リイラ初めてのお買い物の巻 終
帰り道、レオンとリイラでいっぱいおしゃべりをして帰ったのよ。
レオンのお母さんの事、お勉強の事。
剣の練習を始めた事、お母さんにナイショで騎竜した時に使う武器の扱い方も教えてもらっている事。
「契約者は竜と一緒に戦うためにある。竜と共に戦うための騎竜兵の武器もちゃんと大昔から研究されていて・・・立式の乗り方はそこから考案されたと言われているのだ」
ちょっと難しいお話だったから、リイラあんまり良く分からなかったんだけど。
リイラがお空の上の事や、おとうが竜の中で一番飛ぶのが速いとか。
リイラが渡り鳥さんとお友達になっておしゃべりした事とか、うんうんってうなずきながら聞いてくれたよ。
『雲の上は全部青でねお日さましかないのね、でもすごい速い風が流れているの。それに乗るととても速く飛べるんだよ』
「あぁ、叔父上や叔母上が羨ましいよ。僕も空を飛んでみたい、空から地上を見てみたい。色々な場所に行ってみたい」
『ただいま~』
お家に帰ったら、フィーナさんとレオンのお母さんがお帰りなさいって言ってくれたけど、おとうはまだ帰ってなかったよ。
リイラはフィーナさんに手伝ってもらって、いつも食べ物を置いている棚にお野菜とお肉とパンを置いてもらったの。
「リイラ様、お肉は今日明日中に食べてしまわれないといけませんわね。香辛料があるから、串焼きにしたら美味しいかしら・・・。お野菜は一緒に串に刺して、残りはスープに入れましょうね」
「私も手伝いましょう。心配無用、外国へ嫁ぐ予定であったゆえ花嫁修業で一通り出来るのです」
「まぁ、なんと恐れ多い事でございます。ですがここはラギ様の住処、王宮ではございませんし、ここにはお腹を空かせた子供が二人も居りますから・・・・パパッとやっちゃいましょう!!」
フィーナさんとレオンのお母さんがかまどに火をおこして、お料理を始めたけど。
包丁の音と楽しそうにお話しているのを聞いていたら眠くなっちゃったのね。
リイラ寝ちゃったみたいで、小さなおとうの声で気がついたの。
居間の奥の寝る部屋に居て、隣でレオンもくーくー寝ていたけれど・・・。
もう辺りは暗くて、ロウソクが一本だけ付いていたの。
「そうですか・・・、疲れて寝てしまったんですね。あ、外ですか?すみません騒がしくて、リオンが何かの大会で優勝したそうで生きた猪豚貰って来てしまって・・・。いえいえ、ここでは無理です。連れて帰れと言ってありますよ・・・・・・あぁ助かります。帝城で飼って大丈夫なんですか?へぇ他にもオウル殿下が・・・。おい、みんなも食べて行くんだったら食料を出して陛下達を手伝えよ」
おとうの声は好きだなぁ、低くてやさしい声だよ。
しばらくしてパタンってドアの音がして、トスッて誰かが座った感じがして・・・。
おとうがリイラの横に転がった。ぬぬ、起き損ねちゃったよ、もうちょっと寝た振りしちゃおう。
「はぁ・・・・疲れた。よく寝てるなぁ・・・フフッ・・・リイラありがとうな。おとうが前に居た所で・・・あれが今の季節一番美味しくて・・・。楽しみにしていたんだけど、懐かしくてもったいなくて大切にしていたら・・・食べられてしまったの・・・知ってたんだな」
おとうが竜力を抑えるのを止めて、リイラの体にフワリと髪が掛かったの分かったよ。
あらあ、ビックリさせようと思って戸棚の奥に隠しておいたのに見つけちゃったのね。
起きちゃおうと思ったけど。
おとうが寝そべりながら小さな声で歌を歌い始めたの・・・。
リイラが産まれた頃からずっと寝るときに聞かせてくれている歌だけど、何だか今日は特にゆっくりと想い出すように歌っているの・・・。
お隣の部屋も静かになったよ、おとうが歌いだしたの気が付いたんだね・・・。
そしてふと、おとうの声が止まって。リイラの首から下げていた袋から石を出したの。
「リイラは使わなかった・・・。何かに?いや、誰かに干渉された? 神山の金剛石だぞ、悪い気配はしないが・・・ヒビが入るなんて・・・」
おとうが一瞬ブルッと震えたのが分かった・・・。
トントン、ドアを叩いてフィーナさんが顔を出したよ。
「ラギ様お食事が準備できました、リイラ様も皇子殿下も起こして下さいませ。ちゃんと食べさせませんと・・・。シオーネ様が良いお肉を下さいましたのよ」
おとうはフーッて大きくため息をついて、リイラとレオンとを起こしてくれたの。
もうバレちゃってるけどね、おとうに戸棚からピンクのまぁるい果物を渡すとおとうはこれ大好きだよってニコニコして受け取って、そのままパクって食べたの。置いといたらまた食べられちゃうもんね。
この日の夜は、リンちゃんもアルファーお父様も、リオンにネネちゃん。レオンとレオンのお母さん。
何故かオウルおじさんまで居て、みんなで晩ご飯を食べて楽しかった。
「オウル、王竜殿に迷惑を掛けるのではありませんよ、シオーネに愛想をつかれてしまいますよ。小麦粉を拝借したそうではありませんか、私は情けない、帝城にたくさんあるのだから好きなだけ吸い込みなさい、窒息死だけはしてはいけませんよ。恥ずかしいですからね」
「姉上・・・・吸い込んでいるわけではありません。俺はこのしょぼい家を守るために小麦粉を利用したのです。家の周りをぐるっと薄く撒いておきますと、不審者の足跡が残るのです・・・」
とたんにネネちゃんがワナワナと震えだしておじさんの頭を思いっきりポカって叩いたの。
『不審者はアンタで、騒ぎを起こして追いかけられてんのもいっつもアンタだ!!!!』
リイラとおとうの小さい家が、逃げたおじちゃんを追いかけてネネちゃんが走ってちょっとギシギシいった。
夜遅くなったのでみんな竜園と帝城に帰る時間になったよ。
お見送りにお家の外に出たらびっくりした。
近衛兵と、親衛隊と憲兵さんがみんなを迎えに来ていたんだよ。
あれ?あのお姉さん達今日どこかで会わなかったかなぁ・・・。一人のお姉さんを見上げるとパチッってウインクされちゃった。
ごはん中もちょっと元気が無かったリオンが大きな毛皮がピカピカしている猪豚さんを綱で引いて、後はみんな馬車に乗り込んだの。
「リイラ、今日は楽しかった。僕は今日の事は一生忘れないだろう・・・」
そう言ってレオンはリイラに少し近づいて、オデコにチュッってキスをしたの・・・。
あら、これって・・・。
「子供の挨拶じゃないか、落ち着けって!!」
おとうと、リンちゃんにアルファーお父様が何故か腕を持って抑えられていたけど、どうしたのかな?
みんな帰って行って、おとうがお洗濯やお風呂にしている大きな木のタライで汗を流して、もうすっかり疲れちゃってお布団の中に入ったの。
今度お買い物に行ったら・・・わたしのお菓子を買おう・・・。
もう眠くて何も考えられないよ、今日は楽しかった・・・。
(人-ω-)゜*。★おやすみなさい★。*゜
(おわり)
これでリイラのお買い物は終わりです(o´・∀・`o)ありがとうございました。
次は本編でお会い致しましょう!




