石塔の村
2020年4月7日にようやく加筆修正が終わりました。
根幹は変わっていませんが話の流れは大きく変わっておりますのでよろしければご一読してください。
「【索敵】」
あのゴブリンの巣の他にも色んな魔物の巣があるようだ。
たとえば左後ろの四足歩行の中型の反応の魔物とかかな。
振り返って目を凝らす。
見えにくいが赤い岩山に擬態しているトカゲがいる。
「【鑑定】」
〈岩宿蜥蜴:岩のような肌を持つトカゲ。周囲の岩に擬態し、獲物を捕食する〉
ピリッとした感覚が襲う。
【見切り】
伸びてきた舌を紙一重で回避する。
さて、どうするか。
先ほどのゴブリンとの戦闘で一段階、強くなった感覚がある。
アレは出来るかな?
少し試してみるか。
「【プロダクション】」
刃こぼれしたナイフを取り出す。
強くイメージをする。
「【影縫】」
薄くトカゲの影が出来ている辺りにナイフを投げる。
岩山に当たり弾かれるはずのナイフはそのまま突き刺さる。
「成功。出来ることが増えたな」
「【プロダクション】」
曲剣を取り出し身動きをとれなくなったトカゲに近づく。
「【頸刎】」
剣を振るって首を斬った。
トカゲは光の粒子に変わり消えていき岩の欠片のような鱗を落とした。
拾ってカードにしまう。
「【索敵】」
近辺に反応なし。
お腹が空いたし、ご飯にしよう。
「【清めよ、クリーン】」
曲剣をカードに戻し、サンドイッチとオレンジジュースを出す。
周囲の警戒を行いながら食べる。
荒野は草原に比べて魔物が多いな。
気をつけないとな。
【索敵】【警戒】のスキルのおかげで荒野でも十分やっていけた。
岩ゴブリン、岩宿蜥蜴、岩蟻。
数が多いときは逃げたり、策を弄して倒したりして3日ほど荒野を彷徨った。
そして、岩山が乱立しているエリアに到達した。
「【索敵】」
反応無し。
魔物のいないエリアか、それとも【気配遮断】持ちか。
警戒しながら近づくと、人影が見えてきた。
「【鷹の目】」
普通の村人のようだ。
怪しまれないように武器を仕舞って近づく。
「やあ、旅人かい?ようこそ、石塔の村ロントへ!」
「はい、入っても大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。ただ村長に挨拶はしてね。あの一番大きい石塔に居るから」
「わかりました」
村の入り口で和やかに話しかけてくれた青年が教えてくれた石塔を目指す。
道を歩いていると追いかけっこをしている子供たちや井戸のそばで談笑している奥様方がいた。
「和やかな村だな」
周りより大きな石塔にたどり着くと外のベンチに座っている杖をついた老人がいた。
「すみません、村長さんを訪ねてきたのですが」
「村長はワシじゃよ。旅人さんよく来てくれたねぇ」
「村長さんでしたか、タースより来ましたリキオといいます。よろしくお願いします」
「リキオさんか。よろしく頼むのう。さて、少しお話でもしていかんかね」
「え、お話ですか?」
「ふむ、この歳になると誰かに昔話をしとうなるのじゃ。村人は聞き飽きたようで聞いてくれなくてのう」
「まあ、僕でよければ」
村長は語り始めた。
ーーこの村の石塔は元は魔物の巣であったといわれておる。
この村に来る途中でも出会ったと思うが蟻型の魔物、岩蟻の巣であったとな。
その昔、この赤銅の荒野が魔物で溢れていたころ。
二つの勢力が覇権を握らんと争っていた。
それは今この村のある一帯を住処としていた岩蟻を統べる女王、緋色女王蟻。
そして主に生物を食べることで成長したゴブリン、小鬼の帝王、ゴブリンエンペラー。
二つの巨大な魔物勢力はこの地を統べようと日々、争っておった。
埒があかぬと考えたゴブリンエンペラーは精鋭を引き連れこの地に攻めいった。
熾烈な戦い、多くの魔物が傷つき倒れていった。
そしてついにゴブリンエンペラーが多大の犠牲を払い、緋色女王蟻を倒した。
しかし、決して浅くない傷を負ったゴブリンエンペラーは傷を癒すためこの地を去った。
そうしてこの地に残ったのは大きく数を減らした岩蟻とゴブリン、騎獣として使われていた岩宿蜥蜴ぐらいになったといわれておる。
まあ、コレは過去を見ることの出来るという旅人から伝わったという話しじゃがのう。
ゆっくりと話し終えた村長は一息をついた。
「ありがとうございます。この村の歴史にはそんな話あるのですね」
「いやいや聞いてくれてありがとう。まあ、リキオさんにこの話をしたのはワシが話したかったのともう一つ理由があるのじゃ」
「もう一つですか」
「この村から朱壁の町シアムに続く道に岩蟻が巣を造ったのじゃ。本来であればシアムの冒険者が巣の撤去を行ってくれるのじゃが、いまシアムでは催しが行われており冒険者の派遣が遅れておるのじゃ」
「はあ」
「そこでリキオさんには申し訳ないのじゃが、岩蟻の巣の調査および掃討を行っていただきたい」
「僕がですか?」
「先ほど語ったようにここは元は岩蟻の巣だったといわれるトコロ。村の近くに巣が出来たのであればもしかしたらコチラに岩蟻がくるやもしれない。報酬は弾むと約束しましょう。どうかお願いできないじゃろうか」
「まあ、岩蟻ぐらいなら問題はありませんが。様子を見て無理そうでしたら諦めますよ?」
「それでも情報を持ち帰っていただいたら報酬はお渡しいたします」
「わかりました。ちなみにどうして僕に依頼を?」
「なに、タースよりこの村にお一人で来られるということはそれだけの実力があると見込んでお願いしております」
なんだか、村長に上手く乗せられた気がするけど。
どちらにせよシアムには行きたいしお金もあまり稼げていないからいいか。
釈然としない気持ちを抱えたまま村長からの依頼を受けることにした。
お読みいただきありがとうございました。
目標は完結と10万文字を目指して頑張ります。
終わりまでのプロットは出来ておりますので大丈夫だと思いますが遅筆ですので御了承ください。




