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私だけの神様はポンコツ  作者: 後ろ向きミーさん
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私の神様の幸せ

空さん曰く、私とじーちゃんは神様の眷属になったそうだ。

今後、不老になったり、神力が使えたりするなど、いろんな症状がでるんだと。


あーなるほど・・あの妙なパワーは神力のはしりだったのか。


「諸々の対応はお任せ下さい。何かありましたら、こちらを鳴らして頂ければ、はせ参じます。」


と淡々と報告を済まし、小ぶりの鈴を置いて空さんは帰って行った。


「僕ら二人も、雪幸様の神使になったんだよー。大出世なの!また、なっちゃんちで、ご厄介になるねー。あ、僕の巣まだ残ってるー!」


マイペースな蜘蛛彦、苦笑いの揚羽、ニコニコの神様、この事態にまったく動じていない(何故!?)じーちゃんを見回しながら、私は思考停止真っ只中。

『あー明日が休みで良かったなー』とか現実逃避の果て、意識がフェードアウトした。


翌日、添い寝した神様に、朝なのに夜のムードで甘ーく起こされ、昨日の事が夢じゃなかったと思い知る。


「・・・おはよう奈津。起きないと悪戯しちゃうよ?・・・・してもいい?」


心臓が飛び出る勢いで跳ね起きました。

ダメだ、神様が艶めかし過ぎる。


のぼせそうな頭を振りつつ、階下に降りると、どう見ても30代くらいに若返ったじーちゃんが、台所でおみそ汁を作っていた。


「おう、おはよう奈津。今日は大根とお揚げさんにしたぞ。」


「空さぁぁぁん!!!」


えぇ!鈴を思いっきりを鳴らしましたとも!


じーちゃんは宮大工の腕を買われ、精霊界や神界で仕事を受ける事になったそうだ。昨日私が倒れたので、言いそびれたって・・すいません・・。

若返ったのは神様達の計らいで、もちろん現世の調整済み。

私とじーちゃんは、兄妹になっているそうだ。

仕事速すぎ空さん・・。


「神様達に望んで頂けるとはありがたい事だ。若返って、また大工の仕事が出来るとは思わなんだよ。」


と、じーちゃん(にーちゃんと呼ぶべきなのか?)は楽し気だ。


「はぁー・・・・もう何でも有りだね!うん神様!一緒に幸せになろう!」


吹っ切れました。考えたって仕方ない!

神様とも両想いなんだから、なんも問題無し!

神様はニコニコと本当に嬉しそうだ。


「わぁい、なっちゃんやっぱり男前ぇ。かっこいいー。」


「ほんと怖い物なしですわね。」


「うん。奈津に出会えた私は、本当に幸せ者だね。」


蕩ける様に神様が微笑む。


なごり雪の私が、この世に形作られた時、この場に迎えが来る事を本能的に理解していた。


「かみさま、まいごなの?」


あの日出会った奈津は、自分の大事なはずのおやつの飴玉を口に入れてくれて、私の頭を心配そうに撫でてくれた。


ボンヤリとした意識の中で、何故かこの手を放したくない思いが芽生え、小さな手に引かれて留まるべき場を後にした。


私は奈津を選んだ。

その時から、奈津が私の世界となった。


共に笑い、共に悲しみ、共に学び、何も出来ないポンコツだった私を、時に姉の様に、時に母の様に慈しんでくれた。


ずっと奈津が私の神様だった。


「神様・・えっと、その、甘いのは、お手柔らかにお願いしたいなー・・と。」


「どうしようかな?私はもっと甘くしたいんだけど・・愛してるよ奈津・・。」


真っ赤になる奈津を抱き締めながら、甘く鮮やかな幸せの記憶 ―飴の赤色― 

を思い出していた。


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