リイラ初めてのお買い物の巻 1
知らない間にリイラに誰かが小遣いを渡したらしい。
ばあちゃんが村を出る時に渡してくれたお菓子の袋がジャラジャラと音がするのを不審におもった俺は、
調べてみると銅貨が10枚ほど出てきた。
4人家族で食べる大きなパンが銅貨2枚とかなので、大金では無いのだが、子供が持つにはちょっと多いな。
まだリイラにはちゃんと買い物をさせてない。
来年あたりから、文字や算数を教えてくれる学校に行かすか、家庭教師を雇うか誰かに相談しようと思っていた俺は、金の使い方くらい先に覚えさておこうかと思った。
『ラギは過保護なんだよね、そんなの親が付いて行ったら気になって好きなものなんて買えやしないじゃないか。いつもは怒られるような物も自分のお金で好きに買えるのが小遣いの醍醐味じゃないの』
どうやってか家に居る事を察知して、メシをたかりに来るリンシェルンが昨日お隣に貰った桃みたいな果物にかぶり付きながら言った。俺まだそれ食べてないので残しておいてほしい・・・。
「過保護で何が悪い、卵の時に誘拐されそうになってるんだぞ。もしもの事があったらアルファーに何て言えばいいんだ。まぁ明日辺り朝市に連れて行ってみるさ、食べ物も雑貨も売ってるし俺も日用品買い足しておくかなぁ」
『食料棚に食べ物も無かったぞ』
「・・・・・何故、勤労親子二人のこの家に食べ物がいつも無いのだろう」
『ネズミでも居るんじゃないのか、フフッ』
「赤い髪のネズミだろうか、本当に困るんだからな、小麦粉とか粉のままで食うな」
『それは私じゃないぞ、酷いなぁ』
この家には勝手に物を食っていくやつ、勝手に酔っ払って帝城まで帰るのが面倒だと泊まっていくやつ等が居て、粉を食う犯人はそうしたらアイツしか居ないわけで。シオーネに一言、自分の契約者に人んちの粉食わせるなと言っておかないといけない。
『ねえねえ、ラギ、わたしちょっと思い付いてしまった。今リイラってお昼寝中? 』
「あぁ、午前中タライで水遊びしていたから、疲れて寝てしまった。何思い付いた?」
キラリとリンシェルンの目が光った。
『買い物は一人で行かせるといいんだよ、それで私たちがひっそり後ろから護衛するのさ。親が一緒だときっと頼っちゃうから、これと、これお使いしてって。残ったお金で好きなもの買いなさいってのどう?』
何か、そういうテレビ番組があったような気がするが・・・。自主性と探索心とやらを育てるのにはいいかも知れない。
「いいけど、見つからないようにできるかな、けっこう俺達の気配をリイラは辿るぞ」
『そこはだな、ラギが無事にお買い物が出来るようにお守りだとか何とか言って、竜力込めた例の水晶渡しておけば、最初から竜の気配がしているワケだし誤魔化せるんじゃないかな、(ΦωΦ)フフフ・・、じゃあ三日後にリイラのお買い物計画を実行しよう。あ、護衛の準備は私に任せたまえよ』
「・・・・何だか面倒な感じになってきたが、リイラには一人で買い物に行くように言えばいいんだな。それで周りで隠れながら守っていくという事だな」
『そういう事、じゃっわたし準備があるから行くわ!!|Д゜)ノ マタ!!!』