風を擁きしめて 風に擁きしめられて
風属性!
風を擁きしめて飛ぶあいつと
風に擁きしめられて浮かぶわたし
翼がないことを悔やみながら
足枷を繋ぐ地面を睨みつける
空の青さは のしかかる重さで
撒かれた雲と灼きつく太陽に拒まれた
わたしに風を擁きしめることは叶わない
ひっそりと 夜になるのを待ったけど
昏い空には 三日月の鉤爪と
星たちの散弾銃が狙ってる
わたしに翼があったとしても
こんな空を飛んではゆけないだろう
だけどあいつの翼は
地面と繋ぐ足枷を斬り裂いて
のしかかる空の青さを背負ったうえで
撒かれた雲をおしのけて
灼きつく太陽に炙られながらも
風を擁いてはばたく
昏い夜空では
三日月の鉤爪に吊るされて
星たちの散弾銃に撃ちぬかれても
けっして散らされることのない強い翼
どう望んだところで
わたしには持ち得ないものだし
もう祈りも願いも うらやみさえしない
ただ まれに ほんの気まぐれで
風がわたしを擁きしめてくれたとき
そっと浮かぶことができるから
わたしはそんなひとときのためになら
翼がなくとも生きてゆけるのだ
昔はもっと水属性だった気も。