対立
「お前そんな事して楽しい?」
「あ?こっちの質問に答えてくれん?
こっちはあんたは一体何者なのかって聞いてんの」
イラついているのか手で机をコツコツと叩いている。
「別にそんな事どうでもいいだろ、こっちは
そんな事をして楽しいのかって聞いてるんだよ」
俺も負けじと相手を威圧するかのような迫力のある
声を出した。いや、つもりだけなんだけどさ。
「ちッ、ウゼ」
睨み合う事十数秒。小さな沈黙を打ち破ったのはギャル子だった。
「もしこっちが楽しいって答えたら?」
「ぶん殴る」
勿論そんな事をする気はない。
だがここはそう言ったほうがいいだろう。
「へぇー、あんたみたいないかにも根暗糞陰キャにそんな事する勇気あるんだぁ。
口だけ、とは言わないよねぇ」
舐めやがって…
「…」
「え、もしかしてそんな気なかったぁ?
弱い奴を助ける英雄のつもり?
ヤダきっもー」
俺が黙ったことをいいように馬鹿にしてくるギャル子達。
お互いに"ねー”とか”引くわー”とか言って
無駄な結束力を見せてくるギャル子共。
そしてギャル子は”何か言ったら?”といった意味を含んだような
いやらしい笑顔を見せてきた。
「上本君、もういいの」
ギャル子におびえたのか震えるような小さなその声は
朝の休憩時間の終了を告げるチャイムで消されてしまったが
俺の耳には聞こえた。
ギャル子たちに集中し過ぎていたせいで
気づかなかったのか、周囲には少しばかりの人だかりができていた。
「じゃ、また後でな、尾坂」
「う、うん」
俺を見つめる妙な視線も、ギャル子達の見下したような声も、
俺の教室に戻ったらなくなった。
さっきはチャイムが鳴ったおかげで何とか一応収まったが、
もしあれが続いていたらどうなっていたかわからない。
ひとまずこれで第一作戦は終了。
ギャル子達に俺の存在を認識させるという事。
今日はひとまず声だけ出来たのだから十分だ。
あと1、2週間でギャル子達をジワリジワリと
追い詰めていくのだ。
あぁ、早く、早くあのギャル子達に目見もの見せてやりたいわ。




