とある不登校児
ブックマークが3つに増えました。とても嬉しいです。今まで1回もブックマーク登録されたのに…
皆さんありがとうございます
横野先生はおもむろにその内容について話し始めた。
「お前たち、佐野 尚美、って知ってるか?」
「誰すか、それ」
「私も知らないでーす」
「私も特に聞いたことが、ないです」
「まぁ無理もない。こいつ高1だからな」
「それで、どうしろと」
「こいつを、1日でもいいから学校に登校させてほしい」
「その子っていわゆる不登校児ってやつですかー?」
「まぁそうなるな」
不登校児、か。これまためんどくさいな。今の季節はまだ5月。季節からして
不登校になるにはまだ早すぎる時期だ。どうにかして登校させてやらないと
勉強にもついていけなくなり、出席日数が足りず、留年してしまう恐れがある。
何とかしてやらないとな。俺のほかのだれかが。
「とりあえず、お前たちには今からそいつの家に行ってもらう。
早く支度をしろ。3分だ」
「それは社研部とは関係がないのではないでしょうか」
「お前は何しに社研部に入った?」
「そりゃ、社会学びたいから」
「それだけで理由には十分だ」
「いやもとはというと先生が強制的に」
「じゃいくぞー」
「「はーい」」
くそ、これだから集団というものは嫌いなんだ。助け合いだとか何とか
理由付けて自分を正当化し、何も考えずに流されて…
「文句があるなら行ってみたらどうだ?上本」
「いえ、何も」
こいつ…心を読めるのか?!
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学校から徒歩15分。俺たちは”佐野 尚美”の家へと向かった。
「それじゃ、ベル鳴らすよ」
城津がベルを鳴らして数十秒後。ゆっくりと家のドアが開かれた。
「あなた達が…」
「先ほどお電話させて頂いた桜塚高校の横野です」
「それとそちらは…」
「こいつらは私の生徒たちです」
「あっ。そういう事でしたらどうぞ」
俺たちは軽く佐野の母親に会釈をして、中に入った。
「佐野さんはいつから、その、学校に行かなくなったのか、聞いてもよろしいですか?」
おいおい。城津って敬語使えんだな。いつも先生にもため口だからわかんなかったぞ。
それからして、佐島の母親は苦しそうにしながら不登校になった理由を
答えてくれた。わかったことは佐島が不登校になったのは中3の1月ごろから。
そしてそれからずっと不登校だという事だ。
「私…今から会いに行ってもいい…ですか…」
尾坂美鈴は小さい声で、力強く、そして吐き捨てるようにつぶやいた。
次回 井の中の蛙大海を知らず されど空の青さを知る
そろそろ面白い展開になると思います。