村の新春かくし芸大会の巻
3月の活動報告に載せたSSです活動報告では読みにくい上に探しにくいのでこちらに移しました。お遊びで書きましたので文体は乱れております。
ぬう!
ラギは一声唸った、村では一年の始めに村の広場で集まって、お祭りをするのだそうだ。
村人が各々、得意な技を持ち寄って芸を見せ合うとか。
しまった、俺には芸が無い・・・。竜になれるとかダメか、だめなのか・・・。
だいたい、何なのだ、この新春かくし芸大会のような催しは。
プリシラやユリアンまで楽しそうに話している。
プリシラは手品を、ユリアンは楽器を演奏するのだそうだ。
お前ら、王族だろう、村人一般ピープルにそんなに簡単に芸を披露していいのかと
突っ込み処満載であったが、さぁどうするかと考えたところで、隣の家の村長がやってきた。「ラギさんちょっと相談があるんだが」 「なんですか」
「いつもの裸踊りなんだが、広場でするとみんな引くかな」
「確実に引くと思います、子供の教育に悪いので止めてください」
「そうか、やっぱりそうだよな・・・、何かいい案ないか?」
「そういうのは、自分で考えるもんです、・・・でも一つ妙案があります、俺は絶対イヤですが・・・」「なんだい?」
村長の目がキラリと光った、ラギが耳に顔を寄せる。
「ふんふん、おぉぉぉそれは斬新じゃ、さっそくいつもの飲み友達に声をかけてくるぞ」
村長は、スキップしながら去って行った。
『ラギ、祭りの催し物何にするか決めたのか? 』
リンシェルンがやってきた。「俺、芸無いんだよ」『歌がうまいとプリが言っていたが
』「いや、一人で何かするのは辛い・・・」『そうか、それなら私のを手伝ってくれ』
「みんなどうして、参加するんだ? 何かいい事あるのかな」
『知らんのか、遠い東の地で取れる、米というのが賞品だそうだ。スープに入れて一緒に食べるとウマいらしいぞ、この最果ての地で米に出会えるとは思って居なかった、私は優勝を狙っている、手伝え』ほう、ここではリゾットにして食べるのかと思ったが、米があった事に驚きだ。「よし、いいだろう一体何するんだ」
祭り当日。
「それでは最初はプリシラさんが、ユリアンさんの音楽に合わせて手品をします」
中々の手際のよさで手品が進んで行く、帽子の中から土鳩が出てきた時には周りから拍手喝采が起こった。
「次にガリム家一家総出で歌を歌います、題は、今日も一日ご飯ありがとう、です」
おぉさすが家族、息のあったハーモニー、子供たちのかわいらしい歌声が澄み切った空に響く。これもまた、盛大な拍手が送られた。
「次にリンシェルンさんのナイフの妙技です、冴え渡る技の数々をご覧ください、」
俺は練習通りに、舞台の脇からポイポイとナイフを投げて渡した。
それを踊るようにリンシェルンが受け取って行く、上に放り投げながらポイポイとうまくお手玉のように受け取ったり、くるっと一回転二回転しながら技を繰り広げる。
知らない間に、舞台の脇に、ベニヤ板みたいなものが設置されていた。
『ラギ、板の前に立て』「(;゜д゜)」『いいからたつんだ、私を信じろ! 』
「(;゜д゜)」えぇぇぇ? お前、米を食べたくないのか?と念話がとんでくる。
くそう、男は度胸だ、やってやろうじゃないか。板の前に立ったラギに村民は固唾を呑んで見守る、一人手を叩いて喜んで居るのはリイラだ、事の重大さが分かって居ないらしい。『いくぞ!』カッカッカッとリズムカルにナイフが板に刺さる。ガッッ!
最後には顔の真横に突き刺さった。「お、終わりましたか?」『うむ、ご苦労であった』
「リンシェルンさんとラギさんでした、盛大な拍手を!」
よかったよかったと村人達の安堵の声がした。
「さて最後になりました、村長とその仲間による腹踊りです」
スチャラカスチャラカと陽気な音楽とともに、胸に目を腹に口を書いてヘコヘコと踊る一団が現れた。
シーン。。。。一瞬にして会場に静寂が訪れた。
クッ、笑いのツボが日本とは違ったというのか、なんと言う不覚ッ。
しかし、「プッ、」小さく噴出した笑いとともに、会場はいきなり笑いの渦に巻き込まれた。
ギャハハハハハッ、ヒーッヒーッと腹を抱えて転げまわる人々。
そして、その様子を見て、調子に乗るオヤジ一団。
会場は一時混乱を極める。あまりにもの反応に、一人舞台のソデで青ざめるラギの姿があった・・・。
「今年の優勝は! 村長とその仲間達です! おめでとうございます! 」
『クッ、来年こそは優勝するぞ! 』「出るのかい!」
こうして村の年始めの祭りは盛大に幕を閉じたのであった・・・。
オツカレサマデシタ