表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だけ無能。捻くれ者が織りなす青春ラブコメ  作者: 至高のDSM
再び上本光輝は歩き出す
30/61

明けない夜はない。

ちょっと設定甘すぎ!

花城の話の聞いた途端、自分が臆病な人間だと気づいた途端、


この場から、花城から、自分から逃げ出したくなってしまった。


そして、逃げ出した。


深夜、花城が寝た事を確認し、一人で、こっそりと逃げ出した。


布団を畳み、置手紙を一つ残して逃げ出した。


闇の中、行く宛もなくさまよった。


住宅街には俺以外人一人いる気配がしない。


まるで気分は地球の侵略者。


俺以外の人間がこの世から消ええてしまったようで、


俺は案外この気分を楽しんだ。


いっそ本当にこの世から俺以外が消えてしまえばいいのに。


気づけば俺は知らないところにまで来ていた。


長い疲れもあってか、俺は


近くにあった公園のベンチに座り込んでしまった。


長い、長い夜には朝日が差し込もうとしている。


そして消えていく夜につられ、俺も深い眠りについた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

最初に聞こえてきたのは自動車の走る音。


そして次に聞こえてきたのは俺の姉の声だった。


「光輝、あんた今までどこほっつき歩いていたのよ!」


「ご、ごめん…」


「どんだけ私を心配させれば気が済むの!」


心に突き刺さるような姉の声。


しかしそれを怒鳴り声、と呼ぶには程遠く、励ましているともいえない


そんな声。しかし、俺を助け出すにはすにはそれだけで十分だった。


車を運転しながら俺には叱りつけてくる姉の声は俺を温めさせてくれる。


俺が姉に助け出されたのはこれで何回目だろうか。


いつも、いつも姉だけが俺のすべてを知ってくれて、理解してくれる。


俺のヒーロー。俺のあこがれの人。


そしていつからか俺は姉のような人間になりたいと思い始めていた。


心の芯から優しい人間。


本物の優しさを持った人間。


少しでも近づこうと必死だった。


でも今その考えは変わった。


姉の叱りつける声を聞いて考えを変えた。


俺は気づいたのだ。


俺がこんな人間になれるはずがないのだと。


俺みたいな汚い人間が美しくなろうとしてもそれは


焼け石に水。以前の俺と何ら大差はない。


結局何も変わらないんだから。


だから俺はこう思った。


何も変わらないんだったらせめて


無駄に綺麗になろうとするのではなく、


もっと汚くなって、周りの人間をより綺麗に、美しくなってやろうと。


それが俺なりの美しさにしてやろうと。


引き立て役?ただのモブ?


構わない。もっと思ってもらっていい。


この瞬間、それは俺への誉め言葉、俺を美しいと認めているという事になる。


窓を見るといつの間にか太陽はてっぺんに上っていた。


俺も、空も、とっくに夜明けを迎えていた。





















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ