私の神様
私には、私だけの神様がいる。
まぁ、私が勝手に『神様』と呼んでいるだけなんだが。
白銀の髪は艶やかで、さらりと腰まであり、瞳の色は藍色、着ている衣装は品の良い藤色の狩衣。
顔?もちろん美しいに決まってる。
拝みたくなるレベルの美しさだ。
絶世の美人なのに、いつもニコニコ笑っていて、残念な事に子犬感が漂う。
そんな『神様』は物心ついた時には既に私の側にいた。
幼い私は、人外の美しさのこの人を、ずっと神様だと思っていたのだ。
私が成長するにつれ、「うん、こりゃ神様じゃないな」と気が付いた。
だって、ポンコツなんだもん。
願いを祈願しても、ニコニコと笑っているだけ。
怪我したり、熱で寝込んだりしても、おろおろするだけ。
落ち込んだ時も頭を撫でてくれるだけ。
ホント側にいるだけの存在。
「じぃちゃーん、神様ー。いってきまーす。」
玄関で声をかけると、すぅっと神様が現れ、いつもの様に背後からナチュラルの抱きつかれ、ほおずりされる。
私は、そのまま神様に抱きつかれたまま移動、玄関の扉を閉めた。
「今日は学校ついてくるの?はいはい。歩きにくいから止めて、手繋いであげるから。」
ニコニコ顔の神様とカバンを持つ反対の手をつないで登校する。
神様は幼稚園児の様に、素直にトコトコと付いてくる。
160㎝の女子高生が180㎝の美貌の平安貴族をお手手つないで引率するって、絵面的にどうなの?
はぁ、慣れって怖いわー。
神様は他の人達には認識されないけれど、人にぶつかったりはしない。
不思議と相手がするりと避けるのだ。
満員電車に乗っても、神様の所だけぽっかり空いている。
私が神様に話かけても、只の独り言をつぶやく不審者にしか見えないだろうに、それも見事にスルー。
神様ではないんだろうけど、年もとらないし、浮けるし、消えるし。
人外なのは間違いない。




