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其の三

どうも。何とか月一で更新できました。

ちなみに、この作品では『』このかぎかっこは、心の声を表しています。

「さて、家を出たは良いがこれからどうするか」


 この事件は不明点が多く、どこから調べればいいのか分からない。そして、何を調べればよいのかも。


『発見現場を調べたところで無駄だろう。あんなに損傷した遺体だ。どこか別のところで殺害しているのだろう。発見現場以外のところとなると途端に行く場所が減る。こんな悲惨な事件だけに、遺族の所に行くのは心が痛む。多分警察にも事情聴取をこれでもかとさせられただろうしな』


 五郎は頭を悩ませた…。


 いつまでも外に立っているわけにもいかないので五郎は、近くの喫茶店へと入って行った。


「いらっしゃい……って、何だ五郎か」


 五郎が喫茶店の中に入ると不満そうな表情を浮かべた青年がカウンターから声をかけてきた。


「何だとは酷いな【トモ】」


 五郎はそういうと「ははっ」と笑い喫茶店のカウンターに腰をおろした。


「お前はいつも俺に付けるからこっちは商売上がったりなんだよ。いい加減払えって!」


 そういってトモと呼ばれた青年は人差し指でメガネをくいっと上げた。



 この青年は【羽柴智一はしば ともかず


 五郎の幼馴染の一人であり、この喫茶店【butterfly(バタフライ)】の店長だ。


 薄い青系の髪色をしており、背丈は五郎よりも少し大きいくらい。体格は細身なのだが肉付きがしっかりしており、とても健康的な体格をしている。



「とりあえず、いつもの一つくれ」


 五郎がそう言うと智一は「今日は付けなしだからな」と文句を言いながらもアップルティーの準備をし始めた。


 五郎が辺りを見渡すと疎らだが何人かこの喫茶店の利用者がいるのを確認した。


 さらに辺りを見渡していると、カウンターとは反対側のテーブルに座っている一人の少女が目に入った。


 歳は高校生くらいだろうか。中学生にはない少し大人のような雰囲気と学生服を着ている辺りからそう伺える。


 その少女はずっと顔を下に向けコーヒーを見つめている。


 その姿からは、他の利用者からは感じられない絶望感がひしひしと感じられた。


「あの子はな。最近来るようになったんだ」


「っうわ!」


 いきなり声をかけられたことにより五郎は驚いて体をビクッと反応させた。


「ほれアップルティー」


「あ、あぁ。ありがとな」


 驚きも治まっていき五郎はアップルティーを啜る。


「……相変わらずうまいな」


「そりゃどうも」


 智一はさらっと流したがその顔は少し綻んでいた。



「で、あの子の話だが」


と、智一は話を戻して話し始めた。


「2週間前くらいから来るようになってな。元々彼女の姉がここの常連だったんだが・・・彼女のお姉さんは亡くなってしまってな。ひと月くらい前のことだ。それから、彼女のお姉さんが頼んでいたカプチーノコーヒーを頼んではずっと眺めてる…あんな感じにな」


「…じゃあ、あの子。あのコーヒーの中にもう会えない姉の姿でも見ているのかな……」


 五郎はひっそりと言った。


「…そうかも知れないな」



 しばらく二人の間には重苦しい雰囲気が流れた。そんな雰囲気を変えようと智一が口を開く。


「そ、そういえば、お前は最近どうなんだ?探偵業のほうは順調なのか?」


「いや…。あんまし順調とは言えないかな?今回も久々の依頼だし」


「なるほど。でも依頼は受けてるんだな。どんな依頼だ?浮気調査か?それともペット探しか?」


 五郎は依頼内容を言うのを一瞬躊躇った。殺人事件について調べているなんて言っていいのだろうかと思ったからだ。


 だが、五郎はその重い口を開いて言った。


「今ニュースとかでもやってる、バラバラ殺人事件だよ」


 この言葉に智一はしばし面を食らったような状態になった。


 だが、反応したのは智一だけではなかった。


「お前、それマジな…」


「それは本当ですか!?」


 先ほどまでコーヒーを眺めていた少女が、いきなり智一が話すのを押しのけて五郎の肩を持って前後に揺らして話しかけてきたのだ。


「いやっ、あのっ…。と、とりあえず揺らすのやめてくださいっ!」

「…いきなり取り乱してすいませんでした」


 しばらくして落ち着いてきたのか少女は深々と頭を下げて謝罪した。


「いや、いいよ」


 五郎は苦笑いを浮かべながらアップルティーを啜った。


「それで、本当なんですか?バラバラ殺人事件について調べてるって」


「う、うん。まぁ…。警察の人から直々に……」


 しかし、ここまで言って五郎はしまったと思った。


 いまさらだが、依頼内容を見ず知らず人間に喋ってしまったことに気付いたのだ。


「五郎。お前今、『依頼に無関係の人に依頼内容を言ってしまった』って思ってるだろ?」


 そんな五郎の心境を悟ってか智一が口を開いた。


「なら問題はない。何故なら、この娘は無関係の人間じゃない」


 その言葉に五郎は首をかしげる。無関係ではない。つまり、関係者。


 殺人事件の関係者というのは、あまり多くはない。犯人、第一発見者、警察、そして……。



「彼女はこの事件の最初の被害者 高橋朝美さんの妹。つまり被害者の遺族だ」



どうも。あとがきです。

一度でいいからこういう風に書いてみたかったので記念に。

この作品、何か自分でもあんましこの作品まとめられてないような気がしますが・・・;

次回はこの事件のスタート地点に立たせることをしていきたいと思います。

自分でもあんまし進んでないような気がするんで・・・;


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