最終決戦
ギャル子事件の翌日。尾坂は臆する事なく学校に登校した。
いつものように朝休憩を社研部室で過ごす。
ただ今日いつもと違う事は尾坂がギャル子の言いなりになっていない事。
ギャル子のパシリにも、玩具にもなっていない。
本格的に尾坂はギャル子に抵抗し始めたのだ。
現に今尾坂は楽しそうに城津達とおしゃべりをしている。
そこからは何一ついじめという醜い気配は感じ取れない。
そこに見えるのはまさしく青春という大海原を探検している一人の
少女。
だがそんな平和な日常もそう長くは続かない。
「尾坂、パンはちゃんと買ってきたぁ?」
例のごとく、ギャル軍団はまさに嵐のように突然やってきた。
「え、ごめん、何のこと?私わかんなぁーい」
尾坂も尾坂なりに成長したのか、ギャル子達に対する態度も、
口調も全く変わっていた。
人はこうも簡単に変わることが出来る生き物なのだろうか。
「へぇー、アンタそんな口の利き方出来るんだぁ。
私驚いちゃったぁー」
口ではそういうものの、ギャル子の表情は何一つ変わっていない。
いつもの人を見下したような眼と、いやらしく上がる口角。
むしろその顔を嬉しそうにも見える。
何故嬉しそうなのか、その感情の真意を想像するとぞっとする。
「それで、あんた達何?社研部に入りたいの?」
強気に攻める尾坂。目は対抗心で燃えている。
「いいねぇ、その表情。それがいつまで続くのか私とっても気になる」
こいつマジで下衆すぎる!JKとは思えない。
それでも尾坂からは一切怯む気配は感じ取れない。
いっそその姿はかっこよく見える。
「三島!」
決して大きくはない声。
けれども力がこもっているそんな強い声が社研部室を伝った。
あのギャル子でさえ一瞬驚いた表情を見せた。
「な、なに?」
「私は二度お前たちに屈することなんてない。
私はもう自由なんだ!仲間がいるんだ!」
尾坂は今度はもっと大きな声で、それこそ腹の底から出したような
もっと強い声で叫んだ。
「そ、そう。まぁ、そう言ってられるのは今のうちだから」
ギャル子軍団は互いに愚痴を言い合いながら部室を出ていった。
一先ず大勝利といったところ。
何が一体ここまで彼女を変えたんだろうか。
全く思い当たる節がない。
「尾坂、何がお前をそこまで変えたんだ?
俺には何も思い当たる節がないんだが」
「それは…」




