『マジック&ガールズ』 エロゲの不遇キャラに転生したけどとりあえず最強目指します!だからヒロインたち?俺ににじり寄るのはやめてくれ⁉ (短編版)*2
どぞ2かいめ
王太子になってから俺、ナノシア・アスフィリアは王都に住んでいた。
礼儀作法から国務、躱し方や命令権など様々なことを教わり、めちゃくちゃ精神が死にかけた。
そして俺は10歳になり、ついに学園に入ることになった。
歳が1つ上だったアリスは一年先に学園に通うことになったのだが、入学する前日はめちゃくちゃ泣いていた(放課後は毎日帰ってきている)
それに加えるようだが、妹が出来た。
名前はイクシアといって、なんでも『シア』をお揃いにしたそうだ。
そして学園に行くのに1番の不安要素がイクシアでもある。
なんとイクシア、俺にべったりなのだ。
俺は毎日帰ってくるとはいえ、イクシアは多分泣くだろう。というか絶対泣く。
そのことを考えると憂鬱というかなんというか…………胃が痛い。
それでも俺は学園に行かなければならないため、心を鬼にして俺の膝で寛ぐ妹に伝えることにした。
「ねぇ、イクシア?お兄ちゃん、今度から学園に通うことになるんだけど、いい子にお留守番出来る?」
「…………おにぃ…………いなくなっちゃうの…………?」
……………もうすでに涙目なんですけどイクシアが!
ちょっ、罪悪感が凄い!やめて!潤んだ目でこっちをみないで!俺が泣かせたみたいだから!いやまぁ俺が泣かせたんだけどね!
「いや、あの、毎日帰ってくるよ?ほら、アリスお姉ちゃんがいるでしょ?あんな感じで通うことになるだけだから………お母さんと一緒に待ってられる?」と頭を撫でながら言ってみる。
すると涙を流しながらもコクっ、と頷いた。
「うぅ…………イク、頑張ってお留守番する。お母さんと一緒にお留守番する………だから、帰ってきたらいっぱいあそぼ?」といって俺の膝から降りるイクシア。
いやまじこのこてんしすぎまじやばばかわわてかまじでやばみんご………………はっ、語彙力飛んでってたわ。
俺は語彙力に致命傷を受けながらも「わかった。イクシアはいい子だな!今度なんでもお願いを聞いてやる!」といってまた頭を撫でる。
するとイクシアが目を細めながら、俺に対する特攻技(精神)を放ってきた。
「ん………じゃあおにぃ、チューして?」といって、抱きついてくるイクシア………………って!え"?!
「ちょっとイクシア?流石にチューは駄目だと思うな…………ほら、好きな人同士がすることだからね?」といって宥める。てか拒む。いや、イクシアめちゃくちゃ可愛いけどね!流石にね!妹だし!いや妹萌えってあるけどね!でも流石にちょっと…………いや、兄として拒まなきゃね!
そんな脳内で自分と格闘していると、イクシアが横から脳内クリティカルアッパーを放ってくる。
「おにぃ…………イクのこと嫌いなの?イク、おにぃのこと好きなのに………」といってまた涙を流すイクシア。
いや、ほんとどうすりゃいいの?!
「いや、あの、俺もイクシアのこと好きだよ?でも、なんていうかその…………ほら、お父さんとお母さんいるだろ?お母さんが他の男の人とキスしたことないだろ?それと同じ…………ではないけど、まぁ男として好きとかじゃないとキスはだめなんだよ」と言ってみる。
しかしそんな紙切れは速攻で妹様によってぶった斬られた。
「イク、おにぃのこと男の子として好きだもん!イク、おにぃと結婚するんだもん!だからいいのぉ!」
そう言って俺の唇を奪おうとぴょんぴょんし始めるイクシア、いや、まじで万事休すなんだが……………あぁ、もう!
「チュッ」
と言う音が部屋に鳴り響く。そう。俺はイクシアのおでこにキスをした。
するとイクシアは「えへ、エヘヘ、おにぃとチュッ、きゃっ」と言いながらご機嫌な様子で俺の部屋から出ていった。
「ふぃ…………あぶねぇ…………って時間やばっ?!はよ行かなければ!」といって部屋の窓から飛び降りる。
以前ならば流石に魔法を使わなければいけなかったが、今は鬼畜の特訓による成果で崖から飛び降りても痛い程度で済むようになった。
俺は玄関の外にいるソフィーリアのところを目指して走り出したのだった。
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「ごめんリア!おまたせ!」
時間短縮のために窓から飛び降りて玄関に走り着いた俺は、ずっと待っていたであろうソフィーリアに謝る。
すると玄関の方を向いていたソフィーリアが「えっ?!」という声をあげ、それからこちらに駆け寄ってきた。
「ナノシアくん!何処から出て来たんですか?私、玄関から出てくるの待ってたんですけど」
「ごめんごめん。イクシアがさっきまで離れなくてさ……………気づいたらこんな時間でね。あっ、いや別にイクシアを責めてるわけじゃないよ?気づかなかった俺が悪いだけだから」
「分かってます、イクシアちゃんはお兄ちゃんべったりですもんね。最近は私に全然構ってくれませんけどイクシアちゃんの面倒を見るのに忙しいですもんねそうですもんね。でも大丈夫です私はナノシアくんのお嫁さんですしいつかは私たちの方に帰ってきますもんね」
あ、あれ?なんかソフィーリア怒ってる?
「あ、あの、リア?なにか俺に不満があるなら言ってね?ほら、最近はイクシアにつきっきりだったけど学園ではリアとアリスの二人しかいないだろ?
だからそこで思う存分話しかけ「でもナノシアくん。またお嫁さん増やしそうな気がします。ナノシアくんは鈍感はーれむやろう?らしいですから」……………………ははは、そんなことあるわけないと信じたいが否定しきれない自分もいる、、、まぁ、うん。学園でいっぱい話そうか」
「まぁいいです……………んっ」
そう諦めた風にいって、何故かソフィーリアが手を出してくる。
「ん?」
「ん!」
「んん?」
「……………手を繋いでほしいってことです!それくらい気づいてください!」
「いや理不尽過ぎないかなっ?!気づけないよそんなこと…………いやまぁいいけどさぁ……………その、恥ずかしくないの?」
「確かに恥ずかしいですけど……………牽制です」
「牽制?なんのこと?」
「分からないならいいです。さぁ、早く行きましょ」
そう言ってソフィーリアは、俺の手を引っ張りながら学園へと向かうのだった。
いや、今日のソフィーリア機嫌悪くない?
ーーー
学園へと向かう途中。ソフィーリアと一瞬手を離した瞬間、俺は急に持ち上げられた。
「ごめん!この人ちょっと借りる!」
そう言って多分女であろうそやつに、俺は「へああああああ?!」という情けない声を上げながら連れ去られていったのだった。
「いま、ナノシアさんには呪いがかけられています!」
そう路地裏で、俺と向かい合っている女の子が手を広げながらいう。
「は?お前何いってんの?てか、急に連れ去るんじゃねぇよ。つかなんで俺の名前知ってんだよ」
俺は呪いがかかってるとかふざけたことを抜かす女の子誘拐犯にドスの聞いた声で返した。
俺は先ほどソフィーリアと歩いていたところ、一瞬のすきをつかれてこの女の子に攫われた。
それはそれはもう羞恥と驚きに身を任せて魔法をぶつけ、この女の子を路地裏に連れ込んだほどである。
そして今、俺は呪いがかかってるという頭のおかしい女の子と対峙していた。
「ホントなんですってそれが!私、ちゃんと調べたんです!4年も!」
そう言って女の子はドヤッ(๑¯﹀¯๑)、と言うように手を腰に当て、胸を反らせた。因みに胸は安心サイズです。
てかさ…………
「いや、呪いにかかってるのを信じるとしてさ、なんでそれをお前が知ってるわけ?俺とお前ってあったことないだろ?」
「うぐっ……………そ、そこはほらぁ…………並々ならぬ事情がありまし「いや、並々ならぬ事情とやらを話せよ。そこが1番気になるんだよ」………っと、とにかく!早く呪いを解かないと力を全部うしなっ「おい今なんてった?」……うんですよ…………って!途中で挟まないでください!」
「いや、まぁお前に遠慮する心とか持ってないからどうでもいいんだけ「酷くないですか?!」いや、酷くないだろ。お前、誘拐犯に遠慮すると思ってんのか?「うぐっ…………まぁ確かにそうですけど……」だろ?
まぁそんなことはどうでもいいんだが…………お前、転生者だろ」
そう、俺は気づいてしまった。この女、転生者だということに。
まぁ何故わかるかを説明しよう。
1,初対面のはずなのに名前を知っている
2,力を失うことを知っている
3,並々ならぬ事情とやらは転生者であるということである(推測)
4,なんか雰囲気が転生者
というわけで、俺は彼女が転生者であると結論付けた。
すると彼女は「ふぇ?!な、何故それを…………はっ、今のなし!取り消し取り消し!私、天性医者なんですよっ!ほらっ、呪いとかもわかりますしっ!だ、断じて生まれ変わったとか異世界からきたとかそうい「いや、無理があるだろ…………つか、多分この世界の人に転生者が通じるわけないだろ。通じるってことはYesってことだ」…………あぁもうそうですよ!私は転生者ですううぅぅぅだ!
前世エロゲにハマってた似非ギャルだし片思いしてた先輩の後を追って死んだら、急に女神に転生させられた憐れな女の子ですよっ!
てゆーか!
なんであなたが転生者だってわかるんですかっ!この世界に転生者の概念なんてありませんし!
それはつまり!あなたも「転生者ですがなにか。つか、お前の前世についてはほぼどうでもいいんだけど」……………いいところだけ取らないでください!あと、何がどうでもいいですかっ!私に同情しないんで「いや全然?大体、エロゲにハマってた女の恋が叶う確率なんてほぼ0だろ」うぐっ…………それは先輩に誘われて………気づいたらハマってたってだけなんですっ!」
…………なんだろうこの子、めっちゃ弄るの楽しいかもしれん。
「んで、気づいたら強くなってたと…………因みに順位はいくつだ?1位なんて嘘はどうでもいいから」
「えっと……………3位、でした………あっ、なんですかその『いや、先輩越してるだろ絶対』みた「いや、先輩越してるだろ絶対」口に出さないでくださいっ!私、先輩と約束してたんですからっ!『いつか君が強くなったら戦ってあげる』って!きっと、先輩は1位のは「なわけ無いじゃん」………どうしてそういうこと言うんですかっ!」
といって、なんかめちゃくちゃ先輩をリスペクトしていた。
ほんとに先輩さんのこと好きなんだな、と理解した。
てか、3位って『プレーンガム』さんだよな…………この女?何をトチ狂ってそんな名前にしたんだか。
まぁ、残酷だが真実を伝えてやるとしよう。
「そりゃまぁな、なんせ俺が1位だったからだろ」
そう、俺が、俺こそが『マジック&ガールズ』
PvP総合戦第一位
『Kail』だからだ。
「え……………うそ…………ですよね?」
俺が放った一言に、彼女は驚愕する。
しかし、これは事実だ。
「なんだ。うん。先輩じゃないやつが1位ですまんな。
だが事実だ。俺がPvP戦第1〜18大会の一位、
『Kail』だ。
嘘だと思うなら垢データ…………はこっちにないな………まぁ、信じるか信じないかはお前次第だ」
そう言って俺は、彼女に伝える。別に信じようが信じまいが俺には特に関係ない。
「わ、私は信じませんっ!絶対絶対先輩が1位なんです!
だって私に負けないって言ってましたし得意だって言ってましたしなんでも出来ちゃってめちゃくちゃかっこいい先輩が1位じゃないわけありません!だってだって私先輩のこと信じてますし疑っちゃいけないしそれに先輩のことが大好きなんです!」
「アーーーうん。そっか。先輩が一位ダネスゴイネウン。ワカッタ。オレガワルカッタ。ソリャスゴイナ。ウン。オレガイチイヲカタッタノガワルカッタナ。
ヨシ。ガクエンイクカー。ジャ。オマエモチコクスンナヨー」
そう適当にはぐらかした俺は、初日のため手ぶらなので走り出そうとする。
怖い。この子の先輩愛が怖いよ!ヤンデレとかメンヘラの域まで達してるよ!
先輩の苦労が目に浮かぶどころか狂気で眠れなくなるよ!
そんな考えに達した俺は、これ以上面倒事に関わるまいと路地裏から去ろうと駆け出す。
テケテケてけテケテケテケテケてけてけ
野生の、おっさんが、現れた。
「オイオイ!ガキがこんなところにいちゃあ襲われちまうぜ?まぁ俺が襲うんだ……………ってあ!お前!」
そう言って指を指してくるおっさん。いや、どっかであったかな?
「誰だよおっさん」
そう言って去ろうとすると、おっさんが「オイ!待て!本当に俺のこと覚えてねぇのか!」と声を張る。
んなこと言われても、覚えてないものは覚えてない。
言葉にするのも面倒になり、俺は首を横にふる。
するとおっさんが胸をはり、なにやら語り始めた。
「第10話でお前にロリコンおじさん扱いされた挙句ボコボコにされぐぶなへあぁっ?!!」
なんか話が長そうなおっさんの腹に蹴りを放ち、壁まで吹き飛ばす。
まぁ俺を襲おうとしてたおっさんの扱いなどこんなもんだろ。
そう考えた俺は、学園目指して身体強化を使い、屋根上をかけるのであった。
何か忘れてるな。と思いながら………
ーーーーーーーーー
「先輩はかっこいい素敵かっこいい素敵かっこいい素敵……………っは?!ここは………ってあれ?ナノシアは………へぁ?!なんでおじさんが倒れてんの?!っていけない、遅れちゃう!」
そう言って、彼女は学園へと駆け出す。
彼女とナノシアが再会するのは、そう遠くないのだった…………
ーーーーーー
「おまたせ!」
そんなふうに声を上げながら、俺はリアへと駆け寄る。
思いがけないところで転生者にあったが、まぁ金輪際会うことはないだろう。
例の呪いについてももう問題はないし、俺はこれからリアと学園に行くのだ!
ちょっと頬を膨らませて『私は怒っています。おこですよ!』という雰囲気を出しているリアの手を取り、学園の中へと入っていったのだが……………………
「おい貴様!何故ソフィーリアの手を握っている!モブの癖に生意気だぞ!」
そんな声が俺の耳に届き、ついでに肩も掴まれる………………しかも、腹が出ている典型的な悪役貴族息子(仮)…………って、んんん?
「スマン。チョットナニイッテルカワカラン。アタマワイテンノカボケデブ。サッサトウセナサーイ。デナイトソノワズカバカリノカミスラヒッコヌイテシマイマース」
俺がふざけた口調でそういうと、周りも今まで笑いを堪えていたのか一気に笑い出す。それと同時に悪役貴族息子(仮)さん(笑)さんの顔がファイアブレスを吹きそうなレベルまで赤くなって行くが、気にも止めない。だって俺とリアの時間を邪魔したし、何より俺に喧嘩を売ってきたのはコイツだ。むしろ不敬罪で問答無用で牢に叩き込んでもいいのだが、俺はめちゃくちゃ寛容なため許してやる………………っておいおい。
「ダメジャナーイカ。ヒトヲキュウニナグリツケルナーンテ。ヒレツキマワリナーイデースヨキモデブハゲーオ。スコシハハラヲヒッコヌイテデナオシナサーイ。オット、ヒッコヌイテジャナクテヒッコメテデーシタ。アナタノシボウガオオスギテワラッテシマイマースwww」
『ブフォっッ!!』
「ぎ、きざま!どこまで俺を侮辱する気だ!おい!お前らも笑うな!えぇい!ナノシア、決闘だ!今ここで決着をつけてやる!」
そういって手につけた白い手袋を投げてくる悪役貴族令息。つか、今どき白い手袋とかどこの時代劇だよ!ってん?時代劇って何だったか……………まぁ良いや。それよりもっと、
「断る!」
そう宣言し、彼が投げつけた白い手袋を一瞬で灰にする。いやー脳内構築って楽ちんですわー。
ぶっちゃけ、あの技を教えてくれた魔法師団長にはマジで感謝。騎士団長?アイツは海の藻屑になればいいと思うさ。
とゆーか、案の定顔を茹でダコにしたアホ。もう悪役貴族令息(仮)とか長いからアホでいいや。
「おい貴様!何故決闘を受けない!貴様それでも公爵か!」
、、。あぁ、なるほど。コイツ転生者だわ。それも似非18禁勢じゃない感じの小中向けのラブコメゲー勢か。なーるほどなら納得だわ。
確かあっちのナノシアは普通に悪役だからなー。ぶっちゃけ18禁のほうに関してはナノシア普通にいいやつなのに不運だったし18禁勢ほぼ皆ナノシア救い隊だからな。
まぁ何人かは主人公厨もいたが、そういうやつはだいたい消えてくんだよなぁ……………てか、コイツ情報遅すぎないか?俺5歳だか6歳のときに王太子になったんだぞ?てかソフィーリアとだって婚約発表したし……………やっぱりコイツ脳内死んでんのか?
「おい!無視するな貴様!聞いているのか!」
「あぁ、すまんすまん。無視してたわけじゃない。興味なさすぎて気にも留めてなかっただけだ。んで、なんで決闘しないかって?そりゃ俺になんのメリットもないじゃないか。正直、受ける意味がない」
「グッ、貴様!モブの癖に生意気な!」
「そのモブって呼び方やめてくんないかな?非常に不愉快なんだけど?そろそろ本気でキレるよ?」
「ハッ!貴様の呼び名などモブでいいんだよ!モブはモブらしくその売・女・を俺に寄越せ!」
「あ"?」
コイツ……………今なんつったよ?
「お前さぁ…………今、誰に向かっていったよ」
「ヒッ?!な、なんだ貴様!売女に売女と言って何が悪い!モブなんぞに靡く売女のビッチが!」
あぁぁ……………言っちゃったよこいつ。俺が一番嫌いなのは負けることだが……… ………それと同じくらい、リアとアリスを馬鹿にされるのは許せないんだよな!
「…………決闘デュエル申請。バトル内容10minダメージ総量制装備不可痛感有り死亡なし………………受けろ。悪役貴族令息。軽く精神殺してやる」
「………………ふんっ!さっさと決闘を受ければよかったんだモブめが!」
あぁ…………………久しぶりだ……………
俺と悪役貴族令息が規定の位置につくと、何処からか現れた審判が壇上に立つ。
「ではこれより、ナノシア殿下対ババルゲ子爵令息のPVPを行います。ルールは10分制のダメージ総量に基づく秒間ダメージ量となります。武器、アイテムの使用は禁止。魔法や体術のみの戦闘になります。
決闘中は死亡判定は下されず、ダメージ量の表示が行われます。但し、痛覚は無効にならないためお気をつけください。では、カウントを始めます。
10,9,8,7,6,5,4,3,2,1………………Ready Fight!!」
審判の掛け声と共に、俺はババルゲの元に向かって一直線に走り出す。
ここで解説をするのが、『マジック&ガールズ』におけるPVP………つまりプレイヤーVSプレイヤーの概要についてだ。
『マジック&ガールズ』は、他のストーリー系ゲームにはないマルチワールド制というものがあり、原作ストーリーには自分自身が操るPC以外現れない。
それは原作ストーリーの崩壊を招くためという理由や、PK専門の変人たちの手からストーリー勢を守るための役割がある。
逆に、オープンワールドと呼ばれるMMORPG系のワールドがあり、そちらはチート(不正ツールなど)以外ならばPKもシステム内結婚もボイチャもレイドも何でもありの世界だ。基本的に何処に行こうが問題ないため、俺はそちら側のワールドを基本的に探索していた。
そしてPVPシステム…………正確には『学園決闘システム』というのだが、オープンワールドのPCは皆『マジック&ガールズ』内の学園生という設定であり、それに連なるイベントなどが開催されてきた。
例えば、件のカボフェスなどもそうであるし、聖夜のブラッキーサタンクロスなどもそうである。
話がズレたので戻すが、学園決闘システムとは、運営が主催するバトロワの簡易版、縮小版、改変版である。
公式版の決闘は、タイマンによる時間制限無しのガチンコバトルなのだが、個人やクランで行う決闘の場合はその限りではない。
例えば動く的を撃ち落とすシューティングバトル。盤面の駒を動かしていく戦略バトル。ワンヒットバトルなどなど……………色々なルールがあるのだ。
そして、今回俺がルールを決めた10分制総ダメにおいてはハメ技がある。
それは魔連と呼ばれる物なのだが…………とりあえずそれを改良したのがこちらだ。
まず、ババルゲの腹を思いっきり蹴りつける。
「うグっ」という気持ち悪い声を出したババルゲには気にも止めず、仰向けになったババルゲの顔を踏みつけ……………腹に向かって、無詠唱で火属性最下位の『ファイヤバレット』を撃ち続ける。
傍から見ればとても鬼畜のように見えるかもしれないが、これは立派な戦略だ。
顔を踏みつけたのも、顔に向かってファイヤバレットを連射するのは心苦しいという俺の寛大な心によるものなのだよ。
バッバッバッバっと心地よいリズムで連射されていくファイヤバレット。これはゲーム内でもよく使われた技であり、大抵初見対応は出来ない。
まぁゲーム内では踏みつけるなんていうことは出来なかったので、サウンドバレットという気絶効果付きの魔法を連射していたのだが。
更にこのファイヤバレット、何とクリティカル率50%という脅威の数値を誇る。
但し詠唱時間に問題があったため、ゲームではあまり使われなかったのだが………………今は無詠唱を使えるため、秒間約14弾が放たれ、ババルゲの腹を撃ちつける。
そしてついに9分40秒が経過した。
「なぁ、ババルゲ。テメェさっき俺のリアに売女とかほざいてたが………………覚えとけ!リアはまだ…………処女だ!」
そういって俺は、最後にありったけの力でババルゲの息子を蹴りつける。
その時、ダメージ量表示に『Critical!』という文字が現れ……………俺は、勝利の拳を天に向けた。
『試合判定。ナノシア・エメラルド。総計被ダメージ0。秒間被ダメージ0。
ババルゲ・バルゲゲ。総計被ダメージ3.074.561.324。秒間被ダメージ5124269。よって、ナノシア・エメラルドの勝利となります』
俺の前に、そんなシステムメッセージのようなものが現れ、ついでにファンファーレがなる。
観戦者は若干引き攣った顔をしながらも、パチパチと手を鳴らし拍手を始めた。
「フハハハハハハッ!リア、お前に売女とかほざいたクソデブは潰したぞ!お前はまだ綺麗なままだか……………ちょ、リア?ま、待って待って何でそんな顔してっ」
「この……………………………バカああぁぁぁぁ!!!!」
「グボアアアァァ?!!」
ナノシアは……………天へと舞ったのであった…………………ガクッ
リアのドロップキックを食らい、気絶した俺は、目を覚した時何故か目の前にデカイ山があった。
いや正直、マジでテンパっていたのだろう。意味が分からず焦って思いっきり伸ばした手は、山に沈みこんだ。
いや、正確には山のようにデカイマシュマロだった。
はい。正直に言います。
俺、胸を揉んでしまいました。それも、膝枕をしていてくれたリアの胸を。
当然リアは悲鳴を上げるし、それに周りも気づいてこちらを向くだろう。いやね?わざとではないんだよ?
いや確かに焦って手を伸ばしたのは悪いけど、そりゃ人間突然簀巻にされた挙句気づいたら2週間魔法無しの山修行生活をやらされればそうなるだろ?
アレに関してはご丁寧に魔法阻害の手錠(7kgくらい)を両手両足につけられてたからねうん。
多分アレは悪意しかないよ。騎士団長を最初に魔法でハメてボコったのが悪かったのかな?
いやでもアイツ『フッ、俺はヒヨッコに負けるほど貧弱ではない。魔法でもなんでも使い俺に抗ってみよ!』とか言ってたから手足氷で硬めて腹パン食らわせただけよ?そしたら1撃ノックアウトしたし。
まぁ確かに?魔法で身体強化しまくってましたし?
そのころ魔力が化け物並になりましたし?
リアが頑張って俺に掛かっていた『悪魔の弱化術』とか言う呪いを解除してくれましたし?
あ、因みに悪魔の弱化術ってのは俺が生まれた頃にかけられた呪いっぽいね。
俺は全然気づかなかったのだが、リアを鍛えていくうちに『魔力感知』というスキルを覚えたリアにより解除された。
とりあえず呪いを掛けたやつはぶっ潰す。
それはそうとして、そんなトラウマを皆が知っている筈もなく、俺は周りから引いた目で見られた。
その結果が……………………
「見て、アレが変態王子様よ!」
「キャーコワーイ!」
「私も襲ってー!」
そう。この惨状である。
いやいやおかしくないかな?
いやさ、百歩譲って変態王子は分からんでもないよ?自分も男ですし?
仕方ないとは思うけどね?
いや何が『私も襲ってー』だよ!
しかも周りに人がいるところで言われるから周りの視線が痛い!
ついでに言えば、約1日ぶりにあったアリスからはジト目で『ナノシア様……………えっちですね』と言われ、土下座と貢物を繰り返しに繰り返し、挙句にキス100回で許してもらったリアには脇腹を抓られる始末。
てかキス100回もしてたら味なくなりそうだよね。
いや味ってなんなのか自分でもよく分からないけど、それくらいチュッチュっとキスをしまくった。
さらに言えば、周りに男子からの殺気が痛い!
原作にはかなりカップルがいたけど、俺が王太子になったせいか明らかにカップルの数が少ないため、余計に殺気を感じる。
自分も一応王太子の自覚があるため分かるのだが、権力と女はいつでも付き纏うだろう。
もう俺はリアとアリスでかなり手一杯なのだが、多分もう1人や2人は増やさなければいけないだろう。
それが王太子、王としての責務なのだ。
ぶっちゃけ、今の国王の妻が一人しかいないことがおかしいのだ。そのせいで俺が王太子になるハメになった訳だし。
まぁそんな訳で、俺は特に女には気をつけなければならない。
金?そんなもの天下の王太子様に掛かれば釣られるまでもない。なんなら自分で稼いだほうが早いまである。
うん。ここまで長々と語ったが、結局のところ俺が言いたいことは………………
『俺の学園生活、どうしてこうなった!!』
本日更新ラッシュ。溜まってたやつを連単してるだけなんだけどね、、