リイラ初めてのお買い物の巻 6
アナタハダアレ?
クウゥ~
お肉屋さんに行ったら用事はおしまいだったんだけど。
お腹がとても空いてきたの。
竜はね、お腹が空くと力が使えなくなっちゃうのよ。だから本当はとても食いしん坊なの。
カッコいいおとうだってリオンだってすましたお顔でいーっぱい食べるのよね。
竜の体だと限りなく食べちゃって大迷惑だから、みんな人型になって食べるの<経済的>でいいんだって。
「リイラ、お腹が空いたのか?僕も少々お腹が空いてきた。広場の噴水の所に座って先ほどもらったパンを食べないか?」
『そうだね、ちょっとお休みしよう。リイラ疲れちゃった』
市場の真ん中の噴水公園は、ちょうどお昼だからみんな屋台で買ったのをおしゃべりしながら食べていたの。リイラとレオンも噴水の縁に座ってパンを食べたよ。
あーやっぱりクリームパンはおいしいね。ニコニコしちゃう。
広場は道化師さんや人形劇とか紙芝居とかやっててとても楽しそう。
近くで観たらお金がいるからね、遠くで観てるだけでも楽しいよ。
あの紙芝居は、お姫様のお話みたいだなぁー今日だけしかやってないのかしらん。
帰ったらおとうに頼んで連れて行ってもらおう。
「リイラ、のどが渇かないか?パンだけだと食べにくいものだな。あそこで飲み物を売っているようだ。買ってくるからここを動くんじゃないぞ。・・・・・しばらく任せたぞ」
『うん』
言葉の最後に小さく呟いてレオンは目の前にある飲み物の屋台にジュースを買いに行ってくれたの。
リイラから少し離れて、買い物かごを下げたお姉さんが二人座っておしゃべりをはじめたよ。きっとお友達でお祭りに遊びに来たのね。
ピッピピッピプー タッタタッタラー
楽しい音楽が聞こえてくる。音楽に合わせて足をピョコピョコしていたら、フワーッて風が吹た・・・。おとうに持たされたお守りの石が急にポッて温かくなって、あれっと思って入った袋を持った時に、レオンがいた所に男の人が座っているのに気がついたの・・・・。
『あなた、だあれ? 』
あらら、失敗。知らない人に念話しちゃった。
薄い茶色の髪と瞳の男の人は騎士様のような姿をしていて、お仕事中だったのか腰に鞘に入れた剣も下げていたの。
襟と袖にとてもきれいな金の刺繍がしてあって、上着は深い青で足首まであったけど。
軽く足を組んでいて、おとうがよく履いている太股あたりまである革のブーツを履いていたの。
明るい茶色のブーツもピカピカ・・・。あちこちのお洋服の装飾金具も銀色でキラキラ・・・。
うわわわわわ、すごいお金持ちの騎士様が隣に座っちゃったよ。
リイラ困ったよ、隣はレオンが帰ってくるから退いて欲しいのだけど・・・。
男の人はリイラに気がついて、あれっ?て感じで周りを見て、小さくあぁ猪豚祭り・・・って言ったの。
「王竜殿のお力はまったく、驚く事ばかりだ・・・。私はね・・・とても君に逢いたかったんだ」
『騎士様は竜持ちなの?』
「おや、小さな姫君。この騎士めが竜持ちだとお分かりになられるか」
『だって騎士様、王族か諸侯の気配がするけれど、怖くないもん。でも、あれ? あれ? 誰の契約者? ままままままままマサカッッッ!!! おと、おと、おとうがとうとう・・・・』
「ハハッ、私には幼き頃よりこの方と決めた竜の姫君が居たのでね、それは無い。あぁでも・・・、君に逢えて立ち向かう勇気が出たよ。そうだった、今日、この日から僕は君を全身で守り通すと決めたのだった」
『何だかよく分からないけど騎士様は・・・、寂しかったの? 』
そう言ったら騎士様はびっくりして目を見開いて、泣きそうな顔をしたの。
騎士様けっこう男前でリイラドキドキしちゃう。も、もしかしてリンちゃんが新しい契約者を見つけたのかしら・・・うーんウラヤマシイの~。
「君って人は・・・初めてあった時と同じ事を聞くんだな。いや、もう寂しくはない。だって君に出逢えたから・・・」
そう言って騎士様はそっとリイラの傍に来て、オデコにチュッってキスをしたの!!!
イヤァァァァァァァッ!!!そんなのされたのおとうとアルファお父様とリンちゃんとリオンとネネちゃんと・・・・けっこう色んな人にされていたの今気がついたけど、きっと知らない人では初めてよーーーッ!!!
リイラ、頭がカーってなってフラフラして、思わず目を閉じちゃった。
『オトメのオデコをウバワレタ!!!!!』
「ななな何を言ってるんだ?! リイラ? いちごのジュースを買ってきたぞ好物だったろう? リイラ?」
ハッ! あらっ? 男前はどこに行ったの? あーん!お名前だけでも聞いておけばよかったよー。
でもいっか、リンちゃんの契約者だったらまたいつか逢えるものね。
あと二回くらいで終われるかな・・・(・。・;