をやってます。」



※尚、目が覚めたらの麗緒ちゃんと関係あるかはわかりません。ばぁむ自身も。

あと、西暦とかは2014年に合わせてますけど全く違う歴史を辿ったと思ってください。寧ろ、鎖国なかったぐらいに捉えてください。ええ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ