表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

不思議な存在

短編で投稿したのと同じ話です。

短編の方は削除します。すみません( . .)"

あれはいつの事だったか

まだ幼い、十歳前後の頃の出来事だった。


「はるくん、そろそろ寝る時間よ。おもちゃ、お片付けしてねー」


母が台所で、洗い物をしながら言ってきたのを覚えている。


「えー、やだ!まだ遊ぶ」


しかし、私はまだ遊び足りなかったのか、言うことを聞かず遊び続け、結局居間で寝てしまった。



それから何時間経ったのか、ハッと目が覚めた。暗い居間には誰も居らず、幼い私は不安を感じていた。


「お母さん?おかーさん」


真夜中だからか、返事はなかった。

……ぼくが起きないからって、ひとりにするなんてひどい

真夜中の静けさや、暗い部屋の中、一人な事への恐怖で涙目になる。

……このまま朝までここにいようか、それともみんなが寝てるへやにいこうか、どうしよう

母が掛けてくれたであろう毛布に包まったまま、少し悩んだ。

……ひとりでここにいるのは怖い、がんばってへやにいこう


幼かった私にとって、例え、居間から寝室までの短い距離だとしても、暗い廊下を歩くのはとても勇気がいる事だった。


おそるおそる、毛布から抜け出した私はそこで不思議な存在(ひと)を見た。

どうしてか顔は思い出せない。

髪は腰程までの長さで、艶やかな黒色をしていた。白い着物を纏い、宙に浮かびながら、じっとこちらを見ていた。

……え、だれ、ひぇっ、ゆっ、ゆうれいっ!

呆然と目を見開いて固まった。

それまでの人生で一度も見たことが無い存在を見ると、人は動けなくなるものなのだと実感した瞬間だった。


その存在は、特に何かをするでも無く、ただそこに浮いていた。そして消えた。

……な、なんだったの今の。びっくりした、こわすぎる


私は一目散に、寝室までの廊下を走り、家族が平和に寝ている様子を見て、やっと緊張が解けた。

緊張が解けると、眠気が襲い、そのまま兄弟の間に潜り込み寝てしまった。



「あれはなんだったんだろうなぁ」


二十六歳になった今でも、たまに思い出しては考える。


「何が?」

「いや、なんでもないよ、姉さん」

「あ、そう」


一つ歳上の姉が、ゲームをしながら聞いてくるのを流しながら、小さなため息をつく。


「そう言えば、はるくんさぁ、小さい頃、家に女の人が居るって言ってた事あるよね?」

「はるくんは、やめろ。そうだっけ」

「はいはい、はるとき。そうそう、すごくびっくりしたって言ってた」


ちょうど考えてた事を言われ驚きながら聞き返すと、姉はゲームをやめて話し始めた。


「昔は言わなかったけどさ、私も見た事あるんだよねー、綺麗な女の人」

「まじで?」


今まで一度も聞いた事がなかった。姉はあの存在を見て、なぜ誰にも言わなかったのだろう。


「え、見たらびっくりして誰かに言いたくなるだろ?」

「人によるんじゃない?」

「そうか…。で唐突に言い出したのはなんで?」

「なんとなく」


どういう事か。姉はこういう、掴み所のない不思議な性格をしている。


「あの存在はさー、結構何処にでも居るというか、ピントが合えば見えるかもって言う存在」


なんだよねー


と後半から話すのが面倒になったのか、だんだん小声になり、最終的に何を言ってるのかすら聞こえなくなった。


「だからさ、悪い存在(もの)では無いってこと」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ