其の二
久々の投稿です。
予想以上に時間がかかりました・・・;
高木さんの言うとおり、死体にあった食いちぎられたような跡のことは放送されていなかった。だが最近のマスコミは何かとしつこかったりする。ばれるのは時間の問題だろう。
だが五郎が気にしている問題はそれではなかった。
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「それは本当に人間が喰いちぎった後なのですか?」
五郎は高木さんにそう聞いた。
今の鑑識の能力は高い。人間が喰いちぎったのなら、唾液が残りそこから割り出すことが可能だ。
こんな世間を騒がせている犯人なら、わざわざそんな証拠を残すようなことをするとは考えにくい。
五郎が疑問に思った理由はそれだった。大方、カラスなどに荒らされたのだろう。・・・と考えるのが普通だ。
しかし高木さんの答えは意外なものだった。
「鑑識が言うには、歯形などから見てそれは人間のもので間違いないとのことだ」
しかし、確かに妙なことがある。と、前置きをしてから高木さんは言った。
「その喰いちぎられた跡からは、唾液などの体液が被害者のもの以外一切発見されなかったそうだ」
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「おかしすぎる・・・」
五郎は呟いた。
人間の歯型だったのなら、唾液ぐらいついてるはず。だが、それがないというのはどういうことなんだろうか。
さらに何故犯人はあえて歯形など残したのだろうか。
四肢を切断しているのだから刃物を持っているのは間違ない。ならば食べるにしても、それを使って切り分けてから食べれば良いだろう。
まさか、この歯形には別の意味があるのか?
「取り敢えず、ここにいても仕方ない」
そう言うと五郎は自宅を出て行った。
五郎が住んでいるのは、古いアパートのイメージをそのまま造った様なアパート。
名前は、『天王荘』
名前と外見が全く一致しない建物である。五郎はそこの207号室に住んでいる。
「あら?高杉さん、お出かけですか?」
五郎は玄関を出ると買い物袋を持った女性に声をかけられた。
彼女の名前は、【坂本遥】27歳。五郎の隣の208号室に住んでいる。
髪は長く腰近くまで伸びてて、優しい顔立ちをしている。とても若々しくて、パッと見では二十歳前後にしか見えない。
「ちょっと仕事が入りましてね。今から捜査に行くところなんですよ」
五郎はそういうと遥に微笑んだ。
五郎は遥にお隣の好で色々と世話になっている。そんなこともあって、五郎は遥を信頼しているのだ。
そんな感じでいつものように話していると、
「あ~。五郎お兄ちゃんだ~!」
遥の後ろから小学生2,3年生くらいの少女が五郎を指さしながら出てきた。
少女の名前は、【坂本恋】遥の娘だ。娘だけあって母親に似て、整った顔つきをしている。
208号室にはこの二人以外は住んでいない。遥の夫は恋が物心つく前に他に女を作って蒸発してしまった。だから、遥は恋を女手一つでここまで育ててきた。
「ねぇねぇお兄ちゃん、これから遊ぼ〜」
恋は五郎の足にくっつき甘えている。
「こら、恋。お兄さんはこれからお仕事だから困らせちゃダメでしょ」
遥が五郎の足から恋を引き離した。
「いやだ〜!お兄ちゃんと遊びたい〜!」
それでも恋は駄々をこねる。
「そんなわがまま言ってるとお兄ちゃんに嫌われちゃうよ〜?」
遥は恋に冗談めいた口調で言った。すると、恋は顔を赤くして、
「お兄ちゃんに嫌われるのはヤダ。だから我慢する」
と言い、遥の後ろに隠れてしまった。
「じゃあ、今度遊んであげるね」
五郎は恋に笑顔でそう答える。
「うん!」
恋は笑顔になると「バイバイ」と五郎の方を向きながら言い、遥と一緒に自分の家に入って行った。五郎はそんな恋の笑顔を見て自然と微笑んでいた。
久々の投稿にしては話が進んでないような・・・;;




