【15話「裁かれる個性!ダンコン裁判開廷!」】
【あらすじ】
友情の試練を乗り越えたタカフミたちに、次なる試練が告げられる。それは――“裁判”。
個性をめぐる価値観の衝突。ダンコンのあり方を審理する模擬法廷が開かれ、仲間同士であっても対立せざるを得ない状況に。
それぞれの信じる“正義”を胸に、彼らは証言台に立つ!
「全員、静粛に!」
教室を模した模擬法廷のステージに、法服を着たAI裁判官・ジャスティス=ジャッジが姿を現す。目の部分には赤く光るセンサーが2つ、声は無機質ながらも威厳に満ちていた。
「今回の審理は、“ダンコン個性の優劣”に関する論争を扱う。原告は、リュウ=ストレート。被告は、マガリ・カーブ=曲がり。証人および陪審員として、他の諸君が名を連ねる。」
「おい、まじかよ……」とマガリがぼやく。
「俺が原告……ってことは、俺が訴える側?」リュウが眉をひそめる。
「いや、これは演習だ。だけど、本気で臨むしかない。」タカフミは真剣な目で見守った。
開廷の鐘が鳴る。
「まずは、原告から陳述を。」
リュウが壇上に立つ。その背筋は真っ直ぐ、まるで彼自身のダンコンのようだった。
「俺は、曲がりが悪いとは言ってない。ただ、世の中の“基準”というものがある。まっすぐであること、それは機能美であり、強さであり、シンプルな正義だ。誤解してほしくない、マガリが嫌いなんじゃない。けど、あの形が“理想”としてもてはやされるのは、やっぱり少し違うと思う。」
ざわ……と会場が揺れる。
「反論を。」
マガリ・カーブは、少し不器用な歩幅で前に出た。
「俺は、曲がってるからって負けたことない。むしろ、“まっすぐじゃない何か”に救われた人間もたくさんいるんだ。俺のこのカーブは……コンプレックスだった。でも、仲間やファンが“これがいい”って言ってくれた。それを否定されるのは……悔しい。」
彼の拳が震えていた。
「証人、タカフミ。君は両者の意見をどう思うか?」
タカフミはゆっくり立ち上がる。
「……俺は、どっちも正しいと思う。リュウは“理想”を示してるし、マガリは“現実”を受け入れて、その上で輝いてる。正しさって、ひとつじゃない。だから……俺は、“違いを裁くこと”自体が、間違ってるって思う。」
沈黙。
やがて、ジャスティス=ジャッジが判決を言い渡す。
「……判決。“どちらも正義”。本裁判は、教育的価値を認め、無罪とする。」
教室が拍手に包まれる。リュウも、マガリも、どこか照れくさそうに握手を交わした。
「お前、意外と熱いやつだな。」マガリがつぶやく。
「そっちこそ。……今度、カーブの磨き方、教えてくれよ。」リュウが笑う。
タカフミも静かにうなずいた。
――裁判という試練は、分断ではなく理解を生んだ。
ダンコンロンパ。次なる試練が、彼らをさらに深く試す――。
【次回予告】
16話「失われた誇り!封印されたダンコンの謎」
学園の地下に眠る封印。そこに記されていたのは、古代のダンコンに関する禁断の記録だった――
タカフミたちは“ダンコンの起源”に触れ、自分たちの在り方を問われる。




