新学期
三題噺もどき―にひゃくごじゅうろく。
春と言うのは、温かくて比較的生活しやすい気候なのはいいのだが。
同時に眠気を誘ってくるものだから、学生の身としては問題である。
いや、寝なきゃいいのだろうが、抗えぬものがあるだろう?
「……」
しかも、この時期の授業のつまらなさと言ったら……。
学年が一つ上がったのであれば、きっと全学年の復習とか次に向けての準備とかだろうか。
一度やったことの復習をするのはいいが……同じ内容聞かされても眠くなるのは仕方あるまい?……そうでもない?
「……」
今回のように、進学となると、また話が違ってくる。
新しく入ってきた生徒なので、そもそも学校の方針とか、これからの大まかな年間スケジュールとか。他の生徒の自己紹介とか。担当教師のありがたいお言葉とか。導入授業の導入授業とか。これから必要になる書類の説明とか。記入できるものの記入とか。教科書の配布とか。それに名前書くとか……。
そんな。もう。簡単なことばかり……。
これに何時間と費やすのだから、意味が分からない。
必要書類に名前書くのに5分もいるかよ……。そんな丁寧に書いてるわけでもない癖に。
「……」
その上、それを何日に分けてするんだから、もっと意味が分からない。
いや、一日でやれば終わるっていうの……。
なぜ、一週間もかけてそんなの聞かないといけないんだ……。それこそ時間の無駄でしかないし…紙の無駄もあるかもな。いらない紙ばっかり。
「……」
そんな。
くだらないしょうもない事ばかりの時間が続くものだから……。
眠い事この上ない。
さっさと終わらせたことを、他人が同じだけ終わるまで待っていないといけないのが。
何とも……疲れる……し、眠い。
「……」
割と、テスト時間とかもこうなるんだよなぁ。
60分程のテスト時間があるとして。
その半分か、もっと早ければ25分ぐらいで、一通りの回答は終わる。
んで、なんとなく見直しとかもしては見るが……何せ答えも分からないし自身があるわけでもないから、見直したところで意味はないなと結論が出て、止める。
それでまぁ、残りの時間が20分ぐらいだろう……。
「……」
その20分の長いこと長いこと。
机の上に広げられた、問題用紙と回答用紙をぼぅと眺めているのが悪いんだろうけど。
かといって、テスト中である以上筆記用具なんて引っ張り出しようがないし。そもそも筆箱そこにない。それで、そこにあるシャーペンとかで暇をつぶしだすだろう。
だとしても、すぐに飽きがきて、あと何分だろうと思っていると、あと15分もある。
なんてことが多々。
「……」
無駄な時間を過ごすことに抵抗があるわけではないのだが。
こうも、虚無的な時間が続くと、ぼぅとしてくるのも仕方あるまい。
最終的には、肘をついて、頬を支えて、ぼぅっとしたまま、シャーペンをくるくる回したりしていた。
「……」
それも飽きて、そのうち寝始める。
高確率で、意識が飛んでたなぁ。
席が後ろの方だったからよかったものの。
テスト中にあんな態度でいたくせに、よく進学なんてできたものだ。
「……」
と、まぁ、過去のことを思い出して、時間をつぶしてみたが。
たいして時間は経っていない。
今回はテスト中というわけでもないから、筆記用具のいじりようはあるが。
全員が静まり返っているせいで、下手に動けないんだよなぁ。
「……」
何をそんなに必死にメモしているんだかわからん……。
必要最低限で良いだろうに……。あの担任の言うことを。一言一句漏らさずにメモするつもりか……この人らは…。
そう思うぐらいのスピードでペンが動いている……。
すばらしいな……?
「……」
あー暇だぁ。
まだ始まったばかりのクラスだから、席替え以前の話だから。
出席番号順というやつで座っているのだが……おかげで温かい後ろの席にいる。
窓側の、日差しの当たりやすい、あったかい席だ。
「……」
もう、この席に座ったら、寝ろと言っているようなもんじゃないか。
ぽかぽかと、柔らかな、春らしい日差しが、温めてくる。
春眠暁を覚えずとは、よく言ったものだなぁ……。
「……」
本格的に眠くなってきた……ヤバイ……。
さすがにねるのはよろしくない。
まだ、担任に目を付けられるのは早い。
あと何分だ……。
「……」
「……」
「……」
「……」
あー……。
今日は、この時間だけだし。
かえって昼寝でもすることにしよう。
お題:筆記用具・机・昼寝