ようこそ社研部へ
人生初のブックマーク!
とても驚いています。やっぱり他人に読まれていると思うといかんせんやる気がわいてきます。
明日からもバンバン投稿していくので読んでくれたらうれしいです
日没の時間になり、住宅街一辺はひっそりと静まり返り、
人気一つ感じない。今にも沈みかけた太陽は空を真っ赤に染め上げ、
彼女をやさしく包み込んでいた。
そして俺はうっかり彼女のその姿に見入ってしまっていた。
「あのー?もしかして間違ってましたか?私いつもドジ踏んじゃって
よくどんくさいとか言われちゃうんですよねー。いやでも部長から渡された
写真だとあなたで間違いないと思うのですが…」
「いやちょっと待てって。俺は上本 光輝 。間違ってはないぞ。」
彼女は一瞬安堵の表情を顔の浮かべ、俺に近づいてきた。
「では、まずこの紙にあなたのサインをお願いします。
ペンはこれを使ってください」
彼女は俺に古びた万年筆を渡し早くしてくれと言わんばかりの瞳で
こちらのほうを見据えてきた。
思わず彼女の勢いに呑まれそうになったが何とか踏みとどまる。
「まずこの紙って何?」
「何って入部届じゃないですか」
「入部ってなんの?」
「あれ?知らないんですか?確か横野先生が伝えてくれるとおっしゃって
いたような気がしたんですが…」
うわー。どうせ忘れたんだろあの先生。いつもなんか適当なところあるからなー。
「あの先生はあまりあてにしないほうがいいと思う。」
「えっ、そうなんですか?結構頼りになりますよあの先生。」
随分と信頼されているんですね。横野先生!
「あっ。話戻しますね。何の部活かというと、”社研部”です。」
「社研部?」
「はい。社研部。社会研究部の略です。」
「もしかして…社会について研究するの?」
「はい。その通りです。」
な、なんだと。もしかしてこれは俺の為に作られた部活なのではない
だろうか。社会に対する不満をぶちまけて、部員たちと話し合う。
そして俺の考えを部員たちの頭に深く浸透させていき、ついには
学校全体、あわゆくば世の中全体に深く根付かせたい。
はい。無理ですね。
今すぐにでも入部届にサインしたいところだが、少し悩やんでいるふりをしたほう
がかっこいいと思い、しばらく悩んだふりをして、しぶしぶといった表情
を浮かべながらサインした。
「ありがとう。えっと上木くん?わたしは尾坂美鈴というの。これから
よろしく!」
彼女はにかっと俺にはまぶしすぎるほどの純粋な笑顔を浮かべて俺に握手を求めてきた。
「あぁ。よろしく。それと俺の名前は上本だ。間違えんな。」
俺は不器用な愛想笑いを浮かべ彼女の握手に答えた。
「部活は明日から、西棟3階にある社研部室で」
そして、彼女は俺に手を振り、元来た道へと帰っていった。
まさか帰宅部エースの俺がこんなに燃えているとはな。
明日からが楽しみだ。
次回 それでも運命には逆らえない